第107話

案内してあげましょう
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2020/08/21 16:57





『体育館あっちですよ』








少しくせっ毛の男の子は指をさしてそう言った






「あ、ありがとうございます・・・!」

「いいえ」






私がぺこぺことお辞儀をするとクスッと笑うその子


不覚にもその笑顔にきゅんとしてしまう








「もしかして稲荷崎の人ですか?」

「そ、そうです!!!」

「やっぱり。見たことないジャージだなと思って」






少し微笑みながら話すその子は




どストライクということは言うまでもない







「でもなんで稲荷崎って・・・」

「ジャージに書いてあるからね」

「!!!!!」





少し意地悪そうに笑ってくる












『それに俺バレー部ですから』








『そ、そうだったんですね!!!』










偶然にもその男の子はバレー部の部員だったらしい






「何年生なんですか?」

「2年生です」

「じゃあタメですよ!!!」







バレー部と知るとなんだか緊張感がほぐれて




自然と私の口数は増える














『赤葦です。セッターやってる、よろしくね』












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