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第1話

『 Ring!Ring!Ring! 』①
356
2019/05/19 11:15
『Ring! Ring! Ring!』

☆1☆


〇:あ!そうだ!このスカート履いてこっ♡


お気に入りのスカートを履き、やっと決まったコーディネートで、部屋とランドリーを行ったり来たり。

バタバタと慌てて準備をしてる私。



望「〇〇〜何しとん?バッタバッタ うっさいね〜ん……」



日曜だってのに、昼過ぎに起きてきたコイツは…


小瀧家の長男。
で、私の従兄弟。
で、ウチの居候。


〇「ふふっw のんちゃん おはよっw」
望「なんやねん!朝から!のんちゃんなんて、久々呼ばれたわ!何浮かれとん?!」


寝ぐせ付けながらキレられてもww


〇「浮かれてなんてないですぅ〜」
望「そのスカート!てか、どこ行くん?」
〇「チョットね〜w」
望「チョットぉ?そない急いでオシャレして、チョットやないやろ?」
〇「ふふっw 望には関係ありませ〜んw」



☆2☆

私、浮かれてる??
イヤイヤイヤイヤイヤ!
そんなんじゃないっしょぉ〜
好奇心よ。こ・お・き・し・んっ♡



〇「行ってきまぁ〜す♡」



望「なんやねん…浮かれやがって…」










45分前。


♪〜着信音〜♪
ん?知らない番号………誰だろ?


〇「……もしもし…」
?「おっ!やっと出たぁ〜!小瀧??」
〇「…はい…そうですけど……ダレ??」
?「オレオレ〜分からんのん??」
〇「??詐欺じゃ、ないですよね?」
?「アホ!詐欺でも「そうです」なんて言わへんやろ!」


あっ!!!
この声…
この喋り方…


え?え?まさか まさか まさかっ!!!


〇「っ!えっ!待って!もしかして……」



















〇「重岡くん??」







☆3☆

重「ピンポーン!大〜正〜〜解!!!」
〇「や、テンション…」
重「俺の名前 知っとったん?」
〇「そりゃあ、知ってるでしょ?!同じクラスなんだし!」
重「ふ〜ん。そっか。」




ホントは違う。


入学して間もなく、同中だった女子達とウワサしていた。


か「〇〇のクラスの重岡くんって、カッコよくない?」
〇「えっ?ダレ?重岡??」
き「〇〇!同じクラスなのに!なんで知らないの?」
〇「あ〜興味ない……かなw」
か「もったいないよぉ〜!めちゃめちゃイケメンだよ?それに、爽やかだし…関西弁だし!」
〇「は?関西弁って、プラス要素なの??」
き「はぁぁぁぁん??ホント分かってないなぁ〜!」
〇「や、私は聞き慣れてるし。」
か「望くん?って!ウワサをすれば!w 」


購買で買ってきたパンとドリンクを片手に持って、もう片手はズボンのポケット。

ダルそうに歩いてくる望の姿があった。



☆4☆

き「重岡くんもイケメンだけどぉ、望くんもイケメンだよねぇ〜♡」
か「一緒に住んでるなんて…羨ましいよねぇ〜♡」
〇「・・・・・」


私、何のメリットも感じたことないんですけど…


っ!!!


望「あ"ーーーッ!!!」


すれ違いざま、叫びながら 私の頭を
グシャグシャしてきた!


〇「っ!チョ、チョォーーーット!やめっ!やめてぇっ!!!なんなの!!!」
望「牛乳 無かった。」
〇「はぁ?どんだけデッカくなりたいんだよッ!!!」
望「〇〇も飲んだ方がええで?AがBくらいにはなるかもなw」


そのニヤッ!っと、悪巧みしてる顔!

腹立つぅーーーーーーッ!!!


〇「うっさいッ!もうBはあるわッ!!!」



ねっ?見たでしょっ?
望が居てもメリットなんて な〜んにも無いの!

てか、デメリットだらけだよッ!!!



☆5☆

そんな事を、ぶつぶつ言いながらグシャグシャにされた髪をとかしてると…


か「〇〇 いいなぁ〜望くんと仲良くて〜」
き「ホントぉ〜私も あんな風に さぁれぇたぁいぃ〜〜!」
〇「ふたりともMなの?」
か「あ!重岡くん!」
き「どこどこどこ?」


ふたりが身を乗り出してる窓を、後ろから背伸びして見ると、


キラキラした汗をタオルで拭きながら、Tシャツの胸の辺りをパタパタしてる重岡くんが居た。




ホントだ…






イケメンかも…




いかにも「青春してます!」的な場面。

汗がキラキラするって、普通に考えたら おかしい事なのに…



重岡くんって…




スゴイ!!!







私はその日から、重岡くんを意識する様になった。

とは言え…
同じクラスってだけで、別に話す機会も無かった。


ただ…彼が放つ、キラキラなオーラ的なものに、見惚れているだけだった。




☆6☆


重「小瀧??お〜い!聞いてっかぁ?」
〇「えっ?あ、うん!うん!聞いてるよ!」
重「小瀧ん家 この辺やろ?せやから…暇してへんかなぁ〜って。」
〇「へ//?あ〜//そ、そうなの?」


どうしてだろう?
平然を装って応えてみた。

恋愛経験は…皆無に等しいけど、
こういう時って、下手に出ちゃダメな気がする!


〇「そ、そ〜だなぁ〜1時間くらいかかってもイイなら、行ってあげるよ//?」


それは、賭けだった。

だって、断られたら、もう終わりだもん。


重「おっ!マジ?んじゃぁ、この辺 ブラブラしてるわ〜」


ま……………マジーーーッ???


てなワケで、私は猛スピードで身支度をして出掛けた。


自転車で10分くらいの道のり。

逸る気持ちが抑えきれず、ペダルに力が入る。

坂道だって立ち漕ぎして、予定の1時間よりも早目に到着し、自転車を止めた。


重岡くん、どこだろう?


☆7☆

待ち合わせ場所に見当たらず、私は電話を掛けた。


♪〜プルルル…〜♪

あれぇ??




出ない……


気付くと…不安になっていた。
もしかして私…ハメられた?

そう思うのも無理ないよ。
クラスメイトって言っても、話した事もなければ、私の下の名前さえ知らないんじゃないかな。


辞めた。ピッ!
29コールもしたのに…
・・・・・帰ろう。


そう思ったのに、切ったスマホを見下ろしたまま、私は動けずにいた。





恋…………だったのかな…?











視線の先のスマホの向こうに、誰かの靴が見えた。

目の前で、誰か立ち止まった?


その場から動かない その人を見上げると…


重「っ!泣いてんのか?」
〇「えっ?」

頬に触れると、涙がつたっていた。



てか、うそっ!重岡くん??




重「どないしたん?」




こんな時でもキラキラしてる…
ホンモノだ…



☆8☆


重「ん??」
〇「え?あ、や、何でも無いよ!目にゴミが入ったみたい…」
重「ふ〜ん。そっか……大丈夫か?」
〇「う、うん。もう平気!」
重「なら良かった(笑)」



ッ!ドキンッ!!!…キン…キン……キン………



む、胸が鳴った!
しかも、エコーしてた!

至近距離の笑顔…
最強…


重「ブラブラしとったら、入りたい店あってん!行かへん?」
〇「…うん!!!」


先を行く重岡くん。
ずっと 喋ってるww

重「俺さ〜この辺来てみたかってん!行きたい店、ぎょうさんあんねん!」
〇「そうなんだぁw 良かったね!」


ふと、通りすがりの鏡。

えっ!!!何これ!!!

一生懸命セットした髪はボッサボサ!
前髪に至っては、自転車の風にあおられ過ぎたのか…

おデコ全開ッ!!!

キレイに斜めに流して、キープしてきたのにぃーーーッ!



☆9☆

慌てて直す私を見て、鏡に映り込んできて、

重「今更 遅いんちゃう?」
〇「へっ?」
重「めっちゃ自転車漕いできたんやろ?w」


失敗だ…
こんなはずじゃなかったのに…

もっと、余裕がある私を見せたかったのに…



重「思っとったより早かってんもん。ありがとな(笑)」


ッ!ドキンッ!!!…キン…キン……キン………


完全に…バレてるじゃん…



〇「だって…電話くれたのに、待たせるのも失礼だし。」
重「だから…ありがとうw」
〇「う、うん//」


私の反応を見て、重岡くんはニヤッとした。


重「小瀧さ?日曜に暇してるなんて、
やっぱ彼氏おらんのやろ?」
〇「は?な、何その こじ付け?」
重「ちゃうんか?」
〇「っ!まぁ…そうだけど…」
重「まっ!居っても関係あらへんけどぉ〜」
〇「っ!」





…やっぱり…そうなんだ……




☆10☆


ある日、そんな事もウワサにあがった。


き「重岡くんって、彼女居るんだって!」
か「えぇぇぇーーーッ!凹むぅ〜」
〇「……マジ…?」
き「あれ?興味無いんじゃ無かったっけ?」
〇「へっ?いや?べ、別に?」
か「おっとぉ〜!〇〇にもようやく?」
〇「だから違うってぇ〜!」


違うよ。
話したこともない人を好きになるなんて…
そんな事あるわけないじゃん。

ただ…
あのキラキラのオーラみたいなのに、惹かれるだけ。

ただそれだけ…


彼女 居るとか…関係ないから。

________






〇「そうだね。関係ないよね…」


バレてたと思った瞬間、フワッっと重い物が肩から無くなった気がして、楽になったのに…

その重みは また、私の肩に乗っかった。


重「人の事言えんけどなぁ〜〜ww」
〇「えっ?」

いたずらっ子みたいな顔をした重岡くんから、また、キラキラのオーラが見えていた。


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