第7話

#6
131
2020/12/05 02:53
次の日。

私は美ら海水族館に行った。

「…大きいな。」

ついて一言目。そして中へ入って行く。




???
やあ。また会ったね。
羽音
…あ。
大体の生き物を見終えたのが、午後二時。

四時間も水族館の生き物を見ていたことになる。

まあ、この生物が何考えているんだろうとか考えていたりしていたら、こんなにいてもおかしくはない。

そして、お土産を見ていると、見覚えのある少女がそこに立っていた。
羽音
…なんですか、ストーカー…?
そんなことを相手に言う。
???
いや、ここも、昨日の首里城も観光スポットだからあったんだよ。
羽音
…そうですか。
???
二回もここで会えるなんて奇跡だね。名前は?
と、昨日も首里城で会った少女に聞かれる。
羽音
…貴方から名乗ってくださいよ。怖いので。
???
あー、分かった!私は
葉月
冨名腰ふなこし 葉月はづき。呼び方は適当でいいよ。
羽音
はぁ。
葉月
で、君は?
羽音
…羽音です。
葉月
え、苗字は?
羽音
…秘密です。そこまで言う必要はないと思うので。
そう言いながら彼女を私はじっくり見る。

制服姿だった昨日と比べ、今日は、長袖のトレーナーに吊り下げ式の短いズボン。

…身長が高めなのに、活発な小学生の子にどうしても見える。

対して、私は、Yシャツの上にベスト、下は黒の長ズボンと、比較的おとなしめな服装。

葉月さんより身長は低いのだが。
葉月
え、羽音ちゃんは何の目的でお土産を見ているの?
羽音
…複数の友人と今ここにいない父のためのお土産を。学校を一日休まさせていただいているので、その為にも、お土産を買わないと、と思ったのでここに。
葉月
えらいね、他人を気にするなんて。
羽音
それぐらい、普通なんで。普通の事はしておかないといけないんですよ。
そう葉月さんにほざきながらお土産の目星をつけていく。その間、葉月さんはずっと私の後をつけているようだ。
葉月
…普通、かぁ。
羽音
なんですか。
私が一番気にしている事を口に出して言われると思わず反応してしまう。

大抵の人が、「普通」を気にして生きているこの世界に何を口出ししようとしているのだろう。
葉月
普通が、好きなの?
そう聞かれ、私はお土産を見ていた目線を葉月さんに移す。
羽音
普通が一番いいんです。変化を極力求めない方が楽なんです。仏教の教えとほぼ同等ですよ。
羽音
ほら、よりよいを求めないのが一番楽とお釈迦様は仰っているんですから。それと一緒です。
葉月
え、羽音ちゃんは、仏教の信者なの?
羽音
いえ。こんなの、テレビでよく流れているものですよ。私は、何かの色に染まるとしたら、普通の色に染まるので、仏教の色には染まりませんよ。
私は、お土産に目線を戻す。
葉月
…普通を求めるのって、疲れないの?
お土産を見だした私に葉月さんはそう言った。
羽音
いえ、慣れれば、楽ですよ。
そう言って私は笑う。

そう、慣れれば、楽。

慣れれば…

慣れ…

そんなこんなでお土産を私は選び終えた。
羽音
麗那ちゃんと那由と遥先輩と父さんと…
一人、心の中で名前を考えながらもしっかりと人数分あるのか数える。
葉月
あ、決めたの?
羽音
まあ、そうです。というか葉月さんはお土産など…。
ずっとストーカーの如く私についてきた葉月さんにこの場所の目的を聞いた。
葉月
ん?私、友人なんて作ってないし、お母さんとお父さんと一緒に来てるから~
羽音
え、え?では、葉月さんの両親って…?
葉月
あそこ!
そう指さした先には、知っている顔がいた。


羽音
暢歌のんかさん…
私はボソッと呟いた。
葉月
え、知ってるの?
そう聞かれた時、タイミングよく誰かからLINEが来た。
羽音
あ、LINEも来たので、では。













「なんであそこに最低人間どもが……⁈」

私は外で一人、鳥肌と冷や汗を出していた。

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