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第18話

Vol.4
「うわー!ワシやない。守田がみんな喋りよったんや!!」
ワシの腕は何処や…
ああ、夢やったんか。けど、幾らなんぼでも腕なんか斬られる訳ないわな。それにしてもや、誰が西岡会長を弾いたんやろか?子供やと。何を言っとるんや、ワシ笑ってしまったがな。へへへ。耄碌(もうろく)しとるんやろなぁ。けど、ワシも疲れたわ。松山も事情説明すれば判ってくれるやろ。

勾留延長を言い渡された翌日の取調べで、ワシは守田の調書に合わすことにしたのや。
「お前の出方で、穏便にすませたるからの。河村ぶっちゃけて守田が言うように、結婚は偽装なんやな」
「そうですわ…」
それからワシの取調べに県警本部の平野という刑事が立ち会うようになったのや。格子窓の外は雨が降っていた。
「ま、コーヒーでも飲めよ。タバコも吸っていいぞ」
外の雨を見ていると、ワシは何の為に働いてきたのやろか…と思った。刑事から言わせればヤクザも右翼も同じやというが、働いて会費払っていれば確かにヤクザと同じやな。やり直そう。ワシは松山との再会が失敗やったかもしれんなぁ…。大体守田のボンクラがつまらん事故を起こすからやないか。
淡々とパソコンで調書が進みいく中で
「それでお前は松山に脅されて偽装結婚をしたのやな」
「ちょっと待って下さいや。それは、あきまへんわ」
当たり前やがな。確かにワシは車の中で偽装結婚の打ち合わせをしたが、脅された訳でもない。
車にしても刑事が言うようにキャデラックであったのか1年前のことや、ハッキリ覚えとらんのや。
「いいや、キャデラックで間違いないのや。守田も認めておるんや」
「そうでっか…」
何や知らんが、一瞬平野刑事の目が笑ったように映ったのは気のせいやろか…。
「お前、協力すると言うたやないか。それとも河村、お前ひとり被って懲役行くか!?」
協力?守田が全て事件を認め調書が終わっているのやないか。事件なんてものは、警察の調書次第と言う。単独事件は黙秘が通せてもや、共犯事件は片や認めれば、黙秘は情状が悪くなる。ワシは懲役だけは避けたかった。三杉は現役暴力団組員ということで起訴を免れなかった。
「河村、本来はの、三杉の件で共同正犯として押し通すことも出来るのや。何の為にお前を外したか判るものやがのう」
また目が笑いよった。何の為に?何の為に?何の為に…
「何も心配することはない。ええか河村、その為の警察やないか」
成る程。つまりワシが協力することで警察に貸しを作れる訳や。決してワシは警察のSに成り下がるのやない。今後警察を巧く利用すればいいだけのことやないか?
「ところで河村、松山の身辺で何ぞ気になるようなことはないか?何でもええのや」
「いいや。その辺はワシより親っさん等の方が詳しいでっしゃろ」
「ワシ等も事件関与のないことで奴の身辺を洗うことができん。奴はメデイアの繋がりさえ持っとるからの。しかし三杉は松山のシンパか?松山のことになると口を閉ざしよる。ま、同じ組なら仕方ないか。さ、河村読み聞かすから後で署名してくれ。悪いようにせんからの」
そう言うと印字された調書を読み始めたのや。
松山、アンタは警察との間に何があるのか知らんが、随分マークされているやないか。済まんが、ワシはもう関わらん方がいいかもしれんわな。ワシも嫁に逃げられたが、娘が大事やし、自分も可愛い。それがワシの本音や。