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第16話

Vol.2
「おい河村よ、戸籍謄本に記述されている王梅雨は、ホンマにお前の嫁はんなんか」 
「間違いなくワシの嫁でんがな」
□×警察取調室で公安担当刑事が同席の中、ワシは捜査2課の刑事による調べを受けていたのや。
「右翼と訊いて呆れるの。依りによって中国女と偽装結婚か。全て捲れとるんやで」
「………」
そうなんや、ワシは右翼としてどこまで認識していたのやろか?まさか松山がパクられるとは……。松山は否認並びに無罪を主張しながら戦っている。既に1年が過ぎていたのや。
「ええか河村、三杉は既に認めているのや。ま、今は河村姓やが、こんな事はお前には然程問題ではないのや。河村、お前なぁ右翼やから公安が同席しているのやないで。ま、今日1日ゆっくり考えてみることやな」
何故ワシがパクられたのか。ワシは楊の指導の下で上海に3回渡航し、漸く手にカネが乗ったのや。残暑厳しい頃やったと記憶している。
ワシの手にカネが乗った時点で松山は既にパクられていたのや。当然『接見禁止』の身であったのや。
ワシの1つの後悔は、何故差し入れをしなかったかや。カネを手にしたことでワシは浮かれていたのやろ…
「河村はん、ちょっと頼みがありまんのや」
松山がパクられてからの数ヵ月後に三杉から電話があったのや。今思えばワシはアホやったと、キツネうどんの汁を喉に流しながら思ったものですわ。

「何でっしゃろか…」
三杉の話を訊くところでは『養子縁組』の話やった。岡本という奴がいてますのや。この岡本と言うのが養子縁組を繰り返しては金融会社からカネを引っ張っていますのや。あとはカードを作って商品を買っては現金化しているチンケな詐欺師ですわ。
「そんなことでホンマにカネになりまんのか?」
「ちゃんと礼をしまっさかい、ワシを養子にして欲しいのや河村はん。迷惑はかけんから」
邪魔な連中が居なくなると、ワシも含めてでっけど人は変わるものですわ。
「担当さん、お茶くれなはれ」
留置官が注いでくれた茶をワシは飲み終えると仮就寝まで身体を床に転がし、目蓋を閉じるように過ぎた時かを思い返していた。
松山の事務所は赤西なる男が松山の留守を預かっていたのや。岡本は可なり松山を毛嫌いしているようだが、理由は僅かなカネの借用から逃れていた訳であるのや。
「クク。河村、たかだか20そこらのカネで体をかわす奴もいる。今は好きにさせているが、その20が幾らに化けるかだ。クククク」
1つの忠告かも知れんわな。現に思い返そうとした時、ワシは思わず嗚咽をもよおした。「おえっ…」背中に走る悪寒…、人間の強欲さにワシ自身が如何に愚かな人間であるのか悔やまれたのは後のことである。

「三杉さん、アンタには色々良くして貰っているから養子の件は別に構わんが、岡本には関わりたくないのや」
「おおきに河村はん。岡本のことは松山の幹部に任されとる。奴はもうすぐ大金を手に入れるんや。岡本もヤクザの怖さをしらんさかいにな。そのカネの半分はワシにとの松山幹部からの言伝なんや」
何を仕掛けているのかワシには判らんが、「あの人は甘く見とったらあかん」との三杉の言葉にはトゲがあったのや。
「ところで河村はん、うちのオヤジの件で何か訊いとらんか?」
「いや、ワシは何も訊いとりませんわ。何かありましたんか…」
「そうか。それよりも河村はん、あくまで噂やが、松山の幹部は誰かに嵌められたみたいやな。当分出れんやろな。可哀想に。いや松山幹部のこと違うのや。えっ?まぁよろしいがな」
三杉は笑いながら電話を切った。
その後、養子縁組を済ませたワシはトラックのワッパ(バンドル)を握る日々が続いていた。ワシの楽しみは月に1度のメイとの夜の営みと数回の御殿場の夜やった。 
「何で自分みたいな娘が、こんな仕事しとるのや?うう…」
ちゅぱちゅぱ―― 卑猥な音がワシの脳を刺激する。どこから見ても学生やがな。茶髪にカラコン。コギャルというのやろか…
「おカネ」
彼女はワシのペニスから唇を離すと短く答えると、再びいやらしくワシの怒濤するペニスを食わえた。
ちゅぱちゅぱちゅぱ…
「堪らんわ。うう…気持ちええわ」
彼女の蜜壺に指を這わすとすっかり濡れている。
「ああん、ダメ…。それは違反なんだ」
ワシは濡れそぼる指を慌てて引っ込めた。そして、その指を口に含めた。若い女のオメコ汁はワシには堪らん程に官能的やった。
「オジサン、挿れていいよ」
ワシは小柄な彼女を組み敷くと彼女の蜜壺に挿入した。
「あんあん…いいよいいよ…あ、あん」
車内には矢沢永吉の『トラベリン・バス』が流れていた。
キツい旅だぜ―――
確かに、長距離ドライバーの仕事はカネの割にキツい。しかし、この楽しみが疲れを和らげてくれるのや。ギシギシ――
「あんあん…オジサンいっちゃうよ。あんあん…イク」
「うう…ワシもや。ええオメコや。うう、いってもうた」
脈打つようにワシの精液がコンドームの中に放たれた。

あかん、思い出したら勃起してきよったがな。ワシはトイレに入り大便するフリをして一物を扱き始めんや。
ワシが会社に戻ると、既に刑事達が待ち構えていた。
「何の件でっか?」
「詐欺の疑いや。三杉の件で覚えがあるやろ。これが逮捕状や」
詐欺?ワシには何のことか覚えがなかったのや。三杉の名前が出たのやから養子の件であることは判っていたのやが、詐欺に対しては全く覚えがないのや。
しかし、逮捕に関しては罰金ぐらいと簡単に考えていたのや。
会社社長が直ぐ様弁護士を面会に来させてくれたのは言うまでもない。
逮捕容疑は三杉が暴力団員であることを知りながら、養子縁組を組み、三杉が銀行預金帳張並びにcredit cardを不正に入手することを加担したものとある。 「河村君、三杉の件は詐欺に関しては問題ではない。まぁ罰金ですね。只ね河村君、守田が偽装結婚の件で逮捕されているんや。要はその件やろな」
何故バレたのやろか?……その理由は守田の母親が嫁の来ないことに不振を抱き警察に相談したという。
「河村、この戸籍の王という女は、ホンマにお前の嫁はんなんか」
「そうでっせ。今東京の身内の店に働きに行っとりますわ」
何故刑事がメイのことを執拗に聞き出そうとするのか、漸くアホなワシにも理解できた。守田はやっぱりパクられているかもしれん――――、そう感じた時
「刑事さん、タバコよろしいでっか?」
ワシは許可を得るやタバコに火を点けた。取調べ室に浮かぶ紫煙、全てがバレているのやないか…煙(けむ)に撒くことは出来んかも知れんなぁ…そんなワシの思いが見透かれているかのように刑事が言葉を切り出したのや。
「なぁ河村よ。お前がホンマのことを言いにくいのは判るが、お前の前科を見ると長い間懲役行っとらんやないか。また戻る気でいとるんか」
情けない話やが、正直懲役に生きたくないのがワシの本音やった。
「ええか河村よ。三杉は全て認めとる。それはそれでええのや。ところでお前、松山とはどういう関係なんや」
「………」
あかん、守田がみんな喋っとる…。刑事の顔には笑みが浮かんでいたが、目は刺すようにワシを捕えていた。