雨降りの中・・・俺は、ばあばを
おぶって、絵馬荘に向かった。
診察が、終わり、コルセットと、
湿布をもらってきた。
数分後・・・・
静かな絵馬荘・・・あれ?流花?
そこに、鍵が、現れた
なんで、お前・・・そんな顔してる
んだよ?
留守番してって、頼んだだけなのに
まさかっ・・・
俺は、靴を脱ぎ捨て、慌てて部屋の中を
走り回る。
振り向かなくても、わかる
ばあばが、泣いている・・・
外で、静かに雨が降っている。
そんな音も聞こえないぐらい
俺は、悲しみでいっぱいだった。
俺は、窓に映った自分を眺めた。
本当だ・・・あざが・・・消えて
俺は、512号室に、走って向かう
誰もいない512号室・・・
俺と、流花が、一緒に暮らしてた部屋
流花の、笑い声が、今も聞こえて
くるような気がする・・・
悔しい、油断してた・・・アザの事も
忘れて、呪いなんて消えると思って
心の中では、よかったなんて
思ってないくせに・・・
なんで、涙が出ねえかな・・・
声を出すのが、苦しくてキュウッて、なる
ううう・・・言葉が出ない
もう、流花がいない生活なんて、
俺には、考えられねえよ・・・
戻ってこいよ・・・成仏なんて
しないでくれよ・・・
膝を、地面につけ・・・
崩れ落ちた俺・・・もう
何も考えられねぇ
雨の降る日・・・それは、絵馬荘に
とりついていた幽霊が消えた日。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!