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第67話

Vol.3
なんて温かいのだろうか。バカな彰子でも、それが感じ取れる。
老紳士の頬に涙がつたっていることに気づいた時、彰子は慎ちゃんと出逢ったことに運命を感じたんだ。
その時room telephoneが鳴ったと同時に、老紳士は頷き、手を離した。
「判っていますよ。貴方が言わんとしていることが」
慎ちゃんが老紳士にそっと囁いき立ち上がった。
受話器に手を伸ばし耳にあてがうと
「ククク、判った。10分後に部屋に通せ」
大型モニターTVからDJが選曲した『SOULHEAD』の YOU CAN DO THATが流れる中で若者がダンスに講じていた。

隠し扉が開く。別れを惜しむような老紳士に大きく頷いた慎ちゃんは子供のような瞳を見せていた。
「それでは失礼します」
護衛の1人が慎ちゃんに言葉を交わし、扉に3人は吸い込まれるように消えていった。静かに扉が閉まる。屋上用の隠しエレベーター。待機しているのはヘリコプターであるんだ。
彰子が何故知ってるかって。あのショーが始まった日、彰子達はヘリコプターで此処に移動したんだよ。このクラブが入るテナントビルの影のオーナーは、今言ってはヤバイかな、キャハ。その管理を任されているのが慎ちゃん。あ、でも登記をあげても無駄だよ。オーナーには辿りつかない。
●SOULHEAD
日本 北海道江別市出身
ジャンル R&B
ヒップホップ
活動期間 2002年 - 現在
レーベル ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ(2002年 - 2007年)
avex trax(2010年 - 現在)
事務所 Universal Music Publishing LLC
公式サイト Official Website
メンバー
YOSHIKA
TSUGUMI
SOULHEAD(ソウルヘッド)は、姉のYOSHIKA(ヨシカ、1978年7月 - )と妹のTSUGUMI(ツグミ、1981年1月 - )による日本のR&B、ヒップホップ姉妹デュオである。北海道江別市出身。それぞれ海外への留学経験がある。姉のYOSHIKAはSowelu、Crystal Kay、平井堅などの楽曲提供をしている。

「ククク同様,是不是イ尓們?是大概阿修羅黄ロ馬(トン ヤン,シ- ブ- シ- ニ- メン?シ- ダ-ガイ ア- シウ ルオ ホアン マやはり、お前達か。確か阿修羅の黄君だったかな)」
「為何知道我?(ウェイ ホ- ジ- ダオ ウオ?)何故俺を知ってる?」
「不是只イ尓。大概那个二人是林和孫(ブ- シ- ジ- ニ-。ダ- ガイ ナ- ガ アル レン シ- リン ホ- スンお前だけじゃない。確かその二人は林君と孫君だったな)クク、ククク」
「…………」
突然の来客が、まさか阿修羅のメンバーだなんて。3人を伴ってきたのは、この店の支配人なんだけど、当然慎ちゃんの部下の1人なんだけどね。
「要件は判っているが、ククク、何故お前達にみかじめ(用心棒代)を支払う必要があるんだ?」
「此処は俺達の縄張りだ」
「ほう、いつからなんだ?いいか黄君、此処は俺の寝城でもあるし、関東侠勇連合会渋谷支部長の早野さんには筋を通しているがな」
「そんなことは俺達阿修羅に関係はない!!」
そう言うと3人はナイフを出したんだ。
殺気だつ3人を見やりながら慎ちゃんは笑っていた。えっ、マジ?キャハハ。1人の若者の顔がひきつっていたんだよ。「 I withdraw Bobby, dangerous quality(ボビー、物騒な物は引っ込めるんだ)」
キャハ、マジなの。それってブローニング?頭に押し付けられた銃口、蒼白な顔をして震えだす若者。
あれ、そう言えば彰子は警察官であることを忘れていた。でも、逮捕出来るわけないよね、キャハハ。

●Beretta M84自動拳銃、Browning M1910自動拳銃。
ベレッタM-84,イタリアのピエトロベレッタ社が開発し、我が国では海上保安庁や厚生労働省麻薬取締官が採用している中型自動拳銃で、9×17mm弾、所謂9mmショート弾を13発装填する高性能な自動拳銃。
ベレッタ社は世界でも最も古い銃器メーカーで、その歴史は16世紀にマスケット銃を製造する企業まで遡ることが出来ます。そもそも企業という仕組み自体が成立したのはフェニキア人が地?海沿岸に造船業として生み出した仕組みという事ですので、同じ地中海沿岸では産業という概念が組織化しやすい下地があったのやもしれない。
自衛隊制式拳銃であるSIG-220とベレッタM-84を並べてみと複列型弾倉を採用するベレッタM-84は13発を装填できるが、9×19mm弾を使用するSIG-220と比較しても小型であることに驚かされる。
FNブローニングM-1910,徹底した小型化と突起物の排除を以て完成した20世紀の傑作拳銃、ブローニングM-1910である。ベルギーの物凄く古い拳銃のモデルであるが、我が国では陸海軍の将校用拳銃として、また警視庁を始め警察用拳銃として戦前戦後と運用された。
「辞…給…(ツ- … ゲイ …辞めて…くれ…)」
銃口を頭部に突き付けられた若者が震えながら言葉を洩らしたんだ。その状況を察した2人が振り返り黄なる若者が慎ちゃんに言葉を吐き出した。
「汚没有。怎麼説…是不是当真?(ウ- メイ ヨウ。ゼン マ シュオ … シ- ブ- シ- ダン ジェン?汚ないぞ。まさか…本気なのか?)」
「ククク、ヤクザに汚ないも綺麗もないのじゃないのか。ましてお前達は半グレではないか。それに黄君、お前達が関東侠勇連合会と繋がっているのは判っている。それよりもククク、土産を君達にあげようではないか」
「…………」
そう言い慎ちゃんはサイドボードから束ねられた用紙を黄達に投げ出した。見つめる黄達。
「どうした?」
恐る恐る腰を屈め黄が拾いあげた時、黄は絶句したんだよ。
「ま…まさか」
「ククク、阿修羅か。若いのに大した組織だ。しかしお前達には仁義がない。判るか黄君。俺達は仁義を重んじる。それがヤクザと半グレの違いだよ。今から始めるかね」
慎ちゃんの言葉に黄達は蒼白になりながら慎ちゃんが投げ出した書類を拾いあげ何やら話し出した。
「怎様的,黄?(ゼン ヤン ダ,ホアン?)どうした、黄?」「看這个。是我們成員的住所地等的名単的…。(カン ジョ- ガ。シ- ウオ メン チョン ユェン ダ ジュ- スオ ディ- ドン ダ ミン ダン ダ …。これを見ろ。俺達メンバーの住居地などのリストだ…。)」
「あっ……!?」
今から始めるかね。その言葉の意味を汲み取ったみたい。
「わ…判った。此処には一切関わらない」
「ククク、そうはいかないな。早野さんの面子もある。ククク」
そう言うと慎ちゃんは室内に備え付けられた電話に手を伸ばしたんだよね。
愛と任務。
彰子は愛を選んだ。確かに彰子は警察官としては失格かもしれない。けど……彰子は拉致られかけたんだよ。それも同じ組織に……。処が、その件に対して監査課は調査さえしない。疑念を抱いても不思議じゃない。お金に魂を売る同僚、そして彰子を見る卑しげな視線。同じ組織の中での裏側に犇(ひし)めく正義と不正義、其処に見えるものは悪辣な欲望が絡みついているだけだった。 想像もしていなかったんだよ。慎ちゃんと知り合うまでは。
警察本部には監査課が置かれている。けど、それは体裁でしかなかったとしか思えない。

監察官(かんさつかん、英語: Inspector General ; IG)とは、官吏等の監督査察などを担当する職名であるんだよ。強制力を行使する権力的公務など、特に職務の性質上、内部の監察を要する官庁その他には監察官が置かれている訳。
判るかな?
日本の警察における監察官は警察庁、警視庁および各道府県警察本部に設置される常設職であって、警察不祥事の捜査、服務規定違反など内部罰則を犯した警察官への質疑、表彰、内部犯罪の取り締まりや監視・さらには会計上の監査業務に携わるんだよ。

監察と公安委員会
監察の実施状況を公安委員会に報告することが義務付けられているんだ。公安委員会は市民を代表してそれをチェックするんだよね。
警察庁長官並びに警視総監及び道府県警察本部長は、毎年度監察実施計画を作成し、それぞれ国家公安委員会又は都道府県公安委員会に報告し、4半期ごとに少なくとも1回、監察実施状況を報告することになっているんだ。

国家公安委員会及び都道府県公安委員会は、監察について必要があると認めるときは、それぞれ警察庁又は都道府県警察に対して具体的又は個別的な事項にわたる指示ができるという訳。
警視総監及び道府県警察本部長に、都道府県警察職員の懲戒事由に係る事案について都道府県公安委員会への報告義務を課す。

首席監察官
首席監察官とは、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、監察に関する事務を掌理する職であり、総責任者は「警察庁長官官房首席監察官」といい、警視監。官房人事課長よりさらに上位であり、国家公務員たるいわゆるキャリアの警察官が就くことが定められているんだよ。
関東管区警察局は「監察部」、中部・近畿・九州の各管区警察局は「総務監察部」、東北・中国・四国の各管区警察局は「総務監察・広域調整部」と称している。首席は警視長か警視正。
警視庁・道府県警察本部
警務部監察官室に属し、階級は全員が警視。都道府県毎に多少の違いはあるが、警察官を捜査する監察官はその役割から、副署長経験者を1年ほどの任期で選任することがあり、次の異動で署長や本部課長に異動するまでの比較的短期間の職位である。また逆に署長を務めた後監察官に就任し、翌年本部の課長になるケースも多い。
いわば「警察の中の警察」であり、監察官室も警務部の中に置かれる。また監察官の指揮下で、捜査対象の警察官への行動確認などを行う監察官室員は、公安警察の出身者が多いとされる。
近年監察官に対し接待や馴れ合いなどで不正との批判等を受ける事案も発生しているんだよ。上には甘く下とは馴れ合う風習ができあがっているから、それがカラ監察などの風潮を生み出す原因にもなったとされてる。新潟県で発生した少女監禁事件の際に発覚した賭けマージャンスキャンダルなども警察庁の特別監察チームを新潟県警察本部が過度に接待をしたことが原因といわれているほどなんだ。
~監査官より~
けど、余程のことがない限り監査官が捜査に乗り出すことはないのじゃないかな?

警察庁
警察庁の監察官は、警察庁組織令第6条で首席監察官の設置が規定されている。官房人事課監察官(定数3)は上部監察として道府県警察本部に出張することがある。官房人事課の監察は22名体制。地方機関である管区警察局の監察課・監察官は、管内の道府県警察本部にしばしば出向く。管区警察局の監察は全国で126名体制。ただし通常の監察は警視庁・道府県警察本部監察官の業務で、官房首席監察官であっても直接監察を行うわけではない。監察業務の重点方針決定、各監察官の監督が主である。

「早野さん、松山ですが、ご無沙汰です」
「やあ松山さん、突然店から電話とは、何か間違いでもありましたか」
「クク。実は阿修羅、ご存知ですよね。ええ、確かケツ持ちをしていらっしゃるのでしたね」
「………」
「実はクククク、たかりにに来ているのですよ。あなた方の名を出してね」
ボビーを見ると、まだ銃口を彼等の1人の頭に突きつけたままだったんだよ。
「我們什麼都没説!!只是…
(ウオ メン シェン マ ドウ メイ シュオ!!ジ- シ- …俺達は何も言ってない!!只…)」
痛そう。ボビーが突きつけていた拳銃で頭を叩きつけたんだ。
「うう…」
頭を押さえながら膝を崩しもがいている。
「早野さん、クククク、只この渋谷は阿修羅の縄張りと言っているのですよ。それならば、此方でケリをつけても構わないですよね」
「ちょっと待ってくれ松山さん。今から店(そちら)に行かせて貰う」
慎ちゃんは静かに電話を切った。
「ククク黄君、今から早野さんが来るそうだ」
「…………」
「いいか、お前達が残留孤児だか何だか知らないが、忘れるんじゃない。個々は日本だ。暴対法が出来たからと言って甘くみるんじゃない」
「ちっ…。しかし俺達を甘くみるんじゃない」
「じゃ、全面戦争(ドンパチ)を始めるか。それよりも、お前の携帯を見てみるんだな」
そうなんだよ。この部屋は防音は当然なんだけど、キャハハ、携帯は圏外になるんだよ。
「あ!?」
「クク、何の為に君に土産を渡した?クククク、以毒制止毒。是不是明白,那个意義?(イ- ドゥ- ジ- ジ- ドゥ-。シ- ブ- シ- ミン バイ,ナ- ガ イ- イ-?毒をもって毒を制す。判るか、その意味が?)」
「まさか………」
「例えばだ、ボビー」
そう言った時、一発の銃声がなり響いた。
轟音に怯え身を竦める阿修羅の3人。
天井からパラパラとコンクリート片が塵のように舞い落ちた。
大型液晶テレビには何事もないようにレゲエが流れ男女が踊っている。
「ククク。どうした黄君?何なら早野さんが来るまでゲームでもしてみるか?ククク」
「ゲーム……」
また慎ちゃんが何かやらかそうと彰子を見て笑っている。
「お前達の中から1人が、そこに居る彼女とタイマンしてみないか」
「そんな柔そうな女とだと?で、もし勝てば」
「ククク、勝てばじゃなく、負ければどうなるかじゃないのか」
嘘嘘?彰子が相手にするわけ?嫌だな~
「臭屎!黄,我gao!!(チョウ シ-!ホアン,ウオ ガオ!!)くそっ!黄、俺がやる!!」
こっわ~。睨まられたよ。キャハ、仕方ないか、掛かってきなさい。キャハハ。

同時刻、ラウンジ『黒蝶』。
「西岡さん、いつもありがとうございます」
ママの麗子。
「麗子、そろそろエエ返事が欲しいもんやな」
私にアプローチするのは今夜で何度目だろうか。
ボックス席のテーブルに特上寿司が盛られていた。
「お前達も遠慮せんと食べや」
黒のドレスを着飾った若き夜蝶達に勧めていた。また何かでお金が入ったのだろう。
「会長さん、松山さんは来ないのですか~」
「何や優香里、お前は松山に惚れとるんか?辞めとけ辞めとけ。アイツに惚れるんやったらワシにせんかい」
「ウフフ、だって会長さんはママがお気になんやもん」
機嫌良さそうに財布を開け見せびらかすと「すご~い」と歓声をあげる優香里達。
「香織、お前も遠慮せんと食べや」
「戴きま~す」
「それにしても、この店の女は松山松山と煩(うるさ)いもんや。ま、ワシから言わせても松山様々やがな。ガハハハ」
スマートさの欠片もないこんな男に抱かれると思うだけで鳥肌が立つ。しかし、うだつのあがらないこの男が帯付きの札束2つを見せびらかすということは!?
「ウフフ、西岡さん、他所にもイイ女(ひと)が居るんでしょ?」
「アホ言うな。ワシは麗子だけに惚れとるから、こうして通ってるんやないか」
山崎(12年)をこよなく呑んでいるものの、ボトル代は松山さんが支払ってくれている。
「本当かしら?」
「ホンマやがな。何ならこの店の家賃はワシがみたってもええで。どや麗子?」
この男は女のしたたかさを知っているのかしら。
「西岡さん、いいえ西岡会長、私ってそんな安価な花かしら?」
テナント料なんて高々しれている。
「判ったがな麗子。お前の住むマンションの家賃もみたるがな」
「最低でも30は掛かりますけど、ウフフ西岡会長なら大した額でないですわね。はぁ~…」
私はワザとらしく溜め息を吐き「店を閉めようかな…」と呟いた。
「何や麗子、うまくいってないんか?」
うまく言っていない訳がない。呑む度に1万円しか置いていかない貴方以外は客筋が良い。それにウフフ、影のオーナーは実は松山さんなの。
「会長、イイ店を紹介しますよ」
そうして西岡を連れて来たのが松山さん。
「ママ、銀流会(うち)の西岡会長だ。ボトル代は俺がみるから、今後とも懇意にしてくれ」
「松山、ミカジメを貰っとるんか?」
「ククク会長、この店のミカジメなんか高々2万ぐらいでしょ。1回飲めばペイされますよ」
それが西岡との出逢いであった。それから松山さんの言葉通り、西岡は頻繁に通い出したわ。
ある夜、西岡はある刑事と同席していたの。当然この店内には隠しモニターが仕掛けられている。いいえ店の監視じゃなく、ウフフお客のリストアップと刑事と同伴する客筋を分析するためのものなの。