小アジア気候型
P. somuniferm ssp. anatolicum
トルコ系統種ともボスニア種とも言う。花は白か、または青紫色を帯びる。果実は大きく扁球形、もしくは卵形。
中央アジア気候型
P. somuniferm ssp. centra-asiaticum
イラン系統種、イラン種などとも言う。英語では Persian White などと称される。果実は小さく、球形もしくは卵形。
天山気候型
P. somuniferm ssp. tianshanicum
広楕円球形の大きな果実を稔らす。
北方気候型
P. somniferm ssp. eurasiaticum
果実は大きく卵形もしくは球形。
蒙古気候型
P. somuniferm ssp. mongolicum
果実は大きく球形もしくは卵形。日本で大正から昭和の初めにかけて品種改良された一貫種もここに分類される。
観賞目的のアヘン産生品種ボタンゲシ
ボタンゲシ
P. somniferumvarpaeoniflorum
P. somniferumvarlaciniatum
八重咲きの品種で、ボタンに似た非常に華やかな花を咲かせる。日本にはアヘン採取用のケシと同時期に渡来し、浮世絵などにも好んで描かれた。
varpaeoniflorumと varlaciniatumでは形態が異なり、後者は花弁が糸のように細く裂けるが、日本ではあへん法により栽培が禁止され、園芸種としての命脈が絶えたこともあるので、和名では区別していないようである。
日本国外では種小名のsomniferumを略して販売するところもあるので、海外旅行の際、あるいはインターネット等による通販で知らずに種子を購入し、栽培後にあへん法違反で摘発されることが多い品種でもある。
デニッシュフラッグ Danish Flag
日本国外で品種改良され開発された品種で、赤地に白い十字模様の入った花弁の縁が細く裂けるといった、凝った一重の花を咲かせる。その様相がデンマークの国旗に似るので、この品種名が付いたものと思われる。
ただしP. somniferumであるため、日本では栽培できない。
人間との関係
★医薬品及び麻薬原料として
本種の未熟果に傷をつけると出てくる乳液からアヘンが穫れ、それを精製したモルヒネや、モルヒネを化学的に変化させたヘロインは麻薬に指定されている。しかし完全な麻薬であるヘロインはともかく、モルヒネは鎮痛鎮静剤として医学薬学的に重要であり、特にがん患者の激痛を和らげたりペインクリニックでの治療に不可欠である、適切な使用に基づけば依存症に陥ることも少ない。なおアヘンやモルヒネについての詳細は当該項目を参照されたい。
★闇市場における商品価値本種には犯罪者の資金源としてビルの屋上やマンションの一室で栽培され、それが往々にして摘発される、といったイメージがあるが、これはケシと大麻を取り違えていることによる誤解である。麻薬原料としてのケシは、
樹葉すべてが薬物としての商品価値を有する大麻と異なり、ケシの麻薬として商品価値のある部分は乳液を固めたアヘンなどごく一部であり、利益率が低い。
へら掻きによるアヘンの採取は人手、手間、時間といったコストもかなりかかる。その割に得られる量はごく僅か(1kg のアヘンを得るのに、ケシの実が約2000本も必要)である。
そうして集めたアヘンも、効き目がモルヒネやヘロインより数段劣るため麻薬としての商品価値はかなり低い。価値を高めるには精製、及び化学的に加工する必要があるが、そうすると量がさらにアヘンのときの 20~25% までに減る。
有機溶媒を用いて化学的に麻薬成分アルカロイドを抽出する方法は効率的だが、大がかりな装置が必要となるので必然的に発覚しやすい。
といった短所を抱えている。 本種を資金源に利用する側からすれば、リスクを冒して違法栽培をするより、政情不安地域で国際条約を無視して生産したそれを密輸したほうがはるかに手早く、そのような地域からの輸入は金銭的なコストも安く済むことは容易に想像できる。
★闇市場における商品価値本種には犯罪者の資金源としてビルの屋上やマンションの一室で栽培され、それが往々にして摘発される、といったイメージがあるが、これはケシと大麻を取り違えていることによる誤解である。麻薬原料としてのケシは、
樹葉すべてが薬物としての商品価値を有する大麻と異なり、ケシの麻薬として商品価値のある部分は乳液を固めたアヘンなどごく一部であり、利益率が低い。
へら掻きによるアヘンの採取は人手、手間、時間といったコストもかなりかかる。その割に得られる量はごく僅か(1kg のアヘンを得るのに、ケシの実が約2000本も必要)である。
そうして集めたアヘンも、効き目がモルヒネやヘロインより数段劣るため麻薬としての商品価値はかなり低い。価値を高めるには精製、及び化学的に加工する必要があるが、そうすると量がさらにアヘンのときの 20~25% までに減る。
有機溶媒を用いて化学的に麻薬成分アルカロイドを抽出する方法は効率的だが、大がかりな装置が必要となるので必然的に発覚しやすい。
といった短所を抱えている。 本種を資金源に利用する側からすれば、リスクを冒して違法栽培をするより、政情不安地域で国際条約を無視して生産したそれを密輸したほうがはるかに手早く、そのような地域からの輸入は金銭的なコストも安く済むことは容易に想像できる。
★世界における栽培の現状政情が不安定な地域における非合法栽培は別として、世界の多くの国では国内法で本種の栽培に何らかの規制をかけてはいるが、一方では自国で本種を栽培してモルヒネ需要をまかなっており、いたずらに栽培を厳禁しているわけではない。ヨーロッパでは一面に咲きほこるケシ畑が春の風物詩になっているほどである。また、多くの国ではアヘンやモルヒネの採取を目的としない園芸用といった栽培については規制していない。 なお、先進国においては乾燥させた本種の植物体を有機溶媒に浸してアルカロイド成分を浸出させる方法で効率的にモルヒネを回収している。原始的なへら掻きによる採取は、モルヒネの回収率が非効率なこともあり、形としてアヘンを生産する必要のあるアヘン輸出可能国か、非合法生産下でしか行われていない。
★日本における栽培の現状。日本でもあへん法によってアヘンやモルヒネに対する規制がかけられているが、同法は戦前の満州や朝鮮で大規模に行われた戦費調達のためのアヘン生産の反省に基づき、国内での大規模栽培を例外なく禁止する意図の元に策定されている。ゆえにその内容は他国に比較して非常に厳しい。
現在日本においてあへん法に基づく栽培許可を受けるには、栽培地の周囲に二重の金網を張り巡らし門扉には施錠する、といった非常に厳しい条件をクリアしなければならない。ゆえに実際に許可を得て栽培しているのは国や地方自治体の研究機関や、薬科大学、大学薬学部の薬草園、および北海道に国の研究機関から委託されて栽培している数軒の農家があるだけで、国内のアヘン生産量は実験室レベルに留まっている。これではとても国内需要をまかなえないため、日本は国際条約下で数少ないアヘン輸出可能国にもかかわらず、他国からアヘンを輸入している。 なお、2008年には茨城県下妻市にある小貝川ふれあい公園で行われるフラワーフェスティバルの会場では、ポピー畑に誤って栽培禁止種であるアツミゲシが種子の時点でポピーの種子に混入したために数十万本植えられていることが判明し、撤去・焼却処分した事例もある。
日本での栽培史
日本では桃山時代から江戸時代にかけて中国より渡来し、当初青森県で栽培されていた。それゆえ、アヘンを隠語で津軽と称した。その後山梨県、大阪府などで少量、産出された。第1次世界大戦頃、医薬品国産奨励の一環として栽培が奨励され、1935年頃には全国作付けが100ha、アヘン年間生産量は15tに達した。当時全国産額の50%は和歌山県有田郡で、40%が大阪府三島郡がそれぞれ占めた。 1946年ケシ栽培が禁止されたが、1954年あへん法が制定され、翌1955年から栽培が再開された。しかし戦前のような大規模栽培は復活することなく、現在の栽培量は上述したように実験室レベルに留まっている。『ケシ参照』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。