第10話

書きたいなぁって小説のこと
29
2019/08/20 08:38
たまに、ぱっと思いつく小説のがあったり。
多分、わかる人結構いると思うんだけど。
そんなこんなで思いついた、ひとつの小説をどうぞ。

『空に告ぐ』

私と彼女が知り合ったのは、とあるネットの、いわゆる掲示板という場所だった。
何か面白いものはないかと、ほとんど無心とも言えるような状態で画面をスクロールしていた時だった。丁度、私の年代に集合をかけるようなタイトルのスレが建てられていた。
あぁ、これは面白そうだな。そんな、興味本位で覗いたそこで、私は彼女と出会った。
歳が同じともなれば、積もる話も沢山あった。悩み事、愚痴、相談、県が違うことで生まれる新しい発券や驚き。その全てが、新鮮なものだった。
なんだかんだ、人というものは世間が狭いようで、直接接する人達のみを常識であり世界であると捉えてしまうようだ。と、今更ながらに思ったりもした。それから、1ヶ月が過ぎるくらいで、彼女とは個人的に話をすることも増えた。それは、お互いに気が合うとか、そういうことも含めて、どこか運命だったのだと思う。少しでも選んでいる選択肢が違えば、きっと死ぬまで出会うことのなかったはずの二人なのだから。世の中の出会いそんなものだと、当たり前のことを思い知らされた気がした。
それから、LINEを交換するまでの道のりは早かったように思う。
そして、お互いに色々なものを抱えて生きていることを知った。それ以上に、彼女が今の環境に辛く苦しみを感じているということも知った。これは、神様の悪戯か、もうここまで来れば意地悪なのか、生憎私と彼女の住む場所は、遠く離れている所だった。本当ならば、すぐにでも駆けつけて話を聞いて慰めるべきなのだろう。それでも、物理的に離されてしまっている私には、話を聞いてから、文字や電話で、画面越しにしか思いを伝えることしか出来なかった。
それでも、彼女は嬉しそうにしてくれた。
私は彼女にたくさんのものを貰った。それはそれは、数え切れないくらいの幸福を。その度に、私はなにかしてあげられているのか不安にもなる。それでも、彼女が言ってくれる優しい言葉を信じている。
私と彼女が会える日は、いつになるのは分からない。
だけれども、この地面や、あの空は、彼女と繋がっている。そう思えば、孤独なんて感じない。1人じゃない、それは、彼女や沢山の人に言いつつも、きっとどこかで、自分に言い聞かせている部分もあると思う。
それでも。

私へ謳う、私は1人ではないと。
どうか届けて欲しい、誰も1人ではないと。
空へ告ぐ、私と彼女が出会うまで、どうか私たちを繋いで欲しい。
今日もまた、私は誰かと共に生きていく。

プリ小説オーディオドラマ