第3話

あの日の七夕(改編)
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2020/09/11 23:56
去年の、2017年。あの日の7月7日に僕の運命は変わった。

彼女が突然姿を消したのだ。あの催事の日に。

僕は百貨店に用事があって、彼女より先に屋上に着いた。

「美玲とどこまわろうかなぁ」

そんなことを考えながら屋台を見る。

和菓子、わたあめ、リンゴアメ、ベビーカステラ。

でも、いつまで経っても、彼女は来なかったんだ。

最初は何かあったのかと待っていたが、もしかしたら事故にでも

あったんじゃないかって、留守電を残した。


何時間経ったかな。

辺りは夕焼けの光に包まれていた。

催事は既に終わっていて、人気のない屋上だった。

そして、あの短冊が掛かった笹を見つけた。

最初はぼうっと見ているだけだったけど、いろんな人の夢を

見てみたいとも思い、眺める。

「透くんと一緒に催事に行けますように! 美玲 」

美玲の字。少し丸っこくて可愛い字。

美玲は催事に来ていない。なんでここに短冊が。

そう思い、看板を眺めると。

★皆の願いを短冊に🎋 期間:2017年7月1日~7日の当日まで★
なんだ、そういうことか。

僕は諦める口実を作るため、自分を納得させる理由をつくるため、

美玲が先に来ていたと思い、その日は帰ることにした。

毎年恒例の花火を観ることもなく。

そして、僕が家に帰った途端、幼なじみの紗弥加から電話が掛かってきた。

「もしもし、透!?今すぐ病院来れる!?」

病院?そんなことを思った。そして、そこからの記憶は本当にない。

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