琉玖「はあ…はあ……っ」
バイト先から彼女の病室まで全力疾走で駆け抜ける
病院では走ってはいけないかもしれないけれども、今はそれどころではなかった
事の発端はほんの数分前__
あなた母『もしもし、佐崎くんの携帯で合っているかしら?』
琉玖『あ、はい、佐崎です』
あなた母『ああ、良かった
私、あなたの母です
今すぐにあなたの病室まで来てもらえるかしら…?目が覚めたの!でもね…』
琉玖『ほ、本当ですか!!わかりました、行きます!』
あなたの目が覚めた、その事実だけが嬉しくて、あなたのお母さんが言おうとしていたことを聞かずに電話を切り、バイトを切り上げてあなたに会いに行こうとしてるのが間違いだったのかもしれない
あなたに会える、あなたの笑顔が見れる
その事実が、それだけが俺の気持ちを高揚させた
琉玖「あなた!!」
病室の扉を開け、笑顔で彼女の名前を呼んだ
その先に待っていたのは____
「………だあれ?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!