第27話

Vol.2
16
2019/06/11 02:08
6月☆日―――、あれから平温な1週間が過ぎた。と言っても、それはあくまで生活風景そのものであって、私の心の中には蟠(わだか)りが消えることはなかった。 
確かに『田庵』にて平野刑事は佐渡ケ島への左遷を私に告げたのは確かなんだ。しかし、何の理由もなしに失踪する必要が彼にはあったのだろうか…。
「ああ、確かに何時だったろうか、彼の左遷が決まったのは事実ですよ。彼も渋々ながら左遷を承諾しましたからね。ところがどうだ、彼の餞別会が行われた後、Y駅の見送りを最後に行方知れずとなってしまったのですよ。そりゃ本部長はカンカンですよ」
県警本部に問い合わせたところの回答である。
「それで、平野刑事は…」
「確かに単身赴任の左遷に対する彼の胸中は判らんでもないですがね、既に懲戒免職の通知が、非常に残念なことですが、通告が出ていますよ」
空模様が変わろうとも、この古都に於ける街自体は平和そのものだ。道行く人も観光客を除けば、何等変わりない風景そのものだ。
ファッション雑誌から抜け出したような彼女達、携帯音楽を聴きながら歩く若者、母親の手を離すまいとして歩く小さな子供、何に抗っているのだろうか、スカルに Defeatis to have thrown all(敗北とは全てをなげだしたことである)のタトゥーを腕に彫り、タバコを吸うパンクス。ガラス越しに見渡せる限りの景色には夏の陽射しが反映するかのように包まれていた。けれど何かが、そう、私達の見えない世界で何かが蠢いているのは確かかもしれない。只それを決めつけるモノが触れない。
「松崎検事、『 Shoko & sexy crime』って知っています?ガールズバンドなんですが、派手目のメークなんですが、ヴォーカルの Shokoが可愛いのですが、現役の警察官という噂もあるんですよ。これ好ければ聴いて元気を取り戻して下さいよ」そう言って片瀬から手渡されたCDのコピー。
🎵時限爆弾 //Shoko & sexy crime

What are you frightenedby?
自分で仕掛けた時限爆弾 拒絶しながら 時刻(とき)が進みゆく

What do you watch?
忙(せわ)しく奏でる時限爆弾
自分偽り 過去に逃げゆく
チックタック×2
自業自得の罪を重ね
パンクガールが指をおっ立てて笑ってるぜ
チックタック×2
配線切るのを怖れたまま 半端な恋に踊り半ベソ
Try to dispel it once!! If it is swung around infeelings and cries

What can shiver?
季節が幾度も変わりゆく中感じないかい?明日は変わりゆく

What are you at a loss in?
どうでもイイコト理窟並べて
リセットばかりの時限爆弾
☆チックタック×2
街はparade Purpletown
street girlが濡れた唇で誘ってるぜ
チックタック×2
激しくぶつかれ!!過去を飲み干し
誰もが王なれるはずだぜ Try to dispel it once!! If it is swung around infeelings and cries☆

☆~☆ Repeat
翻訳:何に怯えている?
何を見ている?
1度吹き飛ばしてみろ!!
感情に振り回され、泣いているなら

何に震えている?
何を迷っている?

( Words : Wild Chan )

🎵太陽に引き金 // Shoko & sexy crime

昼目覚めた 眩しい太陽が語りかける このままでいいのかと

細めた目に 昨夜(ゆうべ)の余韻が
残る肌に 焼き付くようなTrace of the rouge

☆救い求めるように 誰彼構わず
女の肌に温もり感じ 見えない出口探してる
It does not want to be over as it is.
Soul, somebody shaking set fire!
It is a trigger in the sun of an all clear blue sky
Put a soul on a finger-tip☆

昼の顔にどよめく Sweet smell of the uneasiness
showerを浴びて 過去(想い出)を洗い流す

投げやり的に 吐き出す未来図
捨てるモノを 吐き違えたPlace to go of feelings

☆~☆ Repeat

感じたくない 偽りだらけの接吻(くちづけ)
虚ろ気な明日さえ 凍り砕けるようで

☆~☆ Repeat

翻訳:このまま終りたくない。
震える魂、誰か火を点けてくれ!
雲一つない青空の太陽に引き金
指先に魂込めて
不安の薫り
感情の行き場

( Words: Wild Chan )

ヘッドホン越しに流れるロックなリズム感に
「何よこれ?」
つい噴き出したくなる思いに駆られててしまった。Shoko & sexy crimeか。本当に彼女が警察官なんて信じられない。けれど歌詞を聴いていると、何となく判る気もする。今私自身が何に戸惑い、何を投げ出したいかのヒントをくれそうな気がする。うふふ、何年振りかしら、自然に身体がリズムにつられて揺れ動いている。まだメジャーデビューはしていないと言っていたけれど、いつしか私は正義観念に捕われ過ぎて夢を見ることを忘れていたかもしれない。本当は恋もしたい。そんな思いが揺れ動いた時に次の曲が流れ出した。
「片瀬君も以外な面があるじゃない」
ふと笑みがこぼれた。

🎵いつか、陽のあたる場所へ //Shoko & sexy crime

# Even if I do not believe a dream and refuselove
I will walk without anything shutting a way towalk which is not created #

青空に浮かぶ雲に 自分を重ねて
省みる中で 何が想い浮かぶ
今日も 悲し気なNEWSに 僕らは 何を想う

雨上がりに架かる虹は 何処へ繋いでる
忘れていた想い 拾い直してみよう
今からでも遅くはない
傷ついた心を癒す旅の始まり

## 悔しさを抱いたままでひとり閉じ籠る部屋で
歩き出すことを忘れたように なぶり書いたノートには
何も生まれない 自分を気づく場所は 太陽の下にあるんだ
いつか陽のあたる場所で もう1度
自分を信じて 明日に希望を繋げれば
そこから踏み出せる 傷を癒す筈だから ##

降る雨に洗い流そう 自分のワダカマリ
授業だけの中で 学ぶものだけじゃない
本当は気づいていた筈 空席のままの机

シーツくるまり 泣いて悔やむ 自分の勇気なさに
自分だけが苦しいなんて 錯覚の毎日
今からでも遅くはない
差し出せる その手に愛を語る始まり

##~## Repeat

#~# Repeat

翻訳: 夢を信じなくて 愛を拒んでいても
何も生まれない歩む道を 閉ざさずに歩いて行こう

( Words: Wild Chan )

CDを聴きながらソファーに脚を伸ばし、TV画面に目を写すと、政治評論家が画面一杯に顔を浮かべ政治態勢批判を語っていた。
この私は、今日までどうだったのだろうか…
検事になろうと夢を描いたのが、確か中2のころだったろうか。女検事シリーズの番組を観てからだった。その時のドラマストーリーは、確か悪徳代議士が絡むアリバイを崩していく女検事の姿に感銘をを受けたものだった。社会秩序を守るための正義職に私は何時しか自分もこうなりたいと憧れを抱いていた。
勉学に打ち込み出してからというもの、私は今景色の中に浮かぶ少女達のように流行を追いかけたり、恋に現(うつつ)を惑うと言ったりと私にはその時間さえ惜しむように、勉学1つに打ち込んだものだ。
確かに大学生時、法学部に於ける弁護士志望の先輩である彼に恋に落ち、交際を続ける中の1年後に、私は彼の胸で朝を迎えた。
そんな思いを懐かしむ中で、今までと違うShoko &sexy crimeの曲に乙女心が押し寄せた。

🎵恋のムーンマジック //Shoko & sexy crime

新月に願いをかけてごらん
偽りのない思いを そうよ一途に願って
満月の夜には 叶っている筈だから
偽りない愛ならば

『Do not say to anyone.
Because it is actually a magic of the love only for me』

# 秘密の約束
キミだけに 教えてあげる特別に
恋のムーンマジック
ピンクの紙に願いを書き
月に宿すように ただリセットして思い浮かべるだけ
恋のムーンマジック
十五夜明けにあの娘が微笑み
返してくれたなら 願いが叶ったよ #


#~# Repeat

翻訳:誰にも言わないで。
本当は私だけの恋のマジックなんだから

( Words: Wild Chan )

目蓋を閉じる。
不器用な彼との度重なる性行為に、処女を捧げた時の痛みが、何時しか快楽を得るように私の身体に異変を感じた。蜜壺を愛撫された時は本当に驚愕したものだ。恥部であるその部分が汚ならしいモノであるのに、愛撫される度に女として開花していく。
「いやいや」
乙女のように恥じらいながらも、電流が全身に覆いかぶる中で、私は歓喜の声を漏らしていた。
彼の舌先がクリトリスに触れた時、既に私は自分から求めていることを知る。ジュクジュクと濡れ惑う蜜壺
「ああん。早く挿れて」
私は彼の背に手を回していた。

🎵愛の詩~誰にも幸ありたまえ// Shoko & sexy crime

#幸を与えたまえ
願い叶えたまえ
私のこの詩が愛の詩が世界中に届きたまえ
そして誰もが愛に満ちて幸せになれ #

恵み与えたまえ
愛を叶えたまえ
私のこの詩に祈り込めて世界中に届きたまえ
そして誰もが愛に満ちて幸せになれ

遠くばかりを覗き込み 何を奪おうとしているの
行き場をなくして泣いている子供達
身近な存在にさえ気付かずに手を差しのべないよ
そんな大人達を見限り手を繋ごう
手を繋ぎ合えば もう一人じゃないよ
形だけじゃない愛を幸せを 築いてゆこう ゆける筈だよ

#~# Repeat

言葉飾り嘘ぶいて 月さえ奪おうと企てる
望んでいやしない そんなこと誰一人と
何時しか魂汚し堕ちてゆく純粋取り戻せずに
そして大人達は枯れ逝くことに怯える
手を繋ぎ合おう そう私達だけでも
取り戻そうよ愛を幸せを 築いてゆこう ゆける筈だよ

一人では何も出来ない
だけど誰もが花であること忘れちゃいけない
自分一人埋もれちゃいけない
私は唄う 愛の詩に願い込めて

#~# Repeat

( Words: Wild Chan )

「愛か…。でも、愛って何だろうか…」
Shoko & sexy crime ロックばかりだと思っていたけれど、中々のものじゃない。
私の気持ちに安息をもたらしてくれるような気がした。

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