第119話

Vol.7
12
2019/12/08 03:05
♪♪CITY OF GOD // Shoko &Sexy Crime 

★この街は決して豊かでない
壁の落書きは少年達の主張
犯罪を咎める大人達
CITY OF GOD 誰が名付けたのか
CITY OF GOD 既に誰もが感染してる★

真夜中はwing あの娘の胸で
憩い癒される 輝きだけは捨てない
魂を揺さぶる明日に備え
CITY OF GOD 貶す罪人(つみびと)達
CITY OF GOD 自虐に誰もが怯えながら

☆激しく抱き寄せる永遠の情熱は
時には嵐を呼び寄せ 偽り吹き飛ばす
見下す前に自分を締め上げろ!!
海辺に流れついた貝殻
美しさ見せつけても空っぽの中身
俺達には魂が暑苦しいほどに燃えている☆

灰色に染まった空気さえも
愛を腐らせることなど出来ない
贅沢な愛など必要ない
CITY OF GOD 誰が名付けたのか
CITY OF GOD 奪いきれないものがあるんだぜ!!

☆~☆ Repeat
★~★ Repeat

( Words: Wild Chan )

何が愛なんだ!!誰の歌かは知らないが、特権階級にカネは付き物なんですよ、松崎君。それに奴は平野の息子に――――――。しかし…奴はそのことを勘づいているのか?
いや、まだ知るまい。それよりもだ、ちぇりー何とかの売春組織が在り来たりの組織でないことは窺える…。そう言えば若杉山の全てが現在県の保有物になっているが…
押収物の横流し……。何故知れたのか?松崎を見るとふてぶてしく私の席に座り笑みを浮かべていた。
「加島主任、この席を私に譲ってくれません」
「な、何を馬鹿なことを言っているんだね君は!」
「フフフ。何を言っているのかは加島主任、貴方では?」
「どういう意味かね?」
「今自分が言った言葉をお忘れになったとは、ウフフ、そろそろ引退時ではないでしょうか」
何ていう変わり様なんだ。何が彼女をこうまで豹変させたのであろうか…。ニヤリと笑みを浮かべた松崎に私は女の匂いを感じ取っていた。
「お気付きにならないようね。今楊の二の舞はごめんだと仰有りませんでしたか」
「あっ…」
「確かに私は貴方にアノ惨たらしい写真を見せられました。しかし」
「し…しかし何だね…」
「何故あのような写真が貴方に送られてきたのか?ましてそれを公表しないのは何故かしら?いいえ言わせて戴きますわ。貴方は深き闇に関わっているからこその警告ではありません?」
「…………」
変わってしまった。この女は……。どうする?どうする?どうすればいいのか…。
「君は殺されてもいいのかね」
「は~い?今の言葉って検事であるべき言葉とは到底思えませんが」
「どこまで君は知っているのかね…」
「携帯電話」
しまった。まだ繋いだままであることを忘れていた。いや…それほど私は動揺していたのであろうか…。
「どうしますか?彼女に席を譲られては」
電話向こうの女が私に言葉を投げてきた。
「もし拒んだら…」
「即使ロ那辺イ尓是結束。加島檢察官。(ジ- シ- ナ- ビエン ニ- シ- ジエ シュ-。ジア ダオ ジエン チャ- グアン。どちらにしても貴方は終りです。加島検事。)」
「意味が判らないのだが…」
「Either way you're the end. Kashima Attorney General. In other words, personally, a land mine, oh, I have stepped on. DOKA~N!(どちらにしても貴方は終りです。加島検事。つまり、自ら地雷ん踏んでしまった。ドカーン!!)アハハハ」
「お…終り…?」
どういうことなんだ。額に汗が滲み出していた。
御苦労様で御座います。 
当店にようこそ。
加島誠之 N県地方検察庁主席検事。

な…何なのだ…。SMSメールを開いた時に私は驚愕を隠せなかった。それだけではない。私の本籍、現住所は並びに生年月日ないし学歴、趣味まで記されているではないか…。
ブルブルと携帯電話を持つ手が震えている。その時ドアをノックする音に顔を持ち上げた。
「ま…松崎君…」
「申し訳ありません。何度もノックをしたのですが」
「どういうつもりなんだね、君は…」
「加島主任、コレお返ししておきます。それとウフフ、メールでも届きましたか?」
怯えている。そう、怯えればいいのよ。私が受けた屈辱以上のものを受ければいいのよ。
「君は…ワザと…。ま…まさか松崎君、君は奴に魂を売ったのかね」
「加島主任、奴とは誰なのでしょうか?それに私は魂を売ったのではなく、愛に救われたに過ぎない。そして教えられましたよ」
「な…何をだね?」
「正義なるものが何であるのかを。『田庵』お忘れではない筈」
「…………」
「加島主任、平野刑事に如何なる事情があったのか知りませんが、平野さんは生きている。それとウフフ、開示請求をしても無駄であることはご承諾の上であると思いますが」
「何を知った!!」
興奮気味に加島は机を叩き立ち上がった。

●平成14年5月27日に「特定役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下プロバイダ責任制限法)が施行されたことにより、インターネットにて自己の権利を侵害された場合、被害者がプロバイダに対し、加害者に関する一定の情報の開示を請求する権利が設定された。
この開示請求は、(1)自己の権利が侵害されたことが明らかであり、(2)情報の開示を求める正当な理由がある場合、被害者がプロバイダに対し、加害者の個人情報を開示することができるというものである。

冷房が聴いている部屋である筈なのに…、何故か蒸し暑く感じてならなかった。
「大したものですよ。まぁ~いいでしょう松崎君。処で君は何を掴んでいるのか知りませんが、正義は特権階級者に与えられたものなんですよ」
「確かにそうかも知れません。しかし」
「何だね?」
ここからが勝負の押さえどころかもしれない。
「それなら1つ聞かせて戴きますが、特権階級者なら何をしても許されのですか」
「何を言いたいのでしょうかね君は?ふん。奴に洗脳されたのかね?」
「確か押収物の保管室の鍵は加島主任、貴方しか持っていない」
「…………」
「ウフフ、やはり闇予算の噂は事実でしたか」
「な…何のことかね…」
間違いない。可なりの動揺が全てを物語っている。
「ハッキリ言わせて戴きます。例えば覚醒剤。さて加島主任、何処に流れているのでしょうか」
「君は何を知ったんだ!!」
そう言うなり私に近づき襟首を掴んだ。やはりこの場所も腐敗しきっている。そう言えば何故楊達の惨たらしい写真が加島主任の下に送られてきたのか―――――。それは私に対する警告であってその実は加島主任に対する警告であったのかもしれない。
「お前は恩師である私を!!いいかね松崎君、これは忠告だ!!何があっても掘り起こすのではない。当然口外することも含めて。そうでないと君は」
「殺される。ウフフ、聞いて呆れるわ。これが正義と言うのであれば」
その時である。けたましく携帯電話が鳴り出した。そう加島主任の携帯が―――――。
「加島主任、電話にお出になれば」
一瞬の沈黙の中で加島の携帯電話の待ち受け音が鳴り響いた。憤る瞳は私を見据えたまま、襟首を掴んだ手を緩め携帯電話を耳に宛がった。
「もしもし、加島ですが」
「初次見面,加島檢察官(チュ- ツ- ジエン ミエン,ジア ダオ ジエン チャ- グアン。初めまして、加島検事)」
中国人?何者なんだこの女は……
「失礼だが中国語は……」
「それでは日本語で話しましょう。先ず松崎さんから手を離して下さい」
「どうして判るんだ…」
私はニンマリしながら通話状態のままの携帯電話を見せた。
「お…お前は私を嵌めたのか!?」
「その言葉をそのままお返しさせて頂きます」
そして私は呆然とする加島を尻目に検事主任席に腰を沈め脚を組んでみせた。
「中々の座り心地」
振り返る加島。それよりも会話の途中では?そう促すように携帯電話を見せたの。
「加島主任検事とあろう者が、押収物の横流しですか」
「揺する気かね?ちぇりー何とかの関係かね?フフン、たかが売春組織に何が出来るというのかね」
「是很甜地考慮的事(シ- ヘンティエン ディ- カオ リュ- ダ シ-甘くお考えのことだわ)それよりもお逢いいたしません、加島さん」
「君とかね?バカバカしい。言っておくが貴女と逢ったら楊の二の舞になるのじゃないのかね。日本を甘くお考えのようだ」
「成る程。それでは私達の会長では?不足はないのでは?」
「誰なんだね」
「よくご存知のお方ですよ加島さん」
「ま…まさか奴かね!!しかしだ、言ってはなんだが奴はもうすぐ終る」
「アハハハ這个日本的正義?。是与中国不変的政治体制(ジョ- ガ リ- ベン ダ ジョン イ-?。シ- ユ- ジョン グオ ブ- ビエン ダ ジョン ジ-ティ- ジ-これが日本の正義なの?。中国と変わらない政治体制だわ)」
「何を言っているのかね?」
その時だった。机の電話が鳴り出した。
「は~い、検事主任室ですが、居ますよ。加島主任、お電話ですが」
加島は携帯電話の相手に会話の中断を申し入れ、私の手から受話器を取り上げた。
「加島検事、余計なことを喋りすぎですよ」
「本部長…」
一方的に切られた。どういうことなんだ…
「どうしたのですか加島主任。顔が強張っていますがウフフ。県警本部長のようですね。つまり、今の会話が県警本部長のPC電話に流させて貰いました」
「……………」
そして私は自ら選曲した曲を流した。

♪♪崩壊~Blue Blue Blue~ // Shoko & Sexy Crime

本当は僕のこと大好きだったくせに
悪に組みしかれ いつの間にか魂を売り渡した
ラジオから流れる君の声
切ないね

先生はおかしいなぁ 途中で何故怒る?
そんなにこの僕が邪魔なのか高速隊 何を意味する攻撃を仕掛けている君の術にネット返し

# 街中が欲望に包まれ狂い始めている
愛はカネの嵩(かさ)で変わりゆく
神さえも捨てるBlue×3
いつの間にか寄り添う影は
醜き自分 早く気づきなよあるがままの自分を受け入れず
壊れていく
何も可も
世界さえも #

いつの間にか自分が誰かになっている
悪の計略はざまれて魂を売り渡した
罪のない子供を巻き込むのは哀しいね

#~# Repeat

( Words: Wild Chan )

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