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第80話

Vol.4
「あ~ん慎吾さん、お酒なんか飲まないで、もっと優香里を愛してぇ」
「yesterday。全ての始まりはクク、過去からだ」

Yesterday
ドライジン 4/6
オレンジキュラソー 1/6
ライムジュース 1/6
カンパリ 1d
→カクテルグラス
ビートルズの曲から命名
1967年 デンマークバーテンダー協会カクテルコンペティション優勝

ちゅぱちゅぱ。隆起したペニスに慎吾さんの肌から伝うカクテルyesterdayが私の口にも流れ込む。別に構わない。例え1度きりのものであっても、明日から私は今日の出来事をいつまでも素晴らしい思い出として胸に抱いていけるもの。

「オッチャン、早くお金頂戴。僕ね、オッチャンの持っている200万円が欲しい」何故?何故この子供は200のことまで知っているのだ。
「ねえ、早く頂戴よ」
「か…会長、今は出すしかありませんよ…」
「このクソガキが」
歯痒いのは何故この情報が洩れているかだ。
「クソッタレが!!村田、貸しやで」
そういうと西岡は一旦内ポケットに仕舞い込んだ封筒を取り出し、自分に手渡した。
「ありがとう、オッチャン」カネを受け取ると、その子は小走りでバイクに駆け寄り、後部に乗り座ったのだ。
ウォンウォンウォ―ン。アクセルを吹かす中でその子供はにこやかに笑いながら 「オッチャン、バイバイ」と言っている。正にその時である。
タタタタタ―――。
自分は身体を伏せたのだ。狙われた。ま…まさか西岡が…。
訓練用の弾丸として、「シムニッション」というペイント弾が存在する。M16系アサルトライフルの場合、ボルトを含むアッパーレシーバ一式を、シムニッションを使用するためのコンバージョンキットに交換することによって使用可能となる。エアソフトガンや空包を使う訓練と違い、「本物の銃」で「実際に弾を撃つ」ことで、兵士に実戦さながらの緊迫感を与えることが出来る。
~ペイント弾参照~

薬莢がないということはレンコン(回転式拳銃)か。
「ところで、君は誰なんだ?」
「ククク。吉岡さん、貴方のご想像にお任せしますよ、クク」
「君がどのような素性の女性か知らないが、私に何を伝えたいのだ」
妙に若い声主だな。20代だろうか?それにしてもタイミングが良すぎる。私は周囲を窺ったが、それらしい車両が見当たらない。
「いいですか吉岡さん。先ず双方のICレコーダーを聴くことをお勧めしますよ」
「ICレコーダー?」
「何故貴方がこの時期に京都府警から移動したのか、その中に僅かながら得がたいものがあるのでは?」
「京都府警からの移動を知っているのか?おい、何とか…」
切りやがった。寒気がする。私は…、監視されているのか…。まさか!? そう思った時私は村田を見据えた。手に握りしめられているものは、紛れもないICレコーダーであった。
「よ…吉岡さん…」
「ペイント弾だ。しかし醜態を曝してしまったな。それよりも、そのICレコーダーを渡して貰おうか」
「………」
「それと、後ろの方は誰だね?」
項垂れたまま村田は黙っていた。只「終りですか…」とだけを小さく呟いた。
誰かが通報したのであろう、1台の警察車両が駆けつけた。2人の巡査が私達に近寄り身分を問いかけてきたのだ。
「何か発砲音らしきとの通報がありましたが、貴方は?」
「公安の吉岡だが、子供の悪戯だ」
私は身分を証す為の警察手帖を開けた。敬礼する2人の巡査官には、私から村田の身分も説明するが、さて、後部座席者の説明をどうするかだ。
「失礼しました。処で後部座席者は如何なるご関係の方でありましょうか?」
「いや…その……、相談を受けていたもので…」
当然村田としては歯切れの悪い返答しか出来まい。
「宜しければ、少し事情を伺いたいのでありますが」 そう言いながら、その巡査官が後部座席を覗き込んでいたのだ。もう1人は運転席に。
どうすることも出来ないか…。そう思案をくれていた時である。気を許していた為か、一瞬の出来事に私は為す術がなかったと言えるしかなかったのだ。