ど、どうにか肺に残ってる空気で、、
ぐにぃ、、
水の鉢は異常な弾力で僕の技を弾く
、、まあ当たり前だよな
こんな刃毀れした刀で斬れるわけがない
そう水の鉢の中で淡々と言葉を綴って居たら
草の茂みから小さな子供、、小鉄くんが出てきた
小鉄くんは水の鉢に向けて包丁を刺して
僕のことを出そうとしてくれているみたいだ
当たり前でしょ
鬼殺隊の僕でさえ切れないんだから
、、何でそんなに一生懸命になってくれるの
僕は君に何もしてあげられてないのに
そんな空間が暫く続いた後
後ろから鋭い刃を纏う金魚が近づいてきた
、、小鉄くんは気付かない
僕の声は水の中で響くだけ
小鉄くんには届かない
僕は目を見開いて彼に問いかける
でも、、そんな僕の想いも届かず
金魚は小鉄くんに鋭い刃を向けた
逃げて、、逃げて逃げて逃げて
僕には何も出来ないから、、
守れないから、、!
でも少年は逃げずにこっちへ近づいてくる
目の前の少年1人も助けられない無念さに
もう涙が出てきた
せめて頭が上なら良かったのに
水の中でしかも逆さの状態だから
血は上るし空気も尽きた、、
すると金魚は刃を後ろに振りかぶって
勢いよく小鉄くんに刺した
小鉄くんはそれ以来動かなくなってしまった
僕が弱いせいだ、、ごめんなさい、、
隣のあばら屋も襲われてしまう、、
僕は誰一人も守れないんだ、、
ごめん、、なさい、、
そう言って僕は重い瞼を閉ざした
炭治郎side
、、何回斬っても分裂して死なない!!
堕姫みたいに同時に斬らないといけないのか?
そう言って鬼は禰豆子の方に刃を振り下げる
俺は禰豆子と刀の間に滑り込み
ギリギリのところで刀を止める
、、禰豆子は疲弊しているようだ
俺は刃を弾き飛ばすと奥からすごい音が聞こえた
、、天井に穴?
もしかして、、
俺の視線の先には時透くんはいなかった
時透くん、、飛ばされたな、、
無一郎side
あれ、なんで僕空飛んでるんだろう
何だっけ、、えっと、、
まあいいや
取り敢えず着地さえ出来れば
なんかあの辺騒がしい
小屋?鬼の気配っぽいのするけど
向かってみるか
僕は木の幹に捕まって着地をし
さっき見た小屋っぽい所をめざして走り出した
意外と遠かった
僕は、、小屋の前に広がる惨状に目を見開いた
血塗れで倒れている子供一人と
水の鉢に入れられ全身針だらけのあなた、、
あなたは既に目を閉じてしまっていて
こちらに気付く様子もない
死んじゃだめだよ、、起きて、、
僕は必死に水の鉢の中のあなたに向かって
声をかけ続けた
僕が何度か問いかけると
あなたは薄らと目を開いた
そして僕と目が合うとばっと目を見開き
今にも泣きそうな顔をした
僕の問いかけには答えず
さっきから同じ言葉を口にしてるみたい
、、なんて言ってるんだろう
僕はあなたの口元をまじまじとみた
てかそんな話してる暇ないよ
これを割らなきゃあなたが死ぬ
そう思って僕が刀を振り上げた瞬間
僕はあることに気がついた
まずい、考えてなかった
これはあなたが中から割らないと
あなたに危害が加わってしまう
、、どうしよう
あなたは口からほんの少しの空気を出して
目を閉じ始めた
そうだ、、
これは水の鉢と言えど中身は水
だからこの中に息を吹き込めば、、!!
そう言って僕はこの水の鉢に唇をつけて
中に空気を送った
僕の息は泡となり水の中で揺らいでいる
そう思い顔を上げた時だった
あなたは既に目を閉じていて
ぴくりとも動かなくなってしまっていた
僕はサーっと全身の血が引いた
僕が来てどのくらい経った?
僕が来るどのくらいからその中に入ってるの?
ごめん、辛かったよね、ごめん
お願いだから、、目を覚ましてよ、、
あなた、、
episode24 end
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。