私が天の呼吸と出会ったのは
まだ心の傷が癒えない16の時
パチパチパチッ
真っ赤な炎に囲まれ
私はヒノカミ神楽を舞っていた
トテッ
ドシャァァアッ
見えたのは赤い血
ゾワゾワゾワ
あの頃は自分の血を見るだけでもトラウマが蘇った
私が勝手にヒノカミ神楽をやっているのはそっちのけで
師範は私だけを見つめて話しかけてくれた
全部話した
その時私の頭の中で何か電流のようなものが走った気がした
師範があの時だけ神様に見えた
次の日からひたすら練習した
私はこの呼吸を
神様のように
母に天国で幸せになってもらえるように
ヒノカミ神楽のように舞えるように
天の呼吸と呼ぶことにした
もっと強くなれる
自分を信じるんだ
その言葉を同じように自分が誰かに伝えることが出来るのは
もう少し先の話である
﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉
こうやって昔の自分の事を話すのも何年ぶりだろうか
今まで偽りの笑顔だった物が
本物の笑顔に変わる瞬間だった
彼はちょっと頬を赤らめて
にこっとはにかんだ笑顔を見せた
﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。