『侑、やめたれ』
『は・・・?』
りおんはそう言って
強く俺の手を止める
「てかいつからおったん」
「さっきから」
「さっきっていつや」
「お前がメールしてやろうって呟いとった時から」
「なっ・・・!」
聞かれてたとか恥ずかしすぎるやん
顔がぼんっと赤くなる
『ほんまにやめてあげて』
りおんは強く俺に言う
『なんでだめなん』
だめな理由が思い浮かばん
気を使うのなんてだめでもなんでもないやん
「好きなんは分かるけどほっといてあげてや」
「・・・好きやないし」
「いい加減素直になったらええやんか」
思わぬ所で爆弾を食らって
心臓に悪い
こんなん様子見せたらバレてまうやん
『ほんまにやめたれ、これだけはお願い』
それでもしつこく俺に言ってくるりおん
「いや、なんで?」
「ほんまに今はほっといてあげてや」
「あんな姿見せられたら普通に心配するやんか」
「普通の侑のままでいてくれや、おねがいや」
そんなに懇願する理由が分からんのやけど
「侑言わんと引かんかもしれんから言うけど」
『あなた、お母さん亡くなったん』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!