りおんの一言に衝撃を受けてから
俺はずっと心がモヤモヤしとる
日が経つにつれてあなたは笑顔を取り戻しとるけど
どこかその笑顔は歪んどる
でもそんなあなたを見て
りおんは安心しとる
全然気づけてないやん
多分俺しか気づいとらん
めっちゃ無理しとるって
やっぱりりおんの言いつけは守れん
俺は部活終わりあなたのことを部室で待った
仕事を終えてあなたより先に帰るりおんには
睨まれた
多分察しとる
でもあなたのことだから余計にほっとけんのや
『あれ、侑まだ帰っとらんの?』
仕事を終えたあなたが部室に入ってくる
「ま・・・あな」
「なに?家に帰りたくないんか」
「・・・別に」
俺がそう言うとあなたはふふっと笑う
でもその笑顔はやっぱりどこか悲しそうで
その笑顔を見る度に心が痛む
ほんと俺じゃなくても誰かに頼ってや
俺にはそう言ったやんか
言う割に自分は全く頼らないやんか
「・・・なあ」
「なに?どしたん?」
『お母さん、死んだんやろ』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。