その一言でみんなが俺の携帯に集まる。
そこに添付されていたのは
俺たちFischer’sとあなたがあの思い出の土手で撮った数年前の写真だった。
もしかしてこのメールの正体は
本当にあなたなのかもしれない。
いや、
絶対に彼女だ。
ゆっくりと状況を理解する
タタタタと文字を打つ。
「ほんとにあなたなんだな笑笑
電話番号、教えてもらっていい?せっかくならこれからまた連絡とりたいし」
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私が諒くんとメールとかでやり取りするようになってから、彼はシルクロードという名前でYouTubeをやっていることを知った。
チャンネル登録者数…500万人って聞いたときは流石にびっくりした。
それから少し経って、
電話番号を交換して、約束して、会うことになった。
場所は向こうが指定してきたんだよね。
なんか住所みたいなの送ってきてさ。
はて、
と後ろを振り向くと
小走りでこっちに向かって走ってきた。
私も思いっきり腕を振って、
合図する。
まぁまぁと、
諒くんは私の背中を押して、
私たちはそのマンションの中に入っていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!