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第6話

弁護人質疑
「いいですか河村さん、貴方がね松山君に強要されたと言う期日ですが、貴方がね供述したキャデラックは存在していないのですよ。これを見て下さい」 
そう言い終えると園田弁護士は、何やらの書類を手に河村の証言席に歩を進めた。
「河村さん、貴方が言っているキャデラックはこれですね」
と1枚の写真を河村に見せたのだ。「!?」その写真を何処から手に入れたの?警察があれほど捜していた白色キャデラック。やはり奴はキャデラックの保管場所は供述していなかったのだ。成る程、それで刑事が傍聴席にいる訳が理解出来たわ。何たる失態。けど、まだ敗けた訳ではない。何処かに打つ手がある筈よ。
「この車に間違いないですわ」
河村が答えるや、園田弁護士は素早く切り返し
「本当に間違いありませんね!?」
「はい。間違いありまへん」
河村は応じた。奴の目が笑っていた。まるで河村が質疑で応じることを判っていたように。そして既に私には何等興味なさそうに。それじゃ今までのことは何だったのだろう…『白昼夢?』まるで何もなかったような素振りで河村の背中を見つめているではないか。私は疲れているのかしら…私は思わず愛撫された蜜壺を確認するように腰を少し浮かせ座り治した。その時、まるでヒルが離れまいとするようにショーツにイビツさを感じた。
『やっぱり濡れていた。白昼夢でも何でもない』
そう。私は感じていたんだ。よそう…。思い返すのは。もう1人の私が求めていることを知っている。
園田弁護士の攻勢が続いていた。
「いいですか河村さん。これ判りますね。そうです車検証書です。この部分を見て下さい。松山所有登録日は何時になってますか?2月2△日になっていますね。つまりですよ河村さん、貴方の供述による日には、このキャデラックは存在していないのですよ」
と指で写真をつつきながら言い放った。
園田弁護士の説明によると、奴のキャデラックはオークションで落札させたものである。オークション規程により、落札後の名義変更は2週間との決まりだと言う。つまり奴の所有名義登録日より14日ないし20日を遡っても河村供述による証言日は有り得ないという。陸運局より取り寄せた[登録事項証明書]が証拠提出されたのだ。
「おかしいなぁ…」
言葉を洩らす河村の言葉など、最早必要なさそうに証人喚問における弁護質疑を修了することを判事に告げ、私の正面にある弁護人席に園田弁護士は席に着いた。
確かに警察の供述内容が全てが正しいのかと問われると、恥ずかしながら肯定し難いものがある。しかし、検事としては否定出来ないのである。だからと言って全ての事件を起訴する訳でもない。事件性がなければ不起訴ないし不処分(処分保留)を下さねばならない。
頭の中でジクソーパズルを組み埋めていく。何故警察は奴のキャデラックの存在証明を挙げようとしなかったのだろうか?
「決めつけは自由だ。けどククク、1つの盲点が I will expose the way of the law」
奴を調べた担当検事からの報告である。『成る程』確かにキャデラックは盲点だったかも知れない。しかし I will expose the way of the lawは何を指し得るのだろうか?
「カネが必要という守田。偽装結婚を望んだのも守田。確かに楊を紹介したのは認める。しかしその後は一切観入していない。検事さん、貴方は人を紹介したというだけで罰を与えるのか?それともククク、Or is this oneend of game, too?クククク」
実際奴を起訴するか否や随分悩んだらしい。確かに奴の言っていることは的を得ている。普通なら罰金で済む程度の事件性である。しかし河村証言が流れを変えてしまった。『偽証?』そうであったして何の為に?偽証……例え河村供述に偽証が組み込まれたしても、それが証明できなければ無駄な足掻きになるだけ。
民主党政権発足時、警察での取調べに於ける可視化:録音の必要性が取り出された。理由は調書の捏造防止対策である。確かに短編小説の書き並べた供述調書の最後に氏名指印だけなら、確かに捏造は可能である。事実捏造事犯が見直しを喫してしまったのである。現在は供述調書の各紙面に指印を実践しているが、だからと言って捏造が皆無とは言い難いだろう。
それにしても奴は何故ヤクザになったのだろうか…そして事項。何だか奴に深入りしない方が良いのでは?
『何故?』
判らない。検事としての自覚があるにも関わらず、今まで気付かなかった自分の中の存在性。本当の自分が判らなくなっている。混乱……?そうかも知れない。しかし河村並びに守田達を調べた私が何故法廷検事に選ばれたのだろう。只言えることは奴に翻弄されていることだ。いや、それは私だけではない。山下判事にも窺えた。女として通じるものが同性故に見受けられものがある。
そう言えば、もう何年になるだろうか、判事と女性被告人との恋愛が報じられたことがある。しかし…あるまじきか、この私が奴に深く関わっていくことなど全く予想だにしていなかった。
「愚蠢的魂沈溺于愛欲(ユ- チュン ダ フン チェン ニ- ユ- アイ ユ-愚かなる魂は愛欲に溺れる)クク」
公判終了に伴い奴にはお似合いブレスが双方の腕に嵌められ、逃走防止の腰縄を刑務官に手綱され法廷を退室する時に奴の口から洩れた言葉。確かに手綱された姿は、プライド高き者には屈辱と言えよう。検事席前を通り過ぎ間際の言葉。
心臓が何故か高鳴る。漸く終えた今日の公判に本来は安息感を覚えるものが、逆に何かにどよめくような高鳴り。ふと感じた妖しげな香りはなんだろうか…、刑務官から香でるコロンの匂いではない。どこか甘秘めいた記憶にある香り。
『まさか!?』
間違いない。ほんの僅かだか、確かに奴から香でる匂いが脳裏を刺激した。その為の高鳴り?背筋に電流が走る。あの小さな蛾がまだ蛍光に何かを求めるようにか回り飛んでいた。もしかして、あの蛾は私なの…?『何故?』まさか拘禁生活にオーデコロンが使える筈がない。時折バカな被告人が艶をつけているつもりか知らないが、整髪用リキッドを香料代わりに使うそうであるが、奴の香りは明らかに違っている。目眩を感じる。
「Blood……」
私は間違っているのだろうか?奴を意識するまいとすれば現状の私を逆らうかのように内なる私が押し出ようとしてくる。あの香りが錯覚であってほしい。感情の縺れに惑うように私は検察庁に戻るや、我慢していた用足しの為にスットキングとショーツを重ねたまま膝間際に下ろし、スカート裾をたくし上げ便座に腰を降ろした。
「こんなに…嫌だ」
薄白くシミとして付着している愛液を見、自分をはしたないオンナであることを知る。用足し後に如何にも安価なトイレットペーパーを手繰り寄せ重ねた。
「カラカラカラ――」
まるで私を見透かして笑っているようにさえ聴こえる。折り重ねたペーパーで恥部を拭った時、私は内なる私を呼び寄せていた。
「あふん…」
意識からかけ離れた指が操られるように蜜壺をまさぐっている。洩れ恥じらう吐息に絡む歓喜なる声に自分を呼び寄せてた。違う違う。私はそんな女ではない。物足りなさを促する蜜壺が熱を帯びている。ぬめり光る指を唇に寄せた時に『イカせて…』と内なる私が哀願する。ドクリ、ドクリ――、疼きを払うように私は新たにペーパーで愛液を拭う。
「ケラケラ。イヤらしいオンナ」
取り付け器が私を笑う。
「そうよ。私はイヤらしいオンナなの。みれば判るでしょ。その証しがショーツの染み跡なの。うふふ」
「違う違う。私は違うのよ内なる私。出て行って頂戴」
「何故貴女は自分を偽る?オルガズムに達したいくせに。あはは、そうよ貴女は奴に溺れイキたいくせに」
「奴…まさか!?」
イカせてイカせて。そうせがむ蜜壺がじわりじわり濡れだす。違う!腹立ち気に私は扉を叩いていた。松山慎吾――。 Blood…血の香る男?何者なの貴方は…