いいよ、『キスしたら』諦めてくれるんでしょ?
だったら、うん。
柚季くんのことを好きかどうかはまだわかんないよ。
わかんないし、先生のこともわかんない。
だけど、だけどさ。
私は柚季くんがいい人ってことは知ってるから。
いい人には幸せになってもらわないと、いけない…じゃん。
私は柚季くんに顎クイされ、一気に距離が近くなる。
私の背が小さいっていうのもあるけど、背が高い柚季との顔の距離はいつも遠いから。
私がそっと目を閉じると、唇に暖かい感触が。
口の中に入ってきたのはまさかの舌で。
ディープキスをすると思っていなかった私はびっくりして、一度目を開いた。
しかし、入ってきたのは一瞬で。
多分楠木先輩ぐらいしか、ディープキスをしたことには気がついてないだろうけど。
そのまま手を引かれて、私はその場を後にする。
楠木先輩の顔が気になるけれど。
柚季くんに連れていかれたのは多目的トイレ…、、?
突然私の胸に触れてきた柚季くんの顔は真っ赤だった。
首元に付けられたキスマークは、私が柚季くんの『女』である事の証明みたい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。