『Ring! Ring! Ring!』
☆31☆
顔も見られなくて…
振り返りもせず、家へ入った私。
はぁぁぁぁ〜〜っ……
望の部屋の前で、ため息をついた。
ドアに触れると、
このドアの向こうに行きたいな…
そう思った。
この気持ちは…届かない。
ガチャッ!
っ!エッ!開いた!!!
望「……入らんのか?」
届いた…
ただそこに、望がいるだけなのに…
嬉しくて…
泣いてしまった。
望「泣かんでも ええやんw」
〇「だって……望が居るんだもん…」
望「ふふっw 入らんのか?」
〇「…望のせいで、馬鹿な事しちゃったんだから…」
望「何やねん?」
〇「振ったの!重岡くんを!」
望「〇〇の気持ちやろ?俺のせいやないやんw」
〇「・・・望には…彼女が居るのに…」
☆32☆
〇「・・・望には…彼女が居るのに…」
望とは、想いが違うって分かってるのに…
あの重岡くんを振るなんて…
望「何言うてんねん?アホか。はよ入れよ。」
〇「…入れない。」
望「入りたないのか?」
〇「入りたいよ!でも、彼女が居るなら入れない!もぉ!馬鹿ッ!!!」
っ!!!
望「ほな、廊下でもええんか?」
立ち去ろうとした私の腕を掴んだ。
〇「えっ…廊下…?」
望「ママさんに、見られんで?」
〇「ママ?…何を?」
望は、掴んだ腕を引き寄せると、
部屋の前で、そっと唇に触れた。
〇「えっ//?」
望「今日、いきなりキスされてん。せやから…」
どういう意味??
私の頭の上にハテナが見えたのか、
望「めんどくせーなっ!」
と言って、私を部屋へ入れるとドアを閉めた。
☆33☆
望「〇〇のキスで…塗り直してや//」
〇「へっ//」
望「〇〇しか おれへんねん…直せるん…」
ホント?
私だけ??
予想外の展開に 戸惑いながらも、嬉しくて嬉しくて…
望「泣かんでも ええやんw」
〇「だって……」
こんな望、久しぶり。
キスするのも、涙を拭ってくれるのも、笑ってくれるのも。
優しく優しく重ねられる唇は、
普段の望からは感じられない…
私だけが知っている特別だった。
望「今から、海 行かへん?」
〇「うん!!!」
望「アイツの想い出、塗り直したるわ!」
〇「ぷっ!あははっ!望に出来るのかなぁ〜?」
望「うっさい!はよ行くぞ!」
私は望の自転車の後ろに乗せられ「しっかり掴まれ!」と、強引に腕を腰に回された。
いくら従兄弟とは言え、いくらキスをした後とは言え、こんな状態は、やっぱりドキドキした。
☆34☆
自転車が加速するほど、速くなる鼓動は、もうお互いの気持ちを掴んでいた。
夕陽が沈む浜辺を、ふたりで歩いた。
素足に触れる砂。
ふわんっと撫でる風。
夕陽色に染まる雲。
最高のシチュエーション。
望「夕べ、ママさんが大切な事を教えてくれた。」
〇「何?」
望「オトンとパパさん…本当の兄弟やないんやて。」
〇「えっ…じゃぁ…」
望「せや。俺ら、血の繋がりは無いんよ。」
ママは、元気がない私を助けたかったんだと思う。
ていうか、私達の仲がもどかしかったのかな?
ずっと 引っかかってた。
従兄弟って関係。
望を好きになる事に、後ろめたさを感じてて…
だから私達は、素直になれずに立ち止まっていた。
〇「望?」
望「ん?」
穏やかな表情の望。
夕陽に照らされて…綺麗…だな…
望「なぁに?」
〇「う、うん//…えっとぉ…//」
塗り直して………言えない//
☆35☆
モジモジした私から、何かを悟ったのか、望は「ふふっw 」と笑った。
その微笑みから、顔つきが変わった瞬間、アゴを軽くクィっ!とさせられ…
チュッ♡
優しく…キス…
望「塗り直しww して欲しかったんやろ?」
小悪魔の様に、ニヤッと笑う。
〇「っ!イジワル///」
望「ふふっw ハラヘッタ!帰るぞ!」
膨れる私の両手を引き上げ、立たせると、耳元で…
望「帰ったら〇〇を食べよっかな…」
さっきの優しいキスとは裏腹な囁き。
〇「はぁ?//そんな事っ//」
望「今夜、ママさんも居らんで?」
〇「えっ?そ、そうなの?///」
エッ?食べられるって…
今夜、望とふたりっきりぃ?!
ド、ド、ド、ド、どぉしようッ?!!!
は、は、は、は、初めての…て事??
だってまだ、そんなの考えた事も無かったよっ!!!
☆36☆
望「ウソやww」
〇「…へっ?」
望「なに想像してんねんww」
〇「っ//…そ、そっちが言うからっ///」
あぁぁぁ〜〜もぉっ!
恥ずかしぃーーーッ!!!
望「ほらっ!はよ行くぞ!」
クッソぉーーーッ!!!
・・・・・シ・カ・エ・シ…
先を行こうとする望の腕にしがみついて…
〇「い、いいよ//」
望「はぁ?///」
〇「帰ったら…しよっ?//」
望「…ッ//…そゆこと女子が言うなや///」
〇「…したくないの?」
望「……キスだけで震えてるヤツに…出来へんやろ……」
〇「えっ…」
望は私を抱き寄せた。
望「ゴメンな?からかい過ぎたな?……俺な、〇〇の事…大切にしたいねん。『ゆいむに』やから…」
私…
幸せだ…
望「ガマン出来ひんかったら、ゴメンやで?ww」
〇「っ!//はぁ?」
☆37☆
〇「っ!//はぁ?今、言ったの何だったのよッ!!!」
望「うっさいなぁ〜ww 行くで!」
〇「あっ!待ってよ!……もぉww」
でもね…
そんな望が、好きなんです!
揺るぎない想いは、帰りの自転車でも加速して…
望「ぅわっ!!!」
〇「チョット!危ないっ!そこ一方通行だから!!!」
望「おまっ、ちゃんと掴まれ!」
♪〜自転車風を切ってぐんぐんこいでる
あなたの背中にしがみついてる
さっきより ずっと加速度をつけて
楽しい気持ちも加速度をつけて〜♪
『Ring! Ring! Ring!』______fin.