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第118話

Vol.6
受信地発見。会話どうぞ。 

その部下が果たして何者なのかは知らない。慎吾が言うには
「クク。クラッカー小僧だ。それで漸くブロウの妹の居場所が掴めたよ」
「何処なの?」
「沖縄だとよクククク。だが」
「だが?」
「彼女もクラッカーだ。だがクラッカーだけではない。魔法の薬でpower upしやがったよ」
「まさかそれって…BMなんでは…」
「沖縄と言えば?クク、とんでもない場所に居ようとは。それとだ和代」
内なる私。慎吾が和代と読んでくれた言葉が蜜壺を刺激した。血のようなどこかしら甘味で危険で複雑さを醸し出す慎吾の体臭を掻き消すような慎吾好みのBVLGARI。そのBVLGARI BLACKにPOLICEをmixしているという。またいつ抱いてくれるのだろうか――――― その想いを沈下させるように慎吾が言う。
「平野さんだが、生きている。それなりにな」

その言葉が甦った瞬間、私は再びペンを走らせた。

OKよ。ごく自然に話して。
片瀬がコクリと頷いた。
「ねえ片瀬君、その被疑者の会話って?」
「クスクス。松崎検事、本気なのか冗談なのかクスクス、ある夜町中に電波が流れたと言うのですよ」
「電波?」
「つまり幻聴の類いですよ。付き添い刑事も笑っていましたから。話の内容はですね。あっ松崎検事、ジャスミンティーどうぞ」
「ありがとう」
さて、始めましょうかウフフ。恐らく検討はついている。そして私からのお土産を届けてあげるわ。
『そうなの。幻聴のことを電波というんだ』
『それにしても松崎検事、どのように思います?誰かを指してですよ、「今の天皇の子ではなく他の皇族の子かもよ~。貴方も皇族?それともnet族?」と夜の町中に音声が流れたと言うのですよ。プフフ、笑えるでしょ松崎検事。真剣に喋っているですから』
『アハハハ。それって本当なのアハハハ』
『ところがですよ、その容疑者が「刑事はん、なんぼ笑(わろ)てもよろしいでっけど、あの夜、ぶっ壊れた奴も居てまんねや。それに」』
『それに、どうしたのアハハハ』
『その容疑者が言うには録音しているらしいのですよ。そう簡単には渡せんと言ってましたよ』

皇族の子か何か知らんが、ソイツのせいで可なりの者(もん)がぶっ壊れたんや。それにしても誰なんやろか…
「どうしたんや?」
何や知らんが、多分女やと思うねんけど「ウルサイ!入ってくるな!!俺の邪魔をするな!!これもダメか。それじゃコレはどうだ?チクショウ何故開かないんだ?お前本当にウルサイ!」って言うんやが、ワシ何も喋ってへんのやで。頭の中でと言うのやろか… 。けどでんな刑事はん、何を開けようとしてんのやろか…
「ワハハハ。もうシャブなんか辞めるんやで」

『とまぁ、こんな会話なんです。松崎検事、面白いでしょう』
『他の皇族の子って誰なんだろ。ウウン違うのよ長瀬君、仮にその話が本当としての想定としてよ』

ちっ!!余計なことに興味を抱くものですね。私の教え子であるにも関わらず!しかし、今松崎等が話す会話が事実なら―――― 、私はもう少し松崎等の話を聴こうとしていた。
他の皇族の子とは……誰なんだろうか?まさか御落胤なんだろうか?
「人間のズルさはククク、自分の地位を守る為に真実を隠蔽することだ」
ふと、慎吾の言葉が過った瞬間、さて、そろそろ仕掛けてやろうか、ウフフ。私からの細やかなプレゼントを。しっかり聴いているといいわ。盗聴機の存在を確認したならば、逆に利用すれば相手側は何等かの行動を仕掛けてくるものだ。
「しかし、若しもよ慎吾、それで私が…」
「ククク、familyを守るのは当然のことである。只…、いや何でもない」
この先に何が起こるかもしれない。慎吾の瞳が遠くを眺めているように感じた。
「処で長瀬君、平野さんを覚えているかしら?」
そう言えば、平野刑事が私を巻き込んだことは間違いない。平野さんは何を伝えたかったのか――――。今なら判る気がする。
「あぁ思い出しました。以前県警本部の」
「そう。その平野刑事が生きているそうなの。只私には何処で生きているのかは残念だけど、判らないわ」
「本当なんですか」
「そう。間違いない確かな情報よ。それと、ある売春組織なんだけど、●★△××〇の番号が浮上しているの。ところが」
「ところがってどうかしたのですか?」
「長瀬君、どう思う?何故か警察が手出しできないのよ。公衆電話も携帯からの非通知も受け付けない。外国のマフィアが仕切っているのかも知れないわね」
さあ、どう出るか。


何と言うことだろうか…あの平野が生きている?
まさか…
私は思わずデスクの電話に伸ばしかけた手を引っ込め迷いを振り払い携帯電話を手にした。
松崎が言った番号が事実なら――――。それにしても警察も手が出せない!?何故…。携帯電話を持つ手が震えていた。奴なのか?いや、奴がそのようなセコい収益を望むのだろうか…。『184』をプッシュし松崎が言った番号に通話を試みた。
「申し訳あるませんが番号通知を願います」
確かに彼女が言った通りである。どうする?


君だけしか見えない
君だけしか見えないよ
この街が闇に溶け込んでしまっても
My Angel 君がいるから明日がある

ANGEL// Shoko & Sexy Crimeより

が流れていた。


冷房が程好く効いているにも関わらす、何故かじんわりと汗が流れていた。
どうする…
自分に問いかけてみたものの、これと言える答が出なかった。
どうするものか?私は迷いを振り切るように再び通知設定のまま番号を押した。プルル―――
「はい、ちぇりーpinkです。新規のお客様ですね。御紹介者は?」
繋がった。しかし紹介者が必要とするのでは…、思わず私は通話を切っていた。
その時私のデスクの電話が鳴ると共に私の携帯電話のSMSメール着信音が鳴り響いた。
けたましく鳴り響く内線電話は松崎であることは判っていた。
「はい、加島ですが、どうかしたのですか、松崎君」
「加島主任、お疲れ様です。私からの細やかなpresentがお届きになりましたでしょうか」
「うん?私の誕生日はまだ先であるのですが、松崎君の言っている意味が判らないのですがね」
「あら?まだお気づきになっていないのでしょうか?」
「…………」
「では後程に。失礼します。加島主任」
一方的に電話が切れられた。何を言いたいのか…『まさか?』心臓が締めつられるような刺激が私を襲ったのは言うまでもない。