シルク目線
一応あなたに言っておこう。
みんなに このこと話すって。
起こすのは申し訳ないと思ったけど、
あなたに話しかけた。
ガチャ…
ガチャ…
ガチャ…
ふぅ…
一息ついた時に、モトキが
「LINEでみんな呼んどいたよー」
と言った。
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数時間経って、みんな揃うことができた。
そのー…ザカオは来れなかったんだけど、それ以外のメンバーは集まってくれた。
そしてみんなに、今起きている事、あなたがここにいる理由など、必要なことは話した。
すると、だほが口を開いた。
『両親は火事で亡くなっちゃったそうだ』
俺と同じ反応をした。
そりゃそうだろう。
だってみんな会ったことある人だし、
ならないほうがおかしいって言ってもいいぐらいだ。
だよなと悲しみに飲まれて無言になったとき、隣の部屋から小さい声が聞こえた。
何か言っている。
でも聞き取れない。
俺の中に「これはまずい」という感情が芽生えた。
モトキの言葉で確信した。
あなたが危ないと。
だから俺は一言も発することなく、
隣の寝室へと向かった。
ガクブルガクブルと、
小刻みに体を震えさせ、
体育座りしているあなた。
信じられない。
まるであなたとは思えなかった。
泣きながら俺の目をまっすぐ見て訴えかけてくるあなた。
なんということか。
外から消防車のサイレンがうっすら聞こえてくる。
どうすることも出来ず、
俺にはあなたを強く抱きしめてあげることしかできなかった。
死んだとも言えず、
としか答えられなかった。
泣きながら暴れているあなたを止めるために強く抱きしめて止めようとする。
が…
鋭い声が俺の耳をつんざき、一瞬ひるんだ隙をみて、あなたは俺の腕を振りほどいた。
メンバーはどうすることも出来ず、ただ立ち尽くすので精一杯だったようだ。
そんなメンバーには目もくれず、
あなたは夜の闇に足を踏み出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。