女子生徒))え?なに、なに?
女子生徒))どう言うこと?
周りにいる生徒にも充分に聞こえる声で、柚季くんが話し出す。
……、、前にいる楠木先輩は驚いている顔をしているが、他の人からは見えてない。
口を膨らまして否定する楠木先輩に、私は少しばかりひいてしまう。
この人…、めっちゃぶりっこやんっ!!
心の中で飛び出したエセ関西弁が、楠木先輩にツッコミを入れる。
女子生徒))え、今の聞いた?
男子生徒))うわ、楠木玲奈ってクソビッチだったんだ。
ついには男子までが噂話を始める。
認めたかのようなことを言った楠木先輩に、柚季くんはにんまりと口角を上げた。
私は一瞬、ゾワっとしたけど、見なかったことにしよ、うん、はい。
私はびっくりする。
なぜなら柚季くんに肩を持たれ、寄せられて。
『こいつがいる』だなんて言われたから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!