無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第59話

Vol.3
_その頃―――― 
「久し振りやな。名前を呼ぶんやない」
真夏の中、公衆電話ボックスの扉を閉じ、額に流れる汗をハンカチで拭いながら受話器に語りかけていた。「傍に誰もおらん(居ない)な?」
「ご無沙汰しとりま。それにしても暑いでんな」
「手短に言うが今日、そうやな、牛見公園の駐車場に5時にどうや?」
「判りましたわ」
「いいな、いつものように1人やで」
そう言うや相手の有無を得ることなく受話器を戻した。扉を開けると大きく息を吐き出し周りを見渡し車の助手席に乗り込んだ。それにしても、本部長がいうように、この時期に県外(よそ)から転属は珍しい。
「長岡(先輩)これからどうしますか?」
「適当に流せばいい。それより村田、刑事になって何年になる?」
「5年と少しですが、何か?」
そろそろ引き込むか。
「何ですか、封筒(これ)は…」
「30入ってる。いや深く考えるな。それと早く仕舞え」
「30万!?どういう意味なんですか?」
警察がこんなにぼろい商売だとは思わなかったよ、本部長(あの人)に誘われるまでは。リーマン(サラリーマン)ポリスか、奴は巧く言ってくれるやないか。しかし奴様様やな。生かさず殺さずか、あの人も中々の悪党やな。そう思うと顔が緩んでいる自分であった。
「処で村田、お前は俺をどう思う?」
「自分は先輩を尊敬していますよ。こうして組ませて戴き有り難く思っています」
「そうか、光栄だな。そるなら俺に付いてくるか」
「本当ですか。当然付いていきますよ」
運転する村田が左折しながら答えた。
「それなら、早く其れを仕舞うんや」
先程の汗が車内に於けるエアコンに依り汗が引いていく。煙草に火を点けながら村田をチラリと見ると、内ポケットに先程の封筒を仕舞い込んでいるところやった。そう言えば平野さん……
「忘れたらええことや」
「何か言いましたか…」
「いや何でもない。それよりお前は確か東條彰子と桜(同期生)やったな?」
「はい。可愛いですよね彼女」
確かに可愛い。許されるものなら抱いてみたいものや。
「東條がどうかしたのですか?」
「村田、気になるか!?」
「そうですね先輩。彼女は少し天然かもしれませんが、自分達のマドンナでしたから」
ふん、マドンナか。ならばコイツは適任やな。夢を壊した後で徹底的に教育してやろう。悪辣なる道へな。そう思うとほくそ笑みている俺に村田が言葉をかけてきた。
「まさか先輩、奥さん居ていますのに、東條狙いですか?」
「ふふ。お前が言いたいことはよく判るがな、村田、俺が今から言うことは刑事としての任務と捉えてほしいのや」
「…………」
「いいか、これは極秘任務であることを胆に命じておくことや」
「はい…」
落ちたなコイツも、フフ。そう言えば数年前の俺もそうやった。あの時俺は本部長室に呼ばれた。その時居たのが平野やったな。

「忙しい中呼び出して済まんな。君等の職務に於ける活躍は私の耳にも聞こえているよ」
「恐縮です」
「恐縮です」
「まぁ掛けたまえ」
本部長に勧められたソファーに恐縮しながら俺達は腰を降ろした。その時気づいたのがテーブルに置かれている2通の封書やった。『移動通達』
「何か私達に不祥事があったということでしょうか」
俺が言いたいことを先に平野が言い放った。
「ハハハ、勘違いするのじゃない。教育指導に当たって欲しい。移動先は封書の中に書いてある」
そう言うと本部長は腰をあげ窓際に歩を進め外を眺めていた。
「私の独り言だ。気にせんでいい。県は赤字続きだそうだが、松山慎悟君か、中々の好青年だが臭い飯が好きそうだ」
俺達は、その言葉裏を悟るに時間はかからなかった。封書に同封されていた帯付きが物語っていたからである。
平野はS署で俺はT署であった。
「Sを使うにも財布が寂しかろう。臨時ボーナスだが、あくまで内密にな。後は君達で打ち合わせてくれたまえ」
そう言うと背伸びをしながら言葉を繋いだ。
「蜂はまだしも、虻(あぶ)はどうもいかん」

その後俺達は緊密に連絡を取り合い巧くいっていた。そうや、平野が島流しになるまでは。
ふふ、極秘任務か。落ちぶれたもんやな警察も。あ、俺もその中の人間であるやないか。
「ところで村田、東條のことやが、彼女がMやったらどうする?」
「M?まさか…東條が…」
「噂やがな。それとや、お前、銀流会の松山を知っとるか?」
「名前ぐらいは」
「その松山のレコ(女)が東條やったらどうする?」
「まさか!?」
ふふ、コイツは間違いなく東條に惚れとるな。まだ青いな、感情が顔に出てよるわ。
「先輩、それ事実なんですか?もし事実なら内部情報が…。今東條は?」
「これも噂やが、今東條は有休名目で松山と伊勢参り(駆け落ち)しとるようやが、戻ってくるには違いない」
「クソ!!」
「妬くな妬くな村田。そこでや村田お前の任務は東條の監視や。何等かの情報がとれるなら聞き出すんや。但しや松山のことは知らんふりしとけ」
「判りました。ところで先輩、以前東條が拉致られかけたって本当ですか」
噂というものは早いものやな。それが―――、いや何も明かす必要はないやろ。
「ええか村田、さっきも言うたやないか、噂やと。いいか村田、警察内部が全て味方やと思うなよ。それより今日5時に面白いイカモノ(前科持ち)と逢わせたる。いいか村田、Sをどれだけ抱えているかでノン・キャリアの出世が決まるという。ま、俺の任務に同行すればええ、悪いようにはせんからの」
「判りました。しかしあの東條が…」
正義感情が熱い奴ほど転びやすい警察(せかい)とはホンマやな、フフ。


「何をなさるの?こんな小さい子に……」
馬車の戸があき、だれかがかけよってくる気配がした。

微かに聞こえる『家なき子レミ』、
「あのね検事さん、慎ちゃん、レミを観ている時泣くんだよ、クス内緒だよ。だから慎ちゃんは決して悪魔の申し子じゃない。そのように造り出したのは、まっいっかキャハ」
まさか奴がレミを観て泣くなんて信じられない…。しかし、あの子達に見せた想いは本物なのだろうか?………判らない。
遠くなる意識のそこで、レミはやさしい手にだきおこされるのを感じた。
どのくらい気をうしなっていたのだろう。
「う……わたし……どうしたのかしら?ここは……どこ?」
目をあけると、レミはふかふかのソファに横たわっていた。
おそるおそる起きあがって、まわりを見わたしてみる。
なんて広い部屋なの!?この部屋ひとつにシャバノン村の家がそっくりはいってしまいそう!
きれいな花がらのかべ紙、天井のシャンデリア、どっしりとした家具、かべには油絵がかかっている。
「よかったわ、気がついたのね?」
ドアがあいて、ユリのように白い顔をした、きれいな女の人がはいってきた。
「わたしはミリガン。こけはわたしの別荘よ。だれもらんぼうしないから、ゆっくりなさい」
「あ……。ありがとうございます」
「おなかがすいているんでしょう?パンをつぶしてしまったからおわびにお食事を用意してあるね。さあ、いらっしゃい」
「は、はい……」
レミは気後れしながらも、ミリガン夫人についていった。
食堂にはいると、ジョリクールやカピたちが「キキ」「ワンワン」とかけよってきた。
「動物さんたちは、もうお食事をすませたわ。さあこんどはあなたがたくさんめしあがれ」
テーブルにはスープやパン、お肉のおさらがならんでいる。
すごいごちそう!でも……!!
「あの、どうして旅芸人のわたしたちに、こんなに親切にしてくださるのですか?」
レミは気になっていたことをたずねた。
「それは……」
ミリガン夫人はさみしそうにほほえむと、レミの目をやさしく見つめた。
「もしむすめが生きていたなら、ちょうどあなたぐらいの年ごろだから……」
「え?」
「かみの色も目の色も、むすめそっくりで……」



―――、彼女の言っていることはどういうことだろう…。ふと浮かんだ楊達に顔をそむけたくなった。そう言えば平野刑事?楊はともかく平野刑事が失踪した時って奴は…
服役中だった筈!?何かが動いている。それも奴に引き込まれるように。だらけた頭を起こし東條彰子を見つめた。
「終わったみたい」
彼女の言葉に目蓋を閉じた。終わった…、この私も。そう、自分の姿を見れば判る筈じゃない――自分に言い聞かせた時、奴の気配を感じた。
「クス」
「貴方でも涙を流すことがあるのね」
再び姿を現した松山慎悟に私は足掻くような嫌味を言ってやった。
「それと私をどうする気?」
「ククク、彰子が何か言ったか?」
「ショーがあると言っていたわ」
私の言葉に東條彰子は罰悪そうに「ごめんちゃい、彰子のバカ」と奴に言い寄り添った。
「ククク、その前に敬愛なる松崎検事、貴女が興味あることの1つを教えてあげよう」
奴の言葉が、まるで蜜のように私の心は引き寄せられた。そうなんだ、この先私がどのような凌辱を受けようが既に私は自らの死を覚悟していた。只私が何を知ろうとしていたのかも判らないまま死に絶えるには、自分が余りにも哀しすぎる。
「その前に聞かせて欲しいことがある」
奴を睨み据えながら私は言い放った。
「何かな、ククク」
「平野刑事!覚えていないとは言わせないわ!彼の消息を聞かせて!それと河村のことを」
奴の影が間延びしているように映る。
「平野刑事と河村か。ククク懐かしい組み合わせだな」
「話をはぐらかさないで。まさか…貴方が?」
そう言った時、奴の瞳が私の心を射し込むように向けられた。
「河村、確か右翼団体員だったな。奴は奴なりの思想を持ち合わせているだろう。そしてククク、平野さんのことは何れ真実が明かされるだろう」
「……」
「それよりも松崎検事、この先に、クス、ほら彼処に沢山咲いている花、あれは何の花か判るか?」
奴の瞳は私を捕えたままの中、すうーっと伸びた左手人差し指の方向に顔を向けた。
その私の目に映る花は最初に気づいた花ではあるものの、私は判らないと首を振った。 
「クク、初めて見るようだな松崎検事。ケシの花だよ」

●ケシ(クロンキスト体系)ケシ(一貫種)
界 : 植物界 Plantae
門 : 被子植物門 Magnoliophyta
綱 : 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : モクレン亜綱 Magnoliidae
目 : ケシ目 Papaverales 科 : ケシ科 Papaveraceae属 : ケシ属 Papaver
種 : ケシ P. somniferum
学名
Papaver somniferum
L.
和名
ケシ(芥子)
英名
Opium poppy
ケシ(芥子、Opium poppy、罌粟、学名Papaver somniferum)は、ケシ科ケシ属に属する一年草の植物。 日本語のケシは英語のpoppyと同義とされるが、英語では単にpoppyといえばイギリス各地に自生しており、園芸種としても盛んに栽培されているヒナゲシCorn poppy を指す。一方日本語で単にケシといった場合、それが種指定をも包含している場合はもっぱら本種を指す。英語では本種をOpium poppyと呼び poppy とは明確に区別している。日本語でも、他の園芸用ケシ属植物と区別するため、特に本種を阿片ケシ(アヘンケシ)と呼ぶことがあり、学会などでは種小名を用いソムニフェルム種と呼ぶ。 芥子という表記は本来カラシナを指す言葉であるが、ケシの種子とカラシナの種子がよく似ていることから、室町時代中期に誤用されて定着したものであるとされる。 日本では Opium poppy など Opium 産生植物はあへん法で栽培が原則禁止されている種に指定されており、厚生労働大臣の許可を得ずして栽培してはならない。Opium とはアヘン、麻薬の意味である。
分布
地中海地方または東ヨーロッパ原産とも言われているが、野生下にある原種が発見されていないため確証はない。 栽培植物としての歴史は古く、紀元前5000年頃と考えられるスイスの遺跡から本種の種子が発見されている(どのように利用されていたかは不明)。
四大文明が興った頃にはすでに薬草として栽培されていたとされ、シュメールの楔形文字板にも本種の栽培記録がある。本種の薬用利用はそこからエジプトを経てギリシャに伝わったと考えられ、ローマ帝国を経てヨーロッパ全土に広まった。その間に帝国の退廃を映して利用法も麻薬用へと変貌を遂げ、大航海時代を経てアヘン原料として世界各地に広まった。 特にイギリスは植民地であったインドで本種の大々的な栽培を行い、生産されたアヘンを中国(当時は清)へ輸出し莫大な利益をあげた。同様に日本も戦前朝鮮や満洲の一部(熱河省。現在の河北省、遼寧省、内モンゴル自治区の一部)で本種の栽培を奨励し、第二次大戦中は満洲国、蒙古聯合自治政府、南京国民政府などで本種の大規模栽培を行い、生成されたアヘンに高額の税をかけ戦費を調達した。それを遡ること半世紀前、台湾においては、日本に
よる統治開始後40年をかけて、アヘン栽培を租税対象とし段階的に税金を引き上げることで、最終的にアヘン栽培を消滅させているが、その過程でアヘンの生産と販売を台湾総督府の専売制として独占し、莫大な利益を得た経緯があり、中国戦線における戦費調達はこれに倣ったものと見られる。
現在、国際条約下でアヘンの輸出可能な国はインド、中国、日本、北朝鮮の4ヶ国に限定されているが、現在も輸出を継続しているのはインドのみであるため、国際条約下においてはインドが本種の最大の栽培地といえる。 このほか国際的に紛争が起きている地域で、住民が手っ取り早く現金収入を得るために国際条約を無視して本種を栽培するケースが多く、このケースにおいて、20世紀に非常に有名だったのが、いわゆる黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)としても知られるミャンマー・タイ・ラオスの国境にまたがる地域であるが、2002年以降は同地域での紛争が沈静化し、ようやく同地の支配権を確保できた政府によって他の換金作物への転作が奨励されるようになったため、低調化している。21世紀に入ってから条約無視の不法ケシ最大生産国はアフガニスタンで、2005年時点でじつに全世界生産量の87%が同国産となっており、タリバンなど同国反政府組織の重要な資金源となっている。
ケシ坊主(果実)に傷をつけて樹脂を採取する

草丈は1-2mメートル程度で、葉の形は長楕円~長卵形で、上の葉ほど小さくなる。 葉に関して他のケシ属とは、
葉柄がなく茎を抱く。他のケシ属は葉柄がある。

切れ込みが浅く縁が波打つ。他のケシ属は深く切れ込み細かく裂けるものが多い。

色がロウで覆われたような緑灰色である。他のケシ属は緑が鮮明なものが多い。
表も裏もほとんど無毛である。葉に限らず、本種はほぼ無毛である。
といった点で区別できるが、これらの特徴は品種によってかなり差がある。 播種後半年ほどで開花する。通常は前年の秋に播種するので開花期は4-6月ごろになる。花は茎の先端に一つだけ付き、つぼみのときは下向きで開花と同時に天頂を向く。また2枚あるがくは開花と同時に脱落する。一日花であり翌日には散る。大きさは10-15cmと草丈に比較して大きく、芳香にはほど遠い、悪臭に近いひどい臭いがする。花弁は一重咲きの品種では4枚で、色は基本色として紅、白、紫があり青と黄はない。
単色の品種も多いが、園芸種はこれらの中間や、これらが混じった絞りなど様々な変化を見せる。だがOpium poppyは基本色に黄を欠くことから、他のpoppyには多い黄やオレンジ系の花を作ることは不可能である。八重咲きの品種では花弁の縁が細裂するものがある。なおアヘン採取用に品種改良されたOpium poppyはどれも一重咲きである。
種子

花が枯れて数日すると、芥子坊主と呼ばれる独特の形の鶏卵~握りこぶし大の果実を実らす。この芥子坊主の形も品種によって真球に近い球形や楕円球形と、様々に変化する。八重咲きなどの園芸種も結実するが、実の大きさやモルヒネ含有量はアヘン採取用の品種には遠く及ばない。どの品種も未熟果の表面に浅い傷をつけると麻薬成分であるモルヒネを含む白色~淡紅色の乳液が浸出し、しばらくすると粘性を示し黒化する。これをへらでかき集め乾燥したものが生アヘンである。果実が熟すと植物体は枯死し、熟した果実の天頂に穴があき、径 0.5mm に満たない微細な種子が飛び出す(とても小さいことを「ケシ粒のような~」と表現するのは、これが由来)。種子は腎形であり、表面には網目模様があるが、肉眼では確認しにくい。色は品種により白から黒まで変化するが、食用に売られているものは象牙色と黒が多い。
★亜種及び品種
非常に古くから栽培されているだけあって、数多くの亜種や品種がある。下記は一部。
★アヘン採取目的の亜種
世界各地の気候に合わせた、以下の基本六型がある。各亜種の中にさらにいろいろな品種がある。
亜熱帯気候型

P. somuniferm ssp. indicum

インド系統種とも言う。アヘン採取用の品種はほとんどが白い花を咲かせるが、この種は赤い花を咲かせる。果実は小さく楕円球形、もしくは広楕円球形。