真夜中に蠢くのは、あらゆる欲望である。
今、各々の感情と思惑が夜空に交差していた。
「ククク。早野さん、貴方のお手並みを拝見させていただきますよ」
「何も言わなくてもいい。確かに我々の組織にも在日の者がいる。しかしだ、我々はこいつ等のような単なる犯罪組織であってはならない。例え世間から毒と貶されても、その毒を制さねばならない時もある」
その時であった。
バチバチバチ―――、黄達の脛椎部にスタンガンが当てられたんだ。
「ギャッ!!」
白眼を向いて倒れ込む3人。余り見たくない光景なんだけど、この世の中は全て毒にまみれているかもしれない。そう、欲にまみれてさ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!