君がいなくなってから、何日目の朝を迎えたのだろう。
全てがモノクロの世界に見えて、新聞を読んでも
活字が並んで見えるだけだった。内容なんてまっ白。
僕は毎日、君を探した。
いつもの通学路にいるんじゃないか、
あの交差点で待ってくれてるんじゃないかって。
そんな夢、甘かった。
すっかり重くなってしまった体を起こす。
カレンダーはめくられておらず、
彼女が消えた6月17日で止まっている。
何の感情も持たないまま、リビングへ向かいテレビをつける。
そしてどこかの報道番組が告げる。
「来週、7月7日は七夕です🎋」
大切な人と短冊に願いを込めませんか??そう問いかける。
大切な人と_____
今しか、ない。
今まで動かなかった歯車が少し回ろうとしていた。
カレンダーを今日、6月30日まで破り捨てた。
ゴミ箱にぐしゃぐしゃで入れて、
机から短冊を取り出す。
雨で濡れ、なんと書いてあるかは分からない。
でも、これは彼女の、美玲が書いた短冊。
僕と一緒に書いた短冊。
彼女が見失った夢を見つけて、叶える。
それが、今の僕に出来ること。
もうこの世にいない彼女に出来る、僕なりの精一杯。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。