随分と成長した。粗暴な口調がトレンドマークのようだったのに、今じゃ慇懃に答えるようになったのだから、人はいつでも変われるとあの子が証明してくれた。まあ雑誌に「結婚したい男」なんて取り上げられていたから、相変わらず無条件にモテるのは変わっていないようだが。きっとあのテヒョンという子もクソ餓鬼が好きなのだろう。
ふたりが海の家に戻ってきたようだ。ジョングクが「すみません、お恥ずかしいところをお見せしてしまって」と、深々に謝罪する。
ジョングクがニッコリと微笑んだ。その笑顔一つで場の空気が凍りつき、可視化できない無駄な重みが皆を制圧させる。テヒョンも何故か黙り込んでしまって、「え?」と、疑問に思い至る。
だがその雰囲気はすぐに打ち消えて、「姐さん」がカウンターへ逃げるみたいに去っていった。その間にもジョングクは椅子を引いてテヒョンを先に坐らせ、邪魔になる荷物を預かり「クソ娘」に渡す。嵐のような流れで邪魔になる物が無くなると、ジョングクは向かいの席に坐って優しく微笑んだ。
だが、ふたりはまだ知る由もなかった。この平穏で楽しい時間が、ある一人の人物によって波乱な展開に変わることを——
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。