「あのぉ、入学式ってもうすぐ始まりますか?」
「あぁ、1年生だもんな。ん〜30分後ぐらい?」
「ありがとう、ございます!」
「いいえ、…あとさ、放課後予定ある?
有美ちゃん、面白いし、話したいから、遊ばない?」
え、ちょ…嘘、嘘でしょ!?!?
私が!?
先輩の近くになんて、いれるはずないのに。。
でも、嬉しい、から…
「いいんですか!?予定ないです!」
「良かった。じゃあ、放課後にここで」
「はい!わかりました!では、また後で!」
「おう!じゃあな」
先輩となんて、夢みたい…!
ほんとに、私なんかがいいのかな。。
いや、先輩は私を誘ってくれたんだよね?
それなら、行ってもいいはず。
話したいって……?
もしかしたら、……なんて、少し期待している自分がいて…
もう。先輩の事ばかり考えちゃうじゃん。
入学式なのに……
でも、好きだから。これくらい、許して…?
「ふッ……」
私はまだ、これから始まる事なんか、
知らなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。