『Ring! Ring! Ring!』
☆1☆
〇:あ!そうだ!このスカート履いてこっ♡
お気に入りのスカートを履き、やっと決まったコーディネートで、部屋とランドリーを行ったり来たり。
バタバタと慌てて準備をしてる私。
望「〇〇〜何しとん?バッタバッタ うっさいね〜ん……」
日曜だってのに、昼過ぎに起きてきたコイツは…
小瀧家の長男。
で、私の従兄弟。
で、ウチの居候。
〇「ふふっw のんちゃん おはよっw」
望「なんやねん!朝から!のんちゃんなんて、久々呼ばれたわ!何浮かれとん?!」
寝ぐせ付けながらキレられてもww
〇「浮かれてなんてないですぅ〜」
望「そのスカート!てか、どこ行くん?」
〇「チョットね〜w」
望「チョットぉ?そない急いでオシャレして、チョットやないやろ?」
〇「ふふっw 望には関係ありませ〜んw」
☆2☆
私、浮かれてる??
イヤイヤイヤイヤイヤ!
そんなんじゃないっしょぉ〜
好奇心よ。こ・お・き・し・んっ♡
〇「行ってきまぁ〜す♡」
望「なんやねん…浮かれやがって…」
45分前。
♪〜着信音〜♪
ん?知らない番号………誰だろ?
〇「……もしもし…」
?「おっ!やっと出たぁ〜!小瀧??」
〇「…はい…そうですけど……ダレ??」
?「オレオレ〜分からんのん??」
〇「??詐欺じゃ、ないですよね?」
?「アホ!詐欺でも「そうです」なんて言わへんやろ!」
あっ!!!
この声…
この喋り方…
え?え?まさか まさか まさかっ!!!
〇「っ!えっ!待って!もしかして……」
〇「重岡くん??」
☆3☆
重「ピンポーン!大〜正〜〜解!!!」
〇「や、テンション…」
重「俺の名前 知っとったん?」
〇「そりゃあ、知ってるでしょ?!同じクラスなんだし!」
重「ふ〜ん。そっか。」
ホントは違う。
入学して間もなく、同中だった女子達とウワサしていた。
か「〇〇のクラスの重岡くんって、カッコよくない?」
〇「えっ?ダレ?重岡??」
き「〇〇!同じクラスなのに!なんで知らないの?」
〇「あ〜興味ない……かなw」
か「もったいないよぉ〜!めちゃめちゃイケメンだよ?それに、爽やかだし…関西弁だし!」
〇「は?関西弁って、プラス要素なの??」
き「はぁぁぁぁん??ホント分かってないなぁ〜!」
〇「や、私は聞き慣れてるし。」
か「望くん?って!ウワサをすれば!w 」
購買で買ってきたパンとドリンクを片手に持って、もう片手はズボンのポケット。
ダルそうに歩いてくる望の姿があった。
☆4☆
き「重岡くんもイケメンだけどぉ、望くんもイケメンだよねぇ〜♡」
か「一緒に住んでるなんて…羨ましいよねぇ〜♡」
〇「・・・・・」
私、何のメリットも感じたことないんですけど…
っ!!!
望「あ"ーーーッ!!!」
すれ違いざま、叫びながら 私の頭を
グシャグシャしてきた!
〇「っ!チョ、チョォーーーット!やめっ!やめてぇっ!!!なんなの!!!」
望「牛乳 無かった。」
〇「はぁ?どんだけデッカくなりたいんだよッ!!!」
望「〇〇も飲んだ方がええで?AがBくらいにはなるかもなw」
そのニヤッ!っと、悪巧みしてる顔!
腹立つぅーーーーーーッ!!!
〇「うっさいッ!もうBはあるわッ!!!」
ねっ?見たでしょっ?
望が居てもメリットなんて な〜んにも無いの!
てか、デメリットだらけだよッ!!!
☆5☆
そんな事を、ぶつぶつ言いながらグシャグシャにされた髪をとかしてると…
か「〇〇 いいなぁ〜望くんと仲良くて〜」
き「ホントぉ〜私も あんな風に さぁれぇたぁいぃ〜〜!」
〇「ふたりともMなの?」
か「あ!重岡くん!」
き「どこどこどこ?」
ふたりが身を乗り出してる窓を、後ろから背伸びして見ると、
キラキラした汗をタオルで拭きながら、Tシャツの胸の辺りをパタパタしてる重岡くんが居た。
ホントだ…
イケメンかも…
いかにも「青春してます!」的な場面。
汗がキラキラするって、普通に考えたら おかしい事なのに…
重岡くんって…
スゴイ!!!
私はその日から、重岡くんを意識する様になった。
とは言え…
同じクラスってだけで、別に話す機会も無かった。
ただ…彼が放つ、キラキラなオーラ的なものに、見惚れているだけだった。
☆6☆
重「小瀧??お〜い!聞いてっかぁ?」
〇「えっ?あ、うん!うん!聞いてるよ!」
重「小瀧ん家 この辺やろ?せやから…暇してへんかなぁ〜って。」
〇「へ//?あ〜//そ、そうなの?」
どうしてだろう?
平然を装って応えてみた。
恋愛経験は…皆無に等しいけど、
こういう時って、下手に出ちゃダメな気がする!
〇「そ、そ〜だなぁ〜1時間くらいかかってもイイなら、行ってあげるよ//?」
それは、賭けだった。
だって、断られたら、もう終わりだもん。
重「おっ!マジ?んじゃぁ、この辺 ブラブラしてるわ〜」
ま……………マジーーーッ???
てなワケで、私は猛スピードで身支度をして出掛けた。
自転車で10分くらいの道のり。
逸る気持ちが抑えきれず、ペダルに力が入る。
坂道だって立ち漕ぎして、予定の1時間よりも早目に到着し、自転車を止めた。
重岡くん、どこだろう?
☆7☆
待ち合わせ場所に見当たらず、私は電話を掛けた。
♪〜プルルル…〜♪
あれぇ??
出ない……
気付くと…不安になっていた。
もしかして私…ハメられた?
そう思うのも無理ないよ。
クラスメイトって言っても、話した事もなければ、私の下の名前さえ知らないんじゃないかな。
辞めた。ピッ!
29コールもしたのに…
・・・・・帰ろう。
そう思ったのに、切ったスマホを見下ろしたまま、私は動けずにいた。
恋…………だったのかな…?
視線の先のスマホの向こうに、誰かの靴が見えた。
目の前で、誰か立ち止まった?
その場から動かない その人を見上げると…
重「っ!泣いてんのか?」
〇「えっ?」
頬に触れると、涙がつたっていた。
てか、うそっ!重岡くん??
重「どないしたん?」
こんな時でもキラキラしてる…
ホンモノだ…
☆8☆
重「ん??」
〇「え?あ、や、何でも無いよ!目にゴミが入ったみたい…」
重「ふ〜ん。そっか……大丈夫か?」
〇「う、うん。もう平気!」
重「なら良かった(笑)」
ッ!ドキンッ!!!…キン…キン……キン………
む、胸が鳴った!
しかも、エコーしてた!
至近距離の笑顔…
最強…
重「ブラブラしとったら、入りたい店あってん!行かへん?」
〇「…うん!!!」
先を行く重岡くん。
ずっと 喋ってるww
重「俺さ〜この辺来てみたかってん!行きたい店、ぎょうさんあんねん!」
〇「そうなんだぁw 良かったね!」
ふと、通りすがりの鏡。
えっ!!!何これ!!!
一生懸命セットした髪はボッサボサ!
前髪に至っては、自転車の風にあおられ過ぎたのか…
おデコ全開ッ!!!
キレイに斜めに流して、キープしてきたのにぃーーーッ!
☆9☆
慌てて直す私を見て、鏡に映り込んできて、
重「今更 遅いんちゃう?」
〇「へっ?」
重「めっちゃ自転車漕いできたんやろ?w」
失敗だ…
こんなはずじゃなかったのに…
もっと、余裕がある私を見せたかったのに…
重「思っとったより早かってんもん。ありがとな(笑)」
ッ!ドキンッ!!!…キン…キン……キン………
完全に…バレてるじゃん…
〇「だって…電話くれたのに、待たせるのも失礼だし。」
重「だから…ありがとうw」
〇「う、うん//」
私の反応を見て、重岡くんはニヤッとした。
重「小瀧さ?日曜に暇してるなんて、
やっぱ彼氏おらんのやろ?」
〇「は?な、何その こじ付け?」
重「ちゃうんか?」
〇「っ!まぁ…そうだけど…」
重「まっ!居っても関係あらへんけどぉ〜」
〇「っ!」
…やっぱり…そうなんだ……
☆10☆
ある日、そんな事もウワサにあがった。
き「重岡くんって、彼女居るんだって!」
か「えぇぇぇーーーッ!凹むぅ〜」
〇「……マジ…?」
き「あれ?興味無いんじゃ無かったっけ?」
〇「へっ?いや?べ、別に?」
か「おっとぉ〜!〇〇にもようやく?」
〇「だから違うってぇ〜!」
違うよ。
話したこともない人を好きになるなんて…
そんな事あるわけないじゃん。
ただ…
あのキラキラのオーラみたいなのに、惹かれるだけ。
ただそれだけ…
彼女 居るとか…関係ないから。
________
〇「そうだね。関係ないよね…」
バレてたと思った瞬間、フワッっと重い物が肩から無くなった気がして、楽になったのに…
その重みは また、私の肩に乗っかった。
重「人の事言えんけどなぁ〜〜ww」
〇「えっ?」
いたずらっ子みたいな顔をした重岡くんから、また、キラキラのオーラが見えていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。