第40話

封じた過去
4,104
2018/04/20 04:56
林崎 蓮
ずっと前から好きでした!

俺と…!付き合ってください!
あなた

…え!?





これは私が大学1年の時の話。




上京してきてすぐだった私は


初めての東京で分からないことだらけだった






そんな中、大学で知り合った 蓮くんは

私に 色んなことを教えてくれた



東京の電車、

美味しいレストラン、

ディズニーランドも……





ずっと仲のいい友達だと思ってた彼から




告白された




初めはびっくりしたけど、


蓮くんの人の良さは分かってたし

一生懸命 想いを伝えてくれた事が

すごく嬉しくて


私は蓮くんからの告白をOKした








ところが 大学2年になった頃ぐらいかな




だんだん冷たくなって




私が蓮くんの家に泊まっていた時も
あなた

蓮くーーーん!起きてー?

林崎 蓮
…なに
あなた

大学遅れちゃうよー?

林崎 蓮
うるせーよ…先行っとけば
こんな感じ。






前なら…
あなた

蓮くーーーん!!起きてー?

林崎 蓮
んー?
あなた

朝だよー!!

林崎 蓮
わかったわかった起きるよ…
あなた

って言っていつも 二度寝 するんでしょ!

林崎 蓮
あ、バレてた…?
あなた

もー!遅れるよ?

林崎 蓮
わ、こんな時間か!
あなた

そうだよ!

林崎 蓮
起こしてくれてありがと!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

前より言葉数も減ったし、


言葉使いも だんだん荒くなってきて…。



大学2年の半ば には



蓮くんが 怖い



と まで感じていた




そんなある日 私が街を歩いていると
あなた

(あ!蓮くんだ!)

あなた

(ん…?女の人、、?)

蓮くんの隣には女の人が居た




しかも次の瞬間
あなた

!?!?

蓮くんはその女の人の腰に手を回した
あなた

(これを、、浮気現場って言うのかな…)

その後2人は親しそうに話しながら


ホテルに入っていった
あなた

(蓮くんに話そう……)






その日の夜 蓮くんを私の家に呼んだ
林崎 蓮
話ってなに
あなた

今日さ、、、どこ行ってたの?

林崎 蓮
同じ大学仲間と遊びに行ったけど?
あなた

それ、、、、嘘でしょ……?

私 見たんだよ

蓮くんが女の人と歩いてるの…

林崎 蓮
だからさ それが友達だって
蓮くんは少しイラついた様子で


だるそうに答えた
あなた

で、でも!その後ホテル、、入ってた

林崎 蓮
なんだよ バレてんのかよ (小声
あなた

え…??

林崎 蓮
あぁもう!めんどくせーな!!!

そこにはもう出会ってすぐのような



蓮くんは居なかった

あなた

ど、、ういうこと…?

林崎 蓮
お前さぁ、いちいちうぜぇよ
そりゃ俺だって浮気ぐらいするわ
彼女がお前なんだから。
その言葉に私は絶句した
あなた

で、、、でも!
私は蓮くんの事好きだよ…?

林崎 蓮
だから!!!!!!!

そう怒鳴りながら蓮くんは私にどんどん近づいてくる





私は壁まで追い詰められた



ドンッッ


蓮くんは 私の顔の すぐ横の壁 を強く叩き、
林崎 蓮
そういう所が うぜぇって
言ってんだよォォ!!


バシンッ






そう怒鳴ってから蓮くんは


私を殴った


あなた

…うっ……

林崎 蓮
じゃあな
そう言い残して  蓮くんは家を出ていった








それからというもの、


少しの物音でも恐怖を感じるようになり、


男の人が異常に恐ろしく感じるようになった





みるみる体重も落ちていき、


体調を崩すことも多くなった




そんな時 見舞いに来てくれた親友の

勧めで精神科へ行くことになった





検査の結果は


“ 心的外傷後ストレス障害 ”


だった




病気の内容は


強い精神的衝撃を受けることが原因で、

著しい苦痛や、

生活機能に障害をもたらすなどといった


ストレス障害 というもの。


その病気は大学3年になってからも


続いたが、友人の助けもあり


私は回復へ向かっていった




そして大学3年の半ばには


大学にも通えるようになり、


完全復活した



と思っていた




しかしある日


ガシャーーーンッッ


大学生1
うわっ!!!
大学生2
おいおい、ガラスの器なんだから
気をつけて運べよ〜!
大学生1
ごめんごめん、粉々だわ…汗
あなた

……

そのガラスが割れた時の


大きな音、、それは





顔のすぐ横の 壁を強く叩いた音、、、




耳元で怒鳴った音、、、







それらを連想させた
あなた

…っ!

私は震えが止まらなくなってしまった





その日の帰り道、



精神科へ行った




医者からは


「ストレス障害は完全に治る人もいれば、

後遺症のようなものが残る人もいます。

きっとその大きな音で異常に怖くなってしまったのは

それが原因でしょう」


と言われた






それからはそこまで大きな音を聞くこともなく、


なにも問題なく過ごしていた





そして、大学を卒業し、




涼太くんとぶつかった






それからGENERATIONS のみんなと

知り合って、、、告白されて…。






玲於くんが家に来た




そしていきなり壁まで追い詰められて
あなた

ちょ、、、、あの、、さ

玲於
玲於
お前無防備すぎんだよ
玲於くんの、、、

いや

男の人の、、、低い声…。





あの時の感覚がだんだん思い出されていく

あなた

(思い出しちゃダメ…絶対に、、、)



私は玲於くんに早く離れてほしくて

玲於くんを押した


しかしその手は掴まれ壁に押し付けられた
あなた

(これじゃ動けない…)


恐怖は増していくばかり、、、




あの時の光景が写真のように頭の中に流れ始める
あなた

ね、、、ほんとに……

私は自分の中に 今ある勇気を 振り絞って話した
玲於
玲於
俺はずっと好きなのに……
お前…!!!いつになったら
俺のものになんだよ!!!!


そう 強く 言われた瞬間











あの時の記憶が鮮明に思い出された







こわい






そう思った瞬間 全身の力が抜けた





今まで大きな音や こんな状況になるような事は


全て避け続けていた





久々にあの記憶が思い出されたせいか


前に1度 ガラスが割れた時とは

比べものにならないくらいの




異常な恐怖を感じた
あなた

はぁ…っ…はぁ…はぁ

手の震えは一向に収まらず


頭が締め付けるように痛い





呼吸が一定の範囲までしか吸えなくなってきた



どんどん呼吸が乱れてくる


吸える幅、吐ける幅が だんだん狭くなっていく





苦しい……







玲於
玲於
お、おい大丈夫か



玲於くんが私の肩に触ろうとした





こわい


さわらないで



私はつい玲於くんの手を避けるように動いた







これ以上耐えられない






早くどうにかしなきゃ
あなた

…って

私は出せる限りの大きな声で言った

玲於
玲於
え?


それでも玲於くんには聞こえなかったみたい
あなた

かえって…



どうにかして 対処したいだけなの……





しかしそれを伝える声が出なかった



でも いきなりこんな状態になっちゃって

玲於くんも驚いてしまったはず。





ごめんなさい




この気持ちだけは伝えないといけない


あなた

ごめん、、今日は……ごめ、、、



声は震えてしまったけど


とりあえず声は出た
玲於
玲於
…分かった


そう一言 いってから玲於くんは出ていった





それからしばらくはまだ呼吸は安定しなかった



すると
隼
あなたちゃん!!!!!
あなた

…っ!!

大きな声に少しびっくりしたけど


聞いたことのある声、、、





なぜか怖くは なかった





どうして…?

隼
なんで、、、、、泣いてるの


そう言って近づいてくる





そしてさっきの玲於くんと同じように


私の肩を触ろうとした







やっぱ無理…っ



この人も 男の人には変わりない…。




こわい、、、、




そう考えてしまい、再び呼吸が乱れ始める



隼
あなたちゃん、安心して。隼だよ。

ほら、俺の顔見て?


優しい声…


顔を上げると

隼くんが心配そうにこっちを見ていた
隼
落ち着いてゆっくり呼吸して

隼くんの優しい声掛けのおかげで

だいぶ落ち着いた




私は隼くんにソファに誘導され、座った





背中をゆっくりさすってくれる隼くん


その手は 温かくて、優しくて、大きくて…



ソファに座ってしばらくすると
隼
はい、紅茶。

それだけ言って 他は何も言わずに

カップを渡してくれた



私は 1口飲んでみた


紅茶には はちみつがたっぷり入ってて

とってもあまかった






なんでこんなに美味しく感じるんだろ…



あったかいなぁ……。




そんなことを考えていると

気づかないうちに涙が出ていた




その後 隼くんは私を安心させるように

ふわりと抱きしめてくれた












隼くんは男の人で、こんな近くにいるのに


全く怖くない………。









特別、、、なのかな



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