第22話

消えた体 「椿編」
23
2019/10/07 11:35
雨降りの中・・・俺は、ばあばを
おぶって、絵馬荘に向かった。

診察が、終わり、コルセットと、
湿布をもらってきた。
羽柴 椿
羽柴 椿
もうすぐつくからな
ばあば
ばあば
ほほほ・・・ありがとの
数分後・・・・
羽柴 椿
羽柴 椿
ただいまー
ばあば
ばあば
静かな絵馬荘・・・あれ?流花りゅうか
羽柴 椿
羽柴 椿
おーい、返事しろよ?
そこに、かぎが、現れた
鍵 秀太郎
鍵 秀太郎
・・・椿つばき、流花が・・・
羽柴 椿
羽柴 椿
えっ
なんで、お前・・・そんな顔してる
んだよ?

留守番してって、頼んだだけなのに
まさかっ・・・
羽柴 椿
羽柴 椿
おい!どこだっ?
俺は、靴を脱ぎ捨て、慌てて部屋の中を
走り回る。
羽柴 椿
羽柴 椿
流花!!流・・・
ばあば
ばあば
椿・・・時が、きたようじゃな
振り向かなくても、わかる
ばあばが、泣いている・・・
羽柴 椿
羽柴 椿
昨日まで・・・一緒に笑って、過ごして
毎日そんなくだらない日常が、続くと
思ってたのに・・・
ばあば
ばあば
わしらが、いないうちに、消えて
しまうなんて・・・
羽柴 椿
羽柴 椿
・・・くそっ!まだ、何にも解決
してねえじゃねえか
羽柴 椿
羽柴 椿
これから・・・・これからだった
のに・・・
外で、静かに雨が降っている。
そんな音も聞こえないぐらい

俺は、悲しみでいっぱいだった。
羽柴 椿
羽柴 椿
もう・・・手遅れなのか!?
鍵 秀太郎
鍵 秀太郎
おい・・・お前、顔のアザが、
なくなってるぞ
羽柴 椿
羽柴 椿
えっ?
俺は、窓に映った自分を眺めた。
本当だ・・・あざが・・・消えて
羽柴 椿
羽柴 椿
ダメだ!!そんなの・・・こんなの
俺の選びたかった・・・道じゃない
俺は、512号室に、走って向かう
鍵 秀太郎
鍵 秀太郎
椿!!
ばあば
ばあば
待て、鍵よ・・・今は、そっと
してあげてくれ
鍵 秀太郎
鍵 秀太郎
ばあさん・・・
誰もいない512号室・・・
俺と、流花が、一緒に暮らしてた部屋

流花の、笑い声が、今も聞こえて
くるような気がする・・・

悔しい、油断してた・・・アザの事も
忘れて、呪いなんて消えると思って
羽柴 椿
羽柴 椿
でも・・・成仏できたって事は
流花が、闇の魂に、ならずに、済んだ
から
羽柴 椿
羽柴 椿
結果的に・・・よかったんじゃねえのか
心の中では、よかったなんて
思ってないくせに・・・

なんで、涙が出ねえかな・・・
声を出すのが、苦しくてキュウッて、なる
羽柴 椿
羽柴 椿
大好きだった人・・・
死んでしまって、生きてなかった
羽柴 椿
羽柴 椿
大好きな俺の・・・おれの
幽霊
ううう・・・言葉が出ない

もう、流花がいない生活なんて、
俺には、考えられねえよ・・・

戻ってこいよ・・・成仏なんて
しないでくれよ・・・
膝を、地面につけ・・・
崩れ落ちた俺・・・もう

何も考えられねぇ
雨の降る日・・・それは、絵馬荘に
とりついていた幽霊が消えた日。

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