『はぁぁぁぁぁあああ・・・』
『そんなげっそりどうしたの』
『精神の疲れ・・・的な』
やっぱり恋愛耐性がない私に
侑はレベル高いみたいだ
(ま、今更引き返せんけど)
「お風呂入ってくる」
「りょうかい〜」
お風呂に入って一旦心を落ち着かせることにした
『はぁぁぁぁぁあああ』
大浴場までの
階段を登ることでさえ何故かため息が出てきた
『あ、あなたさん』
『赤葦くんだ!!!』
階段を登っていると後ろから赤葦くんに声をかけられた
「今からお風呂?」
「そうなの、赤葦くんも?」
「うん、木兎さんがやっと寝たからね」
「ほんとお母さんだね」
やっぱり赤葦くんは木兎さんのお母さんだと思う
1日しか一緒にいないけど分かる
なんか分かる
「てかさあなたさん」
「ん?どうしたの?」
『やっぱり片割れのこと好きでしょ』
「だいぶ爆弾落とすなあ・・・赤葦くん」
「さっきお茶碗の時手触られて顔真っ赤だったよね」
「地獄目?」
「地獄目って初めて聞きました」
『で、どうなんですか』
赤葦くんの無気力な目線のせいで
自然に口が開かれた
『んー・・・好き』
『やっぱりですね』
「気づいたら・・・なんやけどな?」
「まああるあるですよね」
『精神持たんねん・・・』
「そんなもんじゃないですか?」
「まあ・・・ね?」
「割とガチなんですね」
「んー・・・」
『ねー、だから侑に話しかけられたら赤葦くんのとこ行くね?』
『いや、なんで』
『恥ずかしくて心落ち着かん・・・』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。