こっちかな…
さっき、この角曲がってたよね…?
気付けば俺は、
あなたちゃんのことを追ってた。
帰って来てほしくて。
その一心で、あなたちゃんを探して。
追いかける為に走って、
息を切らしてた。
どこに行ってしまったんだと困っていた時、
思いついた場所が1つだけある。
みんなで鬼ごっこしたりした
あの公園。
あなたちゃんなら絶対そこに行く。
だから俺は全力で走って、
三角公園に向かった————————
そこにいたのは、
あなたちゃん。
と、
誰だ、あいつ。
暗闇で顔がよく見えない。
でも、公園にあった一つの街灯の
光に照らされた瞬間、
全 て が わ か っ た
あいつが、
あなたちゃんのストーカーしてたやつなんだってこと。
状況からすぐに読み取れた。
だから俺は、
持っていたスマホのライトで、
そいつの顔を照らしてやった。
流石にね、
あなたちゃんに対して、
「恋人です」とか言ったら、
ただの変人だと思ったし、
って答えるしかなくて。
自分って弱いんだなって思ってしまった。
あなたちゃんに俺は、
どれだけ怖い思いをさせれば良いのかと、
心のうちで自分を責める。
すると、
そういうと、
俺に近づいてきて、
って俺に言ってきた。
だからなんだ。
「彼氏じゃないお前に言われてもな?」
ってことなんか?
ムカつく…
そんなのは今はどうでもいい。
あなたちゃんの元に行かなきゃ。
なんであなたちゃんが謝るの…?
もう無理。
こんなに心が弱ってるのに、
何もしてやらないなんて…
だから俺は少しでも楽になって欲しくて。
ぎゅっ…
しばらくしたら、
呟く声が聞こえた。
きっと本人は聞こえないように言ったつもりだろう。
バレバレだよw
《LINE》
モ)あなたちゃんかくほー!
これからシルクの家に帰るけどいい
よね?
シ)見つかって良かった。了解!
そうして俺たちは2人並んで、
家路についた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。