『すっかりしおらしくなったね』
『なっ・・・!』
さっきの事がなんとなく腑に落ちなくて
気分を紛らわせるためになんとなくボールを触っていたら角名にいきなり話しかけられた
さっき話すな言うたのにあの二人はまた話しとる
笑顔を向けているのが腹立たしいしズキズキくる
「他の男に話しかけられてるとこが気に食わないんでしょ」
「・・・別に関係ないやん」
「でも確実に侑は成長してるよね」
「は?」
「素直になったじゃん」
「・・・だって好きやもん」
「ははは、そういうとこ」
確かに前より素直になったと思う
でもそれだけじゃあかんやろ?
好きって言ったって
いくら素直になったって
好きになってもらわな意味ないやん
「・・・俺は」
「なに?」
「好きって言ったし今みたいにアピールもしとる」
「うん、そうだね」
「でも」
でも
俺の前で笑ってくれなきゃ意味がない
赤葦って人はもうあなたを笑顔にさせとる
あなたはもう心開いとる
でも俺には全くできん
掴めん
『あなたが俺の前で笑ってくれるようになる方法が分からんのや』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。