第2話

僕なりの精一杯
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2020/09/14 07:57
君がいなくなってから、何日目の朝を迎えたのだろう。

全てがモノクロの世界に見えて、新聞を読んでも

活字が並んで見えるだけだった。内容なんてまっ白。

僕は毎日、君を探した。

いつもの通学路にいるんじゃないか、

あの交差点で待ってくれてるんじゃないかって。

そんな夢、甘かった。
すっかり重くなってしまった体を起こす。

カレンダーはめくられておらず、

彼女が消えた6月17日で止まっている。

何の感情も持たないまま、リビングへ向かいテレビをつける。

そしてどこかの報道番組が告げる。 
 
「来週、7月7日は七夕です🎋」  

大切な人と短冊に願いを込めませんか??そう問いかける。
大切な人と_____

今しか、ない。

今まで動かなかった歯車が少し回ろうとしていた。

カレンダーを今日、6月30日まで破り捨てた。

ゴミ箱にぐしゃぐしゃで入れて、
 
机から短冊を取り出す。

雨で濡れ、なんと書いてあるかは分からない。

でも、これは彼女の、美玲が書いた短冊。

僕と一緒に書いた短冊。

彼女が見失った夢を見つけて、叶える。

それが、今の僕に出来ること。

もうこの世にいない彼女に出来る、僕なりの精一杯。

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