なんだかんだでもう数日がたった。
わざと先輩に会わないようにして、
自分は平気だなんて、言い聞かせてた。
でも今、
近くに先輩がいるから…
動けなくなっちゃった。
「有美…?有美だよな、俺、話があって…」
どうせ、ふられるんでしょ?
そうなるのがこわくて、ずっと逃げてきた。
「い、いや…ッ」
逃げたんだ。
でも、
パシッ
腕を掴まれた。
「ッ……!?」
「話を、聞いてくれよ…!
俺の意見も無しに逃げんのかよ。」
「だって……」
「だってなんだよ。
俺は、お前が好きだってのによ!……ッ//」
え……?
嘘だ…
「そんなの嘘に決まって…」
「嘘じゃねぇ!!」
「ほん、とに…?」
「あぁ。俺、お前の事、会った日に一目惚れしたんだよ。」
少し照れながら言うんだ。
先輩らしい。
でもなんだか、気持ちが楽になった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!