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第14話

Vol.2
「申し訳ありません。今大変込み合っています」
「何やと!空席だらけやないか!」
何故込み合っているというのか。奥のテーブルに1組だけではないか。
朱を基本に豪華な造り構えの店内は目を見張るものがある。恐らく神戸にはこれ程の店はなかろう。
「李さん、今夜は何があるのか知らないが、判るだろ」
「そうや、わざわざ神戸から来とるんや。神戸判るな!何じゃ、お前等は!!」静寂を打ち壊す乱入者を押し囲むように数人の店員達が手に手に青龍刀を持っていたのだ。中には演義の美髭公関羽の姿さえある。演義を中断された女達は奥に消えていた。
「李,停止。ククク是関西山神会山岡剛輝会長ロ約。(リ-,ティン ジ-。シ- グアン シ- シャン シェン ホイ シャン ガン ガン ホイ ホイ ジャン ヤオ李、やめろ。関西山神会山岡剛輝会長だよ)」
「可是…(コ- シ-しかし)」
奥席の男が背中を向けたまま言葉を発したのた。
「ククク。好。馬上在座位引導為使上最高的飯菜(ハオ。マ- シャン ザイ ズオ ウェイ イン ダオ ウェイ シ- シャン ズイ ガオ ダ ファン ツァイいい。直ぐ席に案内し最高の料理を出すように)」
その言葉に店員達が其々の持ち場に引き上げていく。
「クククク。 It is Bobby,関西山神会山岡剛輝会長and the party of executives.」
「ヒュウー! It is even dignified presence. It is a color same as Suginami building」
「李,使之再次上演演義。并且到山岡会長返回傳達別疏怠警備(リ-,シ- ジ- ザイ ツ- シャン イェン イェン イ-。ビン チエ ダオ シャン ガン ホイ ジャン ファン ホイ チュアン ダ- ビエ シュ- ダイ ジン ベイ李、演義を再演させろ。そして山岡会長が帰るまで警備を怠るなと伝えろ」
「明白了(ミン バイ ラ判りました)」
「李さん、あの男は誰なんだ?」
次々と運ばれる料理の中で関西山神会横浜支部長林野祐二が言葉をかけた。
「林野さん、貴方も横浜のお方ならチャイナブルーの名前ぐらいは耳にしているでしょう」
「………」
「林野、誰やチャイナブルーとは。只のチンピラやないけ」
同席の本部長狩野健が口を挟んだ。その時、李はうっすらと口元に笑みを見せ、届いたばかりであろう複写用紙を狩野に差し出した。
関西山神会直参名簿録。
「何やコレは!?ウチの人間のデーターやないけ。家族構成まで…。親分まさか侠勇連合会…」

私が彼との出逢いである。恐らく興味を抱いたのは間違いない。
「林野、面白い男だ。欲しいものだな。少なくともお前は訊き知っているようだな。調べてみるんだ」
私達の調査力は警察にも引けをとらない。しかし、よく此処まで調べたものだな。この私のことまでも。まさか此処まで調べているとは。

「処で慎吾君、その後の進展はどうだね」
「ククク。会長は全て御存知でしょう。では失礼します」
彼はそう言うと電話を切った。私の組織は特に厳罰を処しているのが麻薬等の取扱い並びに不良外国人との交際である。当然、破廉恥等は最もであることは今更言うことではないが。
「会長、仁義が失せれば世間が言うヤクザに、ククク何が残るのでしょうか」
何時だったか、彼が言った言葉である。確かに綺麗事で世の中は歩けまい。幾ら私達が大義名分を語ろうが、世間が私達を見る目は変わらない。
「仁義か」正に言い得ている。身内を警察に売るようなことは私達の崩壊に繋がると言っても過言ではない。成る程、私達の仁義に確かに外れいる。
「おい!」
私は一人のボディーガード、言い替えれば秘書的役務を兼ねているわけだが、走り寄る1人に私は彼の意向を伝えるように命じた。
当然私からとしてだ。
実に私は驚いた。何故なら林野の報告に依ると、私の傘下組織に在籍しているではないか。しかし、「何故!?」が私の頭を廻らせたのだ。何等かの策略?「まさか…」 以降調査をするに於いて私は驚愕すると共に笑みを浮かべた。
「お父さん、どうしたのですか。寡黙な貴方が食事中に笑うなんて」
「そうか早苗。ワシは、そんな顔をしていたか?ハハハ。早苗驚くな。ワシは素晴らしい宝を手に入れるやも知れんぞ。いや手に入れたかも知れん」
正しく縁である。普段は酒も控えている私であるも、その夜私は珍しく晩酌をしたものだ。
「余程良いことがあったのですね」
「早苗、今は言えんがワシの念願が叶うやも知れんぞ」
だが、何故彼程の者が私達の世界に足を踏み入れたのか…
「ククク。会長、ゲームですよ。何れ参加されることになりますよ」
何故人は、どんな世界であれ頂天を目指すのか?漸くその答が解けたのだ。
「そうか。それが野望なる行くところの答なのか!!」
私は彼の言葉を思い返した。世の中には、どう足掻いても変えられない宿命がある。その宿命に翻弄されながら運命は結びつく処に繋がるのです――。
「早苗、お前は運命を信じるか!?ワシは信じていなかった。処がワシは運命を感じたぞ。ワシも、お前も全てが運命に委ねられているやも知れぬ」
そうなのだ。強さだけでは正しく築けないものがあるやも知れん。

数日後、私の許にFaxが届いた。
●月□×日、広域指定暴力団関西山神会系三次組織銀流会、松山慎吾幹部を恐喝未遂で逮捕。