勘違い_______________
ゆうた《》
You『』
《一生、そばにいろよ》
なんて言われた言葉は
私の心を締め付ける
私が貴方をどれだけ好きなのかも
知らないと思う
だって、私達はただの
"友達"だから
《あなた》
と呼ぶ声
無邪気に笑うあなたの顔
ただ、貴方が好き
それだけなのに
私はいつも自分の気持ちを隠し
あなたに接する
貴方に好きな人がいることぐらい
私を見ていないことぐらい
全部分かってる
分かってる
分かってるけど
好きになっちゃったんだもん
こんなに辛いのなら
好きになりたくなかった
そばにいたくもなかった
何故、私達は幼なじみなんだろうね
貴方の好きな人になりたかった
貴方の恋人になりたかった
ただ、それだけなのに
なぜそれが叶わないのかな
『神様はずるいな…』
《あなた?》
聞き覚えのある声が
後ろからして
私は反射的に振り向いた
『ゆうた』
《勝手に居なくなんなよ》
《俺についてこいよ》
ほら、ずるいな
好きでもないくせに
優しくしてさ
全部ゆうたが悪いんだから
そう考えているうちに
目の前が水浸しで濡れ
頬にまで水が伝ってきた
《なんで泣いてんだよ》
『泣いてなんかいないもん』
《あぁ、もうしょうがないな》
なんて言いながら
私の頬をそっと触り
涙を拭う
『ゆうた』
《ん?》
『私のことどう思う?』
《さぁーね?》
『ちゃんと答えてよ』
私が真剣な眼差しで聞くと
ゆうたは驚いた顔をして
口を開いた
《大切な人だよ》
貴方の大切な人の意味はきっと
"友達だから"でしょ
"大切な友達"ってことでしょ?
きっと
私達は結ばれない運命だったんだね
『そっか…』
その場を離れようとした時
腕を捕まれ
誰かに引き留められた
そう、ゆうたに
《最後まで聞けよ》
『なんで?』
『大切な友達でしょ』
『私はゆうたの事が好きだった』
『ゆうたは私の事好きじゃないくせに』
《好きだよ》
《ずっと好きだった》
ゆうたの口から出たのは
好きという文字
その文字が
私の頭の中を混んがらせる
『ゆうたが私を好き?』
《うん》
『ずっと前から?』
《うん》
《ずっと言えなかった》
《この関係が崩れたら困ると思ったから》
《あなたが俺を好きじゃないと思ってたから》
《ごめんな、伝えるの遅くなって》
その時の彼の耳は真っ赤に染っていた
『バカ』
《知ってる》
《こんな俺だけど一生大切にします》
『うん』
《後悔させないから》
『だから?』
《俺と付き合ってくれませんか》
もちろん
私の返事は
『いいよ!』
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私だけが知ってる秘密はね
貴方は照れるとすぐ
耳が赤くなって
触ってしまうこと
多分この秘密は
本人も知らないと思う
教える気もない
だって、私だけが
貴方の弱い所を知ってればいいから_______________
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。