炭治郎side
翌日しのぶさんが治療室から
げっそりとした顔をして出てきた
しのぶさんからは微かに疲労の匂いがする
それだけ酷かったってことか、、?
そう言ってしのぶさんは口元を抑えてくすっと笑う
俺はそう言ってしのぶさんに一礼すると
あなたのいる治療室に向かった
「ガチャ...」
治療室に入ると身体中に包帯を巻かれている
あなたがベットに横たわっていた
俺はそう言ってあなたを覗き込む
あなたは目だけを動かして俺を見つめながら
とか細い声で言った
あなたの目元には酷い隈があり
ここしばらく寝ていない事が分かる
そう言いながらあなたは
大きい瞳からぽろぽろと涙を零す
悲しい匂いと辛い匂いがとても強い、、
いやいやいや5徹目はまずいだろ、、
俺は2徹できついのに
どうにか寝かせてやりたい、、
そう言ってあなたは目を瞑った
、、ちゃんと寝られるだろうか
その数秒後あなたは寝息を立てていた
俺は安心してほっとため息を吐く
ゆっくり寝られるようにと俺はあなたの頭を
そっと撫でて扉に手をかけた時だった
俺はあなたの声に驚いて咄嗟に振り返ると
あなたは目を大きく開き痙攣していた
そう言って俺はあなたの手を握る
意思が飛んだらまた痙攣の繰り返しだぞ、、
頼む、、持ち堪えろ、、
あなたは涙を零しながらそう呟いた
原因が分からない限りこの問題は解決しない
、、俺には何も出来ない
あなたside
母さんと戦ってから眠れない日が続いた
そんなある10徹目の昼頃
僕はしのぶさんに許可を貰い
中庭で日向ぼっこをしていた
でもぶっちゃけそんな余裕ない
ただ眠気覚ましに歩きたかっただけだった
傷は完治してないし眠れてないし
なんならあの日からご飯も食べれていない
そう空に向かって呟いた
その瞬間
大きな青い空の中に小さな影が映った
何かと思い目を凝らして見ると
刀を持った小柄な剣士だった
初めは任務かと思いそのまま惚けていたが
段々こっちに近付いてきてる事を確認
僕は混乱するがもう疲労で表情すら変えられない
、、その剣士と目が合う距離まで来てやっと
僕に向けて刀を向けている事を知り
当たる寸前の所で僕は身を屈めて避けた
「ドォォン...」
その剣士は勢いのまま蝶屋敷に突っ込んだが
屋敷の損傷は見られない
上手く勢いを制御したみたいだ
僕はその剣士を横目で見て
とだけ一言言った
頼む面倒臭い事に巻き込まないでくれ
こっちは死の淵を彷徨ってんだ
するとその剣士は僕の質問に答えること無く
問答無用で斬りかかってきた
僕はまた上手く避け受身を取る
、、痛い
僕はそう言って剣士の攻撃を避ける
剣士は黙ったまま僕の質問に答えない
、、腕は良い
刀筋や姿勢がしっかりしている
とても綺麗なフォームだった
きっとこれまだ20%も出していないだろうな
でもそれとこれとは話が違う
今危うく腕に掠る所だったんだぞ
僕はさっきから表情を変えない
いや変えられない
本当は驚いてる
多分表情筋動いてたら目も飛び出てた
だって見知らぬ人が怪我人に襲いかかるんだもん
怖いじゃん
そんな事を考えながら攻撃を避けていたら
奥からどたばたと足音が聞こえてきた
さっきの凄い音を聞いて集まってきたのかな
大丈夫だよね、これ
僕怒られないよね?
あはんうるさい、、
相手の音が聞こえなくなる
耳は僕の最大の武器なんだか((
突然の馬鹿でかい声で相手の音を見失う
次の攻撃が分からない
いやこの体にこれ以上負担与えられたら
僕多分一瞬であの世行きだと、、
予想外の事に僕は小さく舌打ちをして
出会った頃から隠し持っていた
両親の形見の刀を懐(羽織の中)から引き出し
剣士と刃を交える
「キィィン...」
刃の擦れる音が中庭に響き渡る
その音を聞いてか他の柱も集まってくる
僕は相手の攻撃を受け止めながら言う
柱の人達は凄い心配そうに僕を見てるけど
割り切って入って来てくれる隙がない
そうこの剣士には全く持って隙がないんだ
これ完全に殺す気でかかってきてるよね?
僕多分まじで一撃で死ぬよ?
かすり傷1つで貧血になって死ぬよ?
頼むから早くこの地獄を終わらせてくれ
あ終わってもまだ地獄か
僕は一切質問に答えようとしない
この剣士に段々腹が立ってきて
剣士の攻撃を受け止めた後こっちから斬りかかった
やられてばっかじゃ腹が立つ
剣士は僕が攻めてきたことに気がつくと
にやりと笑って受け止め弾き返した
、、何こいつ
力強すぎるんだけど
episode32 end
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。