第2話

『 Ring!Ring!Ring! 』②
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2019/05/19 11:15
『Ring! Ring! Ring!』

☆11☆

重「彼女 居ったら、ひとりで来んやろ?行きたい店とか?」
〇「……そ、そうだよね……ふふっw」


勘違いだったんだ!

私ったら、さっきから そんな事ばっかり。
アホみたい。私ww


重「何笑うてん?」
〇「ふふっw 別にww」
重「なんやねん?ひとりモンは、お互い様やろぉ〜?」
〇「ふふっw だから、何でも無いって〜w」


こんな事に不慣れで、かっこ悪い自分が、情けな過ぎて笑えた。


重「なぁ?この辺 地元やろ?」
〇「うん。幼稚園の頃から住んでるよ。」
重「もしさぁ?もし…彼氏が出来たら、連れて行きたいトコない?」
〇「あ〜!あるよ!」
重「そこ行こっ!!!」
〇「エッ!!!」
重「行こ行こっ!なっ?」
〇「で、でも遠いよ?」
重「俺 漕いだるから!なっ?」


その「なっ?」って、チョット上目づかい…

ズルイってぇ〜〜!!!



☆12☆

〇「………しゃーないな…」


私が答えると、ニコッ!っとして私の手首を掴み、進み出した。

〇「へっ?//」

掴まれてる?
私…掴まれてるよっ!!!


心臓が手首に移動したんじゃないかな!
だって、その、そこの、てっ、てっ、てくびの その部分だけ!
手首だけが、めっちゃアツイんだよぉ〜〜!!!


思うがままに引っ張られながら、アワアワしている私を気にもせず、

重「カギ!」

と反対の手を出す。

〇「へ?」
重「チャリの。カギ!」

当たり前のように言うから、思わず…

〇「あ、はい!」

渡しちゃったよね…

どうして私の自転車、知ってんの?





何なんだろうこの感じ…





重「行くぞ!早よ乗れ!」
〇「えっ?」
重「う・し・ろ!」


いつのまにか解放されていた手首が、スースーしていた。


〇「う、うん…」


☆13☆

恐る恐る横乗りしてみると、

〇「きゃっ!」

いきなり走り出した!

重「掴まれよ!」
〇「う、うん!分かった!」

でも、どこを??

私は掴まれるところを探してサドルの下に手を掛けた。


重「俺に掴まれよ。」
〇「え//…い、いいよ//大丈夫。」
重「落ちたら困るやろ!」

私の自転車を漕ぎながら、チラチラ 後ろを見て言うその姿。

重「ほら早く!」

重岡くんのTシャツの、裾の方を握りしめるのが、精一杯だった。



何なんだろう、この感じ…



登り坂に差し掛かると、

重「しっかり掴まってろよぉ〜!バチコーイ!」

そう言うと、立ち漕ぎをし始めた。

私は掴んでたTシャツの裾を離さないようにするのに精一杯で、

〇「っ!チョット!立たないでよ!私 降りるから!」
重「やや!降ろさへん!お前を乗せて…登り切るん……や!」

シンドそうに言う後ろ姿。

〇「しょ〜もな…w」


☆14☆

重「しゃーーーッ!登頂〜!w」

ストンッ!と、サドルに戻ってきた。

重「お前、やっぱ軽いな!助かったw」


ニッコニコの笑顔と、ひたいに薄っすらと汗。



ヤバい…キラキラが…



眩しすぎる…




何なんだろう、この感じ…




さっきから私…














メッチャメチャ楽しいんだけど!!!














重岡くんが、グングン走らせる自転車の風は、私のスカートをハタハタとなびかせた。

Tシャツを握った手が、時折 かすかに体に触れると、重岡くんの体温を感じる。

いま、この世の中で、重岡くんを ひとりじめしてるのは、私なんだ…





何なんだろう…この感じ…





何度も何度も…うずく心…





ホント…
何なんだろう…





急に砂ばんだ道に入ると、下り坂の向こうに…


重「見えたッ!!!」




☆15☆

海と空が青の境界線を引いていて、太陽が照らした水面がキラキラしていて…

それは、重岡くんにお似合いだった。



重「うっひょぉーーーッ!!!」


最後の下り坂を勢いよく下る。


〇「わっ!!!早すぎるよぉーーーッ!!!」

マジ怖いから〜〜(泣)


気付くと…
目をつぶって、掴まっていた…


キキィーーーッ!!!

重「到着ぅ〜〜!……小瀧?」
〇「へっ?」
重「離して?ww」
〇「えっ//!あ、ご、ごめん///!!!」


私の腕が、重岡くんの腰をガッチリとホールドしていた!


〇「ほ// ホントごめんっ!!!///」
重「怖がりやなぁ〜w」


恥ずかしい…

可愛子ぶる女子が、ドサクサに紛れて するやつじゃんっ!!!

あぁぁぁぁぁぁーーーッ!!!
絶対!そんな奴に見られてるよぉ〜!


ショボン…


☆16☆

ショボン…としている私を見て、


重「小瀧って、オモロイなw 表情がコロコロ変わるんやな?w」


オモシロがられてるし…
私のショボン…引き続きだわ…


ん??//


〇「な//なに?//」
重「ふ〜んww」

私の顔をじっと見ては、意味ありげに言う。

〇「えっ//な、なによ〜//」
重「ふふっw 何でもな〜いww」

からかう様に言いながら、クルッと振り返ってスタスタ進み出した。

〇「あっ!ちょ、待ってぇ!」

そんな状況に気を取られて、置いていかれた私は、重岡くんの後を追うように後ろに着いて歩いたが…


ドンッ!!!


〇「チョット!急に止まらないでよ!何してんの?」

急に止まってかがんだと思ったら、
両手で靴を持って、砂浜でハシャギだした!

重「うぅお〜!メッチャ気持ちええ〜!小瀧も靴脱ぎや!気持ちええで?」


少年…


私…そんなキラキラ出来ないし…
似合わないよ…



☆17☆

〇「…私は…いいよ…」
重「……どないした?…ごめん、そないイヤやったん?」
〇「えっ?」
重「急に沈んだ顔すんねんな?」
〇「あ、ごめん!そんなつもりは無くて…ただ…私に そういうのは…似合わないって言うか…場違いで怒られそうって言うか…」
重「誰に?」
〇「え、誰って……」

誰だろう??
その時 思い浮かんだのは…







え?ウソ?望??



どうして望?







重「ほなら一度だけでええから〜俺を信じて?なっ?」


まただ!
その「なっ?」って上目づかい。


〇「…分かった。」


私は靴を脱いで、ゆっくりと指先から砂浜へと降ろした。

その日の砂浜は、熱くもなく、サラッと指の間を通り抜けた。


ホントだ…気持ちいいww


重「ほら 行こっ!」
〇「っ!//…へっ///!!!」


笑顔で左手をスッと取ると、波打ち際まで走り出した。


☆18☆
重「ゲームな?先に濡れた方が負けやで?」
〇「エッ!そんなん、絶対 押すじゃん!」
重「あたりまえや!それがゲームやんっww」

と言いながら、繋いだ手を寄せる波へと引っ張る!

〇「ちょ、ズルイ!」
重「ゲームやもん!ww でも、ギリまで待たんとアカンで?」

と、引いた波の後を行く。

波が寄せるのを待つのに、繋がれた手が、ほんの少し緩む。

ふと見ると、波を見つめるその瞳が、キラキラの水面を映し出していて…


ドキドキしないワケがない!


重「キタっ!」

また握り返された手で、我に帰った意識は、一瞬、反応が遅かった。

重「逃げろぉ〜!」

手を引き寄せられ、波からギリ逃げる。

そんな事を何度も繰り返して…
気付くと私達は…




笑い転げていた!



逃げるたびにハグれる左手を、
何度も探しにくる右手…

波の数だけ繋がれたその手の感触は、想像以上に淡くて、くすぐったい。


☆19☆

重「なんやそれ、ズルいや〜ん!」
〇「そっちが先にやってたじゃん!」

私は重岡くんを盾にして波際を待つ。

でも、前に立たれると波が見えなくて…
ヒョッコリ顔を出す。

そんな私を少し上の角度から見下ろしながら、


重「〇〇って呼んでええ?」
〇「えっ?」


名前…知ってたなんて…

どうしよう!
何て答えればいいの?


その隙に、イタズラに波は打ち寄せ、私は逃げ遅れた。


重「〇〇の負け〜ww」


私よりも遠くまで打ち上がった波が引き返すスピードで…

キラキラの笑顔は、私の何かを奪っていった。


〇「っ//…そんなの//……反則だよ///…」


下の名前 知ってたのも…

イイって言って無いのに呼ぶのも…

キラキラオーラの笑顔で近づいてきて、そっと…











キス










するのも…











重「罰ゲームww」



☆20☆
〇「っ//…聞いてないし///…」


私、挙動ってるよぉ〜
めっちゃカッコ悪いよぉ〜


重「…てか……〇〇が可愛い過ぎてな///」
〇「えっ//? か、可愛い?//」
重「…俺、前から見とったんや。〇〇の事。」

な、何を言ってるの?
私を?
見てた?

あの、キラキラオーラの重岡くんが?


重「今日、確信した。かわええ!それに…」










重「誰にも渡したない…〇〇のそのキラキラ…」


…私が…キラキラ……?


強い眼差しで見つめられ、
そんな、思いもよらない言葉。

落ちないワケがない…





重「…付き合うて欲しい。」










何なんだろう…この感じ…










〇「…えっとぉ……」





どした 私?!!!

どぉして「はい」って、言わないの??





重「……あ〜今や無くても ええから…」




なんだか気まずい雰囲気…



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