第3話

『 Ring!Ring!Ring! 』③
219
2019/05/19 11:15
『Ring! Ring! Ring!』

☆21☆

帰り道は、
モヤモヤした私の心との格闘だった。


あの重岡くんが、告ってくれたんだよ??
なのになんで?
調子に乗ってるの?


自問するけど、自答は返ってこない…


トボトボ歩く私と並行する自転車も、沈んで見えた。

家に着き、そんな自転車に「ごめんね…」と呟く。


望「自転車に なに言うてん?」


望も ちょうど帰ってきたのか、私の隣に自転車を止めた。



〇「………なんで?」
望「は?」



〇「望は なんで家にきたの?高校なら大阪にだっていくらでもあるじゃん…」



望が返答するまでの沈黙の時間。


私は…期待していた。



望「・・・お前が来ないからや…」
〇「え?どういう…」
望「分かんないなら、ええ…」


望は呆れた様にそう言うと、それ以上は会話したくないといった様子で、そそくさと家へ入っていった。



なんなのよ!


☆22☆

意味わかんない!!!
そんな答えで分かるわけ無いじゃん!!!


いつも 口数 少なくて!
いつも 嫌がる事ばっかして!
いつも 邪魔してきて!






いつも いつも いっつも…






たくさんの望との出来事が…

私にたくさんの気持ちを与えてくれていて…


望が 傍にいる今を、







私に認識させた。







幼い頃は、長いお休みには必ず行っていた。

〇「の〜んちゃんっ!来たよっw」
望「おう 〇〇!待っとったでw」

叔父さんや叔母さんに挨拶もしないで、速攻 望の部屋に行ってたなw

小学校の高学年になり、部活や友達が生活の中心になってきて、いつしか私は、ひとり留守番する様になっていた。





だからって…居候する?
全然 分からないよ!!!





ムシャクシャした。



☆23☆

玄関に靴を脱ぎ散らかし、階段をドカドカ登って、望の部屋の扉を勢いよく開けた!


望「っ!おまっ、ノックせーよッ!!!」
〇「ぜんっぜんッ!分っからないよッ!!!」
望「うっせーな…」
〇「ホラそれ!いっつも そーやって何も言ってくれない!!!」
望「さっき言ったやろっ!」
〇「言ってない!」
望「はぁん?これ以上言ってどうすんねんッ!!!」
〇「は?それどういう意味よッ!私には知る権利もないって言うのッ?望にとって私って何なのよッ!!!」
望「キスしとったやろーがッ!!!」
〇「っ!!!」



見てたんだ…



















〇「……キス…されたら…いけなかった…?」


黙り込んだ望は うつむき、私を見てはくれない。


〇「……告られたら…いけなかった…?」


何も答えてくれないのか…

喉の奥がツ〜ンとする程、堪えた涙。


〇「分かったよ…望の気持ち。」


☆24☆


っ!!!な、なに?!!!


立ち去ろうとした時、腕を思いっきり掴まれ、ベットに放り投げられた!

望は私に馬乗りになると、手首を抑えつけ、決して優しくはない表情で、私を見つめた。





その表情がチョットだけ緩やかになり、顔が近づく…






期待と不安が入り混じっていて…

いま自分が、どんな顔をしてるのかも分からない。





えっ……





唇の手前で止まって、悔しそうに目線を外すと、望は私の上から降り、力が抜けた様に床に座った。


髪をかきあげ、グシャグシャしながら、


望「…アイツが、ええんやろ?」


そう言うと、また私を見なくなった。








ベットの上の状態から動けずに、堪えていた涙が溢れた。







少しして、ゆっくり起き上がると、悔しさが込み上げてきた。



☆25☆


〇「望が居ても、何のメリットもないっ!むしろ、デメリットだらけッ!」




えっ…

望も、そんな顔するんだ…




傷ついた様なその表情は、自分の言葉を後悔させた。




心にもない事…

ううん、本音だよ。




傍にいるだけで、何のメリットも無い。









私達の関係は…









崩れていった。












か「どうしたの?朝からずーーーーーっと、ボーっとして?」
〇「うん…」


そんな親友の問いにも答えられないくらいだよ。


何もかもを吸収してしまいそうな、真っ青な空と、ゆっくり流れる雲が、私の後悔を包み込んでくれているかの様だった。


でも、何も変わらない…






〇「…あのね……」


私は窓のレールにアゴを乗せ、そんな空を見上げながら、ゆっくりと呟くくらいの声で話し出した。


〇「告られた…」


☆26☆

き「えっ!誰に?だれに?望くん?」
〇「望?…誰それ…」
か「や、従兄弟に告るとか無いでしょ?!」
き「んじゃあ……だれ?全く思いつかない!」
〇「…ふっw」
か「て、鼻で笑ったよ!どした?大丈夫?」
〇「…望が告るわけ無いじゃん……ケンカばっかだよ……」


呟きと涙が、同じタイミングで溢れた。


私…なんで泣いてるんだろう…



き「ねぇ〇〇?」

私の涙を拭いながら、優しく語りかける。

き「気付いてるんなら、素直になれば?」



今更…












〇「たぶん…もぅ遅いよ……」








か「だね。」
き「えっ?どうしてよ!」
か「さっき見ちゃったんだよね…望くん…」
き「何をっ?何を見たのっ?」
か「………キスしてた。」
〇「っ!!!」









苦しい…





☆27☆



苦しい…







き「…っ…〇〇?…ねぇ大丈夫?真っ青だよ!!!」
か「っ!これ、ヤバいやつだよ!先生呼んでくる!!!」








重りをつけられ、
深い深い 海底へと沈んでいく様だった…







これから先は…………………闇しかない…














……えっと…ここは…


白い天井。


どうやら海の底では無いらしい。


私は硬いベッドに寝かされていた。








どのくらい、ここで眠ってたんだろう…





閉まっていた白いカーテンが少しだけ開き、

き「お!起きた?」
か「〇〇 大丈夫ぅ?」
〇「あ〜たぶん…今 何時間目?」


オーロラ姫くらい、眠っちゃった気分なんだけど…


重「もう、授業 終わってんで〜w」


急に、カーテンからひょっこり顔を出すから、


き「っ!!!し、重岡くんっ!!!」
か「えっ?マジっ??」


ふたりの驚きが、ハンパない…



☆28☆

重「大丈夫なんか?」
〇「う、うん。だ、大丈夫…だと思う。ご心配お掛けしました。」
重「おん。それもそうなんやけどぉ…一緒に帰らん?」




か・き「え"ぇぇぇーーーッ!!!」




ですよね〜




私と重岡くんが、お近づきになれるなんて…

意外だよね。
誰もが、そう思うよね。




〇「や、今日は…てか 今日も、このふたりと帰るから。」
重「ほなら、俺も一緒に ええ?〇〇がまた倒れないか、心配やから。…なっ?」



まただ!「なっ?」って……






ドシッ!!!えっ?なに??



ベッドの上に、私のカバンが降ってきた。



望「帰んぞ。」
き「望くん!!!」



望と目が合うと、反射的に逸らしてしまった。


苦しい…


また、さっきの感覚だ…



望「行くぞ。」
〇「・・・・どうして…」


☆29☆
望「ひとりで倒れられたら困るやろ。早よせ。」
〇「…私なら…大丈夫だから。」
望「先生に連れて帰れって言われとるんや!」
〇「…迷惑でしょ?他の女の子と帰りたいのに?」
望「は?何言うてんねん?」
〇「大丈夫。私…重岡くんと帰るから。ねっ?重岡くん…送ってくれるんだよね?」


私は助けを求める様に、重岡くんを見た。


重「…お、おん。」
望「先生に言われてんだよ。」
か「それはさぁ?どういう意味?」
望「は?」
か「〇〇が心配なの?それとも先生に言われたから、義務?」
望「どっちでもええやろ?」
か「どっちでもいいなら、望くん じゃなくてもいいんじゃないの?」


かすみ…

恐らく、かすみもショックだったんだ。
望のキスの現場なんて…


重「俺が送ってくわ。」


望の目を、真っ直ぐ見て言う重岡くんの、強い気持ちが伝わる。


望「勝手にしろ。」

そう言い残して、行ってしまった。



☆30☆



帰り道の事は…あまり覚えてない。


かすみ と きょうか は、重岡くんに私を託し、私は重岡くんとふたりきりだった。


なのに…


覚えていない。





気付くと もう家で、
私の自転車を重岡くんが止めていた。


重「アイツ、もう帰っとんな。」


望の自転車が、隣にあった。


〇「うん…ありがとね…」


そう簡単にサヨナラをしようとする私。


重「〇〇?」
〇「ん?」


振り返ると、そっと抱きしめられた。


重「行かせたない…アイツんトコ…」


家が同じってだけで、別に望に帰るワケじゃない。


帰りたくっても…





なのに…







〇「ごめんなさい。やっぱり私…」







重岡くんを振るなんて…





あり得ないのに…





重岡くんの体を、そっと突き離した。





〇「お付き合いは…できません。」







馬鹿だ。私は。






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