今日ね、とある同級生の意見発表を見たんだ
その人、すごく頭がいいんだけど
僕ね、期待して待ってた
そしたら、やっぱりすごく上手かった
でね、僕思ったんだ
僕にとって文章は、必要不可欠なものなんだ、でも、その人からしたらそうでもないものなんだ
僕とその子じゃ、文を書いてる時間も、熱意も僕の方が上なのに、僕の方が劣ってるんだ…
なんでだろう
努力は裏切らないって言うけど、どうしたって負ける
僕がどれだけ頑張ったって、多分あの子には勝てない
僕、絵も上手くないし
歌も上手くないし
性格も良くないし、顔も可愛くない
頭も良くない
そんな僕から文をとったら、もう何も残らない
まだ、あと一つ、書かないといけない作文があるんだけど
書く気なくしちゃったよ
でも、中途半端には投げ出せないんだ…
昨日ね、ようやく一つ完成したんだ
自習の時間をたっぷり使ったけど、満足したものは出来てない
放課後も残って書いてたんだけど
僕、自分の語彙力のなさに幻滅して、自習の時に書いてる時も放課後書いてる時も、空いてるページにずっとぐちゃぐちゃって、書いてた
幼稚園生が書くような、ぐちゃぐちゃ
ペンを投げ捨てて、作文用紙をぐちゃぐちゃにして捨てて、それが不甲斐なくて
一人で教室を出て空き教室に行って
泣こうと思ったけど涙は出てこなくて
僕は、そんな風にして沢山悩んで、沢山頑張ってるのに
あの子には勝てない
僕には、なにもない
ずっと小説を更新出来なかったのも、文を書く自信をなくしたからなんだ、ごめん
これが書けてるのは、僕の心をそのまま写してるだけだから
僕、って言ってるのも、癖なんだ
辛いことがあって追い詰められたら、僕って言ってしまう
変だよね
もう疲れた
書きたくない
でも本番まで時間もないし…
勉強もしないと…
美術の課題も…
もうすぐテストだ…
入試も近いし…
12月の県大会の練習…
ここ1ヶ月くらいね、僕、毎日三時間から四時間しか寝てないんだ
寝れないんだ
僕、何してるんだろうね
ほんとに、なにしてるんだろ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!