あれから数時間が経ち日が暮れてきた頃
下で村人がざわつき始めた
皆家から出て川の方に寄っているようだ
、、確かに火も危ないが川も感電する恐れがある
まあそんな事言ったらどこも危ないが、、
そう言って僕は目を閉じて耳を澄ませる
雷なら何処から落ちてくるか音で分かる筈だ
耳を澄ませろ僕なら出来る
聞き取れ音の発生源を
「ゴロ...」
そう言って僕は地面を蹴って空を駆ける
来てる、、聴き覚えのある音が、、!
「ピシャーン!!」
予想通り僕の目の前で雷が光る
絶対守り抜くってあの人と約束したんだ
平和な村の住民をこれ以上死なせてたまるか!
僕は死ぬ気でそれに斬り掛かる
僕はそう言って雷自体を斬り裂いた
下を見ると住民達が上を見上げて驚いていた
さっきの雷のせいで少し体が痺れるが
僕は小屋の屋根を蹴り雷の発生源へ向かった
情報通り落ちる予定だった家の裏口には
俯いて動かない人影があった
僕は恐る恐るそれに話しかける
僕はそう言うと鬼は高らかに笑い
僕を見るなり不気味な笑みを浮かべて
そう言って振り返った顔には既視感があった
向こうも少し驚いたように目を見開いている
しかし直ぐに平然を取り戻し僕に近づいてくる
突然の事で僕は思わず後退りをする
しかし鬼はいつの間にか僕の目の前にいた
そして僕の額に触れながら
と言葉を放った
そうだ、、この人は、、
僕の本当の母親だ、、
昔僕らは両親から毛嫌いされて家を追い出され
今はいない2人の若親に引き取ってもらったんだ
((この話は後ほどゆっくりします
この空気も雰囲気も声も容姿も全てあいつだ
あいつだって分かってても認めたくない
もう会わないと思っていたのに!!
その母さんの思わしき鬼は手を出して
こっちに向けている
先を読め、、何が来るか、、
「ピシッ...」
そう思い僕は身を屈め右に滑らせた
僕の予想は大当たり
さっき僕がいたところの後ろの木には
ぽっかりと穴が空いている
僕は母さんのその言葉が大嫌いだった
母さんは自分が悪い事をしても自分の非を認めず
僕らに八つ当たりしてくる人だったから
余計に、、
そう言って母さんは僕を煽るように言う
昔とは違う気味の悪い笑みを浮かべて
震えるな足、、こんなの怖くない、、
走れ、、駆け出せ、、頸を落とせ、、
僕はそう唱え霞の中に身を隠す
まずは相手の攻撃パターンを探ってから
でないと無闇に突っ込むことになる
それだけは避けたい
そう言って母さんは元来た道を歩く
、、え?こんな単純な人だったっけ?
まあいい、これは絶好のチャンス
声を発したら気づかれるから
僕は心の中で型を唱えた
「全集中 霜の呼吸 陸の型」
「霜天乱舞!!」
そう言って僕は霞の中から飛び出て
母さんの頸を狙った
タイミングも型の威力も完璧だった
、、のに
母さんはそう言って突然振り返り
僕の首筋に何かを刺した
僕は咄嗟に母さんの腕を切り落とす
なんだ、、これ、、
体が、、思うように動かない、、
息が、、空気が薄い、、苦しい、、
そう言って母さんは僕の目の前に手を翳して
母さんの掌に雷の粒が溜まっていく、、
これに当たったら一溜りもない、、!
母さんの声と共に弾き飛ぶ雷の粒
僕はそれをぎりっぎりのところで回避した
、、が腕や足に掠めてしまい
まともな動きが出来なくなった
痛い、、痛いけど、、
ここで死んだら、、村の皆が、、
母さんはさっきから表情を変えず
ずっと不気味な笑顔のままで言う
、、、
そう言って母さんは鞘から刀を引き抜く
綺麗な黄金色の刃だ
僕はごくりと唾を飲み込む
どんな攻撃が来るかをしっかり読め
絶対勝つんだ、、
.
episode29 end
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。