第73話

Vol.2
7
2019/11/05 00:46
四五天安門事件(第一次天安門事件(1976年4月5日) - 天安門広場に捧げられた献花の撤去に怒った民衆と軍や警察との衝突。

六四天安門事件(第二次天安門事件(1989年6月4日) - 民主化を求めるデモ隊と軍や警察との衝突。多数の死傷者を出した。

天安門焼身自殺事件(2001年1月23日) - 中国北京の天安門広場で起きた焼身自殺事件。

「カミカゼか…」
私との最後の夜にあの人と兄が飲み交わしたのがカミカゼだった。

カミカゼ (Kami - Kaze) は、ウォッカベースのカクテルのひとつ。
発祥地はアメリカであると言われ、その味の切れの鋭さから太平洋戦争における日本海軍の神風特攻隊を彷彿とさせたからであると言われている。また、米軍占領時代に日本の横須賀基地で作られたものが初めてとする説もある。
標準的なレシピ
ウォッカ … 1/3
コアントロー(またはホワイトキュラソー) … 1/3
フレッシュライムジュース … 1/3

作り方
ウォッカ、コアントロー、ライムジュースをシェイク

氷を入れたオールド・ファッションド・グラスに注いでステア

ライムのスライスを飾って供する
レシピにはバリエーションがあり、サイドカーのバリエーションとして考えると、
ウォッカ … 1/2
ホワイト・キュラソー … 1/4
ライムジュース … 1/4
となり、ダイキリのバリエーションと考えると、
ウォッカ … 3/4
ライムジュース … 1/4
ホワイトキュラソー … 1tsp
という強烈なレシピになる。好みにより、レシピが変化するもっともメジャーなカクテルのひとつである。ちなみに、スピリタスを使った場合のカミカゼもある。
なおマルガリータはカミカゼ同様サイドカーのバリエーションと考えることと、ダイキリのバリエーションと考えることがあるため、マルガリータはカミカゼのバリエーションであるといえる。ちなみにサイドカーのバリエーションとして考えた場合、バラライカのレシピのレモンジュースをライムジュースに替えたものであるともいえる。

カロン―――。
月光に癒されたように、テーブルのカミカゼのアイスが揺れた。

西岡を乗せた車をテラスから見下ろしながら、安堵感が込み上げたのは言うまでもない。
「麗芳,明白西岡与警察連接。恐怕銭的去處是警察ロ巴。会長那个対方是誰ロ馬,从西岡的口使之叫(リ- ファン,ミン バイ シ- ガン ユ- ジン チャ- リエン ジエ。コン パ- チエン ダ チュ- チュ- シ- ジン チャ- バ。ホイ ジャン ナ- ガ ドゥイ ファン シ- シェイ マ,ツォン シ- ガン ダ コウ シ- ジ- ジャオ麗芳、西岡が警察と繋がっているのは判っている。恐らくカネの出先は警察だろう。会長がその相手が誰だか、西岡の口から言わせるんだよ)」
「明白。比起那个哥哥,身体不要緊?(ミン バイ。ビ- チ- ナ- ガ ゴ- ガ,シェン ティ- ブ- ヤオ ジン?判っているわ。それより兄さん、身体の方は大丈夫なの?)」
「不要緊。我与好人圍繞能遇見了。…這様的身体的我。対兔子角麗芳,預先請求(ブ- ヤオ ジン。ウオ ユ- ハオ レン ウェイ ラオ ノン ユ- ジエン ラ。… ジョ- ヤン ダ シェン ティ- ダ ウオ。ドゥイ トゥ- ズ ジャオ リ- ファン,ユ- シエン チン チウ大丈夫だよ。俺は良い人と巡り会えた。こんな身体の俺を…。兎に角麗芳、頼んでおく)」
兄の言葉を思い出しながら、私は寝具類を丸め込めるように、ビニール袋に詰め込んだ。

警視庁は、平成6年(1994年)任用規程を改正し「特定の分野における犯罪捜査に必要な専門的な知識及び能力を有する者を、その者の経歴等に相当した階級の警察官として採用する」ことができるものととし、平成7年度(1995年度)から実施した。
この規程により採用する警察官を「特別捜査官」と呼ぶ。 種類は、財務捜査、科学捜査、コンピュータ犯罪捜査、捜査の4分野である。 警察官以外にも、民間人の専門家、有資格者からも採用を行っており、採用者は捜査活動の幹部警察官になる。
警視庁警察職員任用規程(東京都 - 例規集)
●採用
任用規程別表1の2から選考基準を抜粋する。
選考基準 種類 区分 資格等 職歴 年齢
財務捜査官 警視(7級職) 公認会計士 14年以上 -
警部(6級職) 公認会計士 8年以上
 〃(5級職) 公認会計士 8年未満
税理士 10年以上
警部補(4級職) 税理士又は会計士補 5年以上 27歳以上
39歳以下
税理士法第5条第1項第1号に定める事務又はこれに相当する業務 5年以上
科学捜査官 警視(7級職) 自然科学に関する博士 9年以上 -
警部(6級職) 自然科学に関する博士 8年以上
 〃(5級職) 自然科学に関する博士 8年未満
自然科学に関する修士 10年以上
警部補(4級職) 自然科学に関する修士 5年以上 27歳以上
39歳以下
自然科学に関する技術士 5年以上
自然科学に関する研究員 5年以上
コンピュータ犯罪捜査官 警部補(4級職) システムアナリスト、テクニカルエンジニア、システム監査技術者、技術士(情報工学部門)又はこれに相当する資格 5年以上
巡査部長(3級職) ソフトウェア開発技術者又はこれに相当する資格 3年以上 25歳以上 34歳以下
国際犯罪捜査官 巡査部長(3級職) - 3年以上
備考 年齢は、採用する年度の4月1日における年齢を示す。
注 「職歴」は「民間等における有用な職歴」の略である。

コンピュータ犯罪捜査官の「これに相当する資格」とは、各年度の採用選考にある受考資格を見ると次のものをいう。
区分 資格
警部補
(4級職) 司法書士、行政書士、弁理士、社会保険労務士、不動産鑑定士など
休息がてらに自分は階下に降り煙草を吸いがてらに自販機でコーヒーを購入しようとした時、東條を見かけた。どうしようか…。いや、反って無視るのは余りにも不自然だ。
「よう、東條」
「えっ!?な~んだ村田君じゃない。キャハ、久し振り。今組対なんだ」
いつもと変わらない東條に戸惑いながら、言葉を続けた。
「今総務だったよな。綺麗になったよな」
「キャハハ、どうした訳、村田君?」
東條の視線が自分の目を覗き込んだ。可愛さの中に美しさが混ざりあったような東條に、自分の心臓に高鳴りを覚えた。本当にコイツがMなのか?長岡(先輩)はあくまでも東條をMと決めかけている。まして銀流会の松山との関係に疑念の余地を捨てようとしない。
自販機のカップコーヒーを取り出すと同時に胸ポケットの煙草を取り出そうした時、ひらりと1枚の洋紙が舞った。わざとだ。写真、そう松山慎吾そのものである。東條を伺った。
「誰なの、この写真?」
自分より先に東條が拾い上げ、松山の写真を見やりなから言葉を先した。
「済まない。奴を知らないのか?」
「だれなの彼?」
「本当に知らないのか東條。銀流会の松山というヤクザ」
「ふ~ん、そうなんだ。結構イケメンだよね」
コイツはとぼけているだけなんだろうか?確かに警察学校の時分から本心を掴めないところがあったのは事実であるが、そこがまた、彼女の魅力でもあった。
「その彼が、キャハどうかした訳?」
「いや、組対に配属され、大蔵組系のめんとり(調査対象者の顔を覚える事)をしろとのお達しさ。お前どうなんだ」
「雑用係りみたいなもんだよ。交通のあかぽり(婦人警官)の方が、キャハ、楽だったかな。あ、もう行くよ村田君。頑張ってね~」
反応ゼロか…。何故長岡(先輩)は松山に拘るのだろうか…。

「う!?」
突然肩を叩かれた。
「長岡先輩―――」
「中々のものやったな。ワシもお前と同じことをしたやろな。で、反応ありか?」
「いや先輩、全く知らないみたいですよ」
「信じるのか!?」
長岡先輩の目が笑いながら自分の目を覗き込んだ。その目に応えるかのように
「先輩、公安の吉岡さんが東條に何やら喋っていましたが」
「公安の吉岡か。出店が東條に―――、単なる挨拶か、それとも顔見知りかやな」
何やら考えるとでもなく、長岡先輩がマルボロに火を点けた。最近やたらに警察官の不祥事が続いている。
「ふん。民間から裏給与のことか村田?いいやないか、此方の腹が探られずに済むのやからの」
まさか…。内部告発なのか?
「いいか村田、ノンキャリアはキャリアにぶら下がるしかないということや。それより村田、東條だけやないで。誰がMに成り下がっても、可笑しくない世界や。それを忘れるんやないで」
そう言うと長岡先輩は煙草をもみ消し、吸殻を指から離した。要するに裏切るなということなのであろう。
東條は何を知っているというのだろうか…。
「先に戻ってるからの」
そう言って長岡先輩は自分の肩を叩いて歩き出した。

同日夕刻。海…?潮騒が聞こえる。あの日私はどうなったのだろうか?思い出したくない。涙が溢れた。そして、自分が汚れたことの憐れみが私を押し包む。
点滴を成されているということは、
「病院…?」
らしくない部屋の片隅に佇む者がいた。何故か見つめるのが恐ろしく感じる。
「ククク」
「えっ!?」
おぞましさに戦慄が走る私であるのに、何故なの…、内なる私が癒されるように奴を受け入れようとしていることに増悪を抱いた。
「ま…松山!この獸!!」
「クク、クククク。松崎検事気分は如何かな」
ワナワナと憤りに躰が震え奴を睨み据えた。
「ワインが好きだった筈だな。ククク、この夕陽に潮騒、アメリカンレモネードが似合うと思わないか?」
返せ!!私の穢れた躰は生涯心の傷として残るのよ!!死にたい……。けど何故奴が今私の前にいる訳?そう言えば片瀬は…、そうだ、あの時確か一発の銃声が轟いた。まさか…?
「クククク」
奴の目が夕陽に染まり毒毒しく感じた。

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