炭治郎side
「あなたの実の姉です」
彼女がそう言うとその場の空気ががらっと変わった
先程まで皆彼女に敵意の目を向けていたが
今は驚きと謎の匂いがする
そう言って時透くんは綾菜さんの前に屈む
綾菜さんは答えるだけ答えて何も言わない
綾菜さんは顔を下げたまま返事をする
暫くの沈黙の後綾菜さんは口を開いた
その言葉に善逸と宇髄さんが反応する
そう言えばさっきヒノカミ神楽を使って
戦ってたな、、
でも始まりの呼吸は俺の一族からの筈じゃ、、
成程
綾菜さんは善逸と同じタイプの人か
綾菜さんはすくっと立ち上がって
俺らに軽く挨拶をした
その瞬間
「パキッ...」
何かが割れる音と共に綾菜さんは顔を歪めて
地面に蹲る
隊服の袖を捲ると腕にヒビが入っていて
そのヒビからは血が垂れ出ている
(思いつかなかったので善逸の物にしました)
「パキパキ...」
どんどん割れる音は大きくなって行き
最終的に綾菜さんの顔にまで出現した
ふらふらと何とか立ち上がった綾菜さんの体は
見るに痛い事になっていた
俺は言われるがままあなたに近づくと
あなたの額にも綾菜さんと同じヒビが入っていた
と柱の方々はここぞとばかりに質問をする
俺ら五感隊は素早く中に入って様子を伺う
すると綾菜さんはゆっくりと口を開き
綾菜さんはそう言って
刀を構えていた
綾菜side
来てる、、来てんだよあいつが、、
このヒビが示すのは鬼の接近と技の酷使
でも僕はまだ限界なんて来てない、、
だから消去法的にあいつが来てるんだ
僕は音であいつの動きを読む
動き的にまだ僕らを見つけられていない
それはそれで好都合だ
僕は気配のいちばん強い部分に技を打ち込む
そう言って僕は炎を纏った刀を持ち前に一回転する
その瞬間周りの空気が揺らいだ
さっきの気配が横から後ろへ移動してる
後ろへ移動、、?後ろ、、!?
僕は咄嗟の判断で
この技で姿を消して敵の更に後ろへ回り込む
やっぱり来てた、、
父さん、、
僕は即答した
あんな父の娘なんて恥ずかしい
すると鬼は
そう言って鞘に手をかけて刀を引き抜く
炎の紋章が刻まれている立派な刀
何でこんな刀を此奴は持ってるんだよ、、
出た、出ました父さんの法螺
もう信用しない信じない
僕がそう言うと鬼は顔を歪め
その言葉と同時に鬼は今まで閉じていた目を開ける
鬼の瞳には上弦の零と言う文字が刻まれていた
まさか自分の父が上弦なんて思わないじゃん
上弦の鬼は柱3人分に匹敵する
しかも零となれば上なのか下なのかも分からない
取り敢えず前に出たからには戦わなくてはならない
そう思い僕は刀を構え相手の動きを見る
、、此奴僕の構えを注意してくる
昔の様に、きつい言葉で
僕は鬼の言葉も聞かずに斬り掛かる
そんな悠々な口調で物を言い僕の刃を避ける
何でそんなに余裕がある、、
どうすれば攻撃を当てられる、、
そう言って鬼は鞘に手をかけ
有り得ない程のスピードで技を出す
ついていけない、、やられる、、!!
そう思い目を瞑った瞬間
「キィィィン...!!」
恐る恐る目を開けると
柱の時透さんと冨岡さんが父の攻撃を止めていた
冨岡さんは鬼から視線を離さずに言う
僕は震える手で構えを取り攻撃を待つ
2人は何とか鬼の攻撃を弾き返し後ろに下がる
今の技、、柱2人でやっと弾き返せる重さ
あのまま喰らっていたら間違いなく死んでいた
そう言って見上げた鬼の顔は酷く歪んでいた
空気が揺れて足元が覚束無い
そう言う鬼の声は地が響くような低く重い声で
恐怖で体が戦闘を拒む
その声が聞こえた瞬間
僕の視界から冨岡さんの姿が消えた
「ドォォォン...」
数秒後屋敷の中から衝突音が聞こえ
中では【冨岡さん!?大丈夫ですか!?】等の
心配するような声が聞こえる
今の一瞬で柱を吹き飛ばしたとでも言うのか、、
隣にいる時透さんの顔は青ざめて
驚きと恐怖が入り交じっていたが
それでも足を止めず鬼に斬りかかっていった
いやまずいだろそれは
冨岡さんみたいに吹き飛ばされてしまう
「タッタッタ...」
駄目だ止まってくれない、、
仕方ない、、一か八か、、!!
そう言って僕は時透さんより大回りに鬼に近付く
案の定鬼は時透さんを狙い手を振りあげていた
その手が降りおりる瞬間
僕は決死の思いで鬼に斬り掛かる
「ザクンッ...」
完全に油断していた鬼の腕はあっさりと斬れた
鬼は突然腕を斬られた事に驚いたらしく
少しよろめいた後再び生えてきた腕で
僕の脇腹に打撃を入れた
僕は攻撃の圧に耐えきれず蝶屋敷の中へと突っ込む
「ドォォォン...」
僕は薄れる意識で横を見ると
ぐったりと倒れる冨岡さんの姿があった
、、何人行っても同じだ
父さんの怒りを買うだけ
僕は何とか刀を使って立ち上がり
中庭へ向かおうとする柱に
そう言って柱3人はたんっと地を蹴り
攻撃を受け止めてた時透さんを抱き抱えて
鬼に軽く攻撃を与えて帰ってきた
宇髄さんに片腕で抱えられている時透さんは
驚いた顔をして周りの人を見る
、、怪我をさせてしまった
冨岡さんに関しては失神、、
もし後の任務に支障が出たら僕のせいだ
不死川さんの言葉を遮って僕は大声で言う
周りの視線が僕に集まる
なんなら不死川さんからは殺気が、、
柱の方々は僕を気遣ってか知らないけど
必死に僕を引き止めてくれている
でも駄目なんだよ
あれを生んだのは僕らなんだから
身内から鬼が出た時は身内が責任を取る
だから、、!!
僕はそう言って構えを取り走り出す
、、最終手段だ
なるべく使いたくなかったけど仕方が無い
鎹鴉 了解した!!絶対に死ぬなよォ!!
そう言って僕の鴉は青い空へと飛び立った
episode34 end
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!