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第4話

『 Ring!Ring!Ring! 』④
311
2019/05/19 11:15
『Ring! Ring! Ring!』

☆31☆

顔も見られなくて…



振り返りもせず、家へ入った私。




はぁぁぁぁ〜〜っ……


望の部屋の前で、ため息をついた。



ドアに触れると、

このドアの向こうに行きたいな…

そう思った。



この気持ちは…届かない。









ガチャッ!

っ!エッ!開いた!!!




望「……入らんのか?」










届いた…










ただそこに、望がいるだけなのに…









嬉しくて…









泣いてしまった。








望「泣かんでも ええやんw」
〇「だって……望が居るんだもん…」
望「ふふっw 入らんのか?」
〇「…望のせいで、馬鹿な事しちゃったんだから…」
望「何やねん?」
〇「振ったの!重岡くんを!」
望「〇〇の気持ちやろ?俺のせいやないやんw」
〇「・・・望には…彼女が居るのに…」


☆32☆

〇「・・・望には…彼女が居るのに…」


望とは、想いが違うって分かってるのに…

あの重岡くんを振るなんて…



望「何言うてんねん?アホか。はよ入れよ。」
〇「…入れない。」
望「入りたないのか?」
〇「入りたいよ!でも、彼女が居るなら入れない!もぉ!馬鹿ッ!!!」


っ!!!


望「ほな、廊下でもええんか?」


立ち去ろうとした私の腕を掴んだ。


〇「えっ…廊下…?」
望「ママさんに、見られんで?」
〇「ママ?…何を?」


望は、掴んだ腕を引き寄せると、







部屋の前で、そっと唇に触れた。







〇「えっ//?」
望「今日、いきなりキスされてん。せやから…」



どういう意味??

私の頭の上にハテナが見えたのか、


望「めんどくせーなっ!」


と言って、私を部屋へ入れるとドアを閉めた。



☆33☆

望「〇〇のキスで…塗り直してや//」
〇「へっ//」
望「〇〇しか おれへんねん…直せるん…」


ホント?
私だけ??

予想外の展開に 戸惑いながらも、嬉しくて嬉しくて…


望「泣かんでも ええやんw」
〇「だって……」



こんな望、久しぶり。


キスするのも、涙を拭ってくれるのも、笑ってくれるのも。




優しく優しく重ねられる唇は、
普段の望からは感じられない…

私だけが知っている特別だった。





望「今から、海 行かへん?」
〇「うん!!!」
望「アイツの想い出、塗り直したるわ!」
〇「ぷっ!あははっ!望に出来るのかなぁ〜?」
望「うっさい!はよ行くぞ!」


私は望の自転車の後ろに乗せられ「しっかり掴まれ!」と、強引に腕を腰に回された。


いくら従兄弟とは言え、いくらキスをした後とは言え、こんな状態は、やっぱりドキドキした。


☆34☆

自転車が加速するほど、速くなる鼓動は、もうお互いの気持ちを掴んでいた。



夕陽が沈む浜辺を、ふたりで歩いた。

素足に触れる砂。
ふわんっと撫でる風。
夕陽色に染まる雲。

最高のシチュエーション。


望「夕べ、ママさんが大切な事を教えてくれた。」
〇「何?」
望「オトンとパパさん…本当の兄弟やないんやて。」
〇「えっ…じゃぁ…」
望「せや。俺ら、血の繋がりは無いんよ。」


ママは、元気がない私を助けたかったんだと思う。

ていうか、私達の仲がもどかしかったのかな?

ずっと 引っかかってた。
従兄弟って関係。

望を好きになる事に、後ろめたさを感じてて…

だから私達は、素直になれずに立ち止まっていた。


〇「望?」
望「ん?」


穏やかな表情の望。
夕陽に照らされて…綺麗…だな…


望「なぁに?」
〇「う、うん//…えっとぉ…//」


塗り直して………言えない//



☆35☆

モジモジした私から、何かを悟ったのか、望は「ふふっw 」と笑った。

その微笑みから、顔つきが変わった瞬間、アゴを軽くクィっ!とさせられ…




チュッ♡



優しく…キス…





望「塗り直しww して欲しかったんやろ?」


小悪魔の様に、ニヤッと笑う。


〇「っ!イジワル///」
望「ふふっw ハラヘッタ!帰るぞ!」


膨れる私の両手を引き上げ、立たせると、耳元で…


望「帰ったら〇〇を食べよっかな…」


さっきの優しいキスとは裏腹な囁き。


〇「はぁ?//そんな事っ//」
望「今夜、ママさんも居らんで?」
〇「えっ?そ、そうなの?///」


エッ?食べられるって…

今夜、望とふたりっきりぃ?!

ド、ド、ド、ド、どぉしようッ?!!!
は、は、は、は、初めての…て事??

だってまだ、そんなの考えた事も無かったよっ!!!


☆36☆

望「ウソやww」
〇「…へっ?」
望「なに想像してんねんww」
〇「っ//…そ、そっちが言うからっ///」


あぁぁぁ〜〜もぉっ!
恥ずかしぃーーーッ!!!


望「ほらっ!はよ行くぞ!」


クッソぉーーーッ!!!


・・・・・シ・カ・エ・シ…

先を行こうとする望の腕にしがみついて…


〇「い、いいよ//」
望「はぁ?///」
〇「帰ったら…しよっ?//」
望「…ッ//…そゆこと女子が言うなや///」
〇「…したくないの?」
望「……キスだけで震えてるヤツに…出来へんやろ……」
〇「えっ…」


望は私を抱き寄せた。


望「ゴメンな?からかい過ぎたな?……俺な、〇〇の事…大切にしたいねん。『ゆいむに』やから…」


私…



幸せだ…








望「ガマン出来ひんかったら、ゴメンやで?ww」
〇「っ!//はぁ?」



☆37☆

〇「っ!//はぁ?今、言ったの何だったのよッ!!!」
望「うっさいなぁ〜ww 行くで!」
〇「あっ!待ってよ!……もぉww」



でもね…
そんな望が、好きなんです!



揺るぎない想いは、帰りの自転車でも加速して…



望「ぅわっ!!!」
〇「チョット!危ないっ!そこ一方通行だから!!!」
望「おまっ、ちゃんと掴まれ!」




♪〜自転車風を切ってぐんぐんこいでる
あなたの背中にしがみついてる
さっきより ずっと加速度をつけて
楽しい気持ちも加速度をつけて〜♪






『Ring! Ring! Ring!』______fin.



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