次の日__
ホームルームが終わり、みんなは教室を出て行く。
10分もすると、私一人になった。
先生、まだかな?
雪宮先生「ごめんごめん。何がいるかと考えていると遅くなってしまった。」
そう言って、先生は私の前の席に座った。
先生の前にあるダンボールの中を見てみると、小さな布一枚と裁縫道具、それに何色かのフェルトが入っていた。
雪宮先生「この布に2-4って刺繍のがルールで、みんなが見やすいようにするらしい。」
あなた「らしいって、先生本当に五組の担任ですか?」
雪宮先生「もちろん!」
呆れる。
この人本当に先生なのかな?
雪宮先生「で、俺は何すればいい?」
先生は机に顎をつきながら、上目遣いで聞いてきた。
それは不意打ちのことで、一瞬心臓が飛び跳ねてしまった。
あなた「ま、まず私がこのフェルトに2と-と4を描くのでそれを切ってください。」
雪宮先生「了解。」
それから私たち黙々と作業を進めたが、まだ一日では完成できなかった。
雪宮先生「山本、申し訳ないが明日も残れるか?」
あなた「大丈夫ですよ。」
雪宮先生「本当に助かる。ありがとう。今日は遅いから送るよ。」
確かに窓の外は真っ暗だった。
今まで結構助けてきたから、送ってもらってもバチは当たらないでしょう。
と言うことで、先生のお言葉を甘えて送ってもらうことにした。
春だと言っても夜はまだ寒い。
私はブレザーが嫌いなので今日も着てこなかった。
正直寒い。
ふわ
肩に何かかかった。
雪宮先生「この時間帯になるとその格好じゃ寒いだろ。これでよければ来ておけ。」
あなた「あ、ありがとうございます。」
先生はチャラチャラと音を立てながら車を取りに行った。
数分後、私の前に白い車が現れた。
先生は降りて来て助手席のドアを開けてくれた。
雪宮先生「どうだ?紳士だろ?」
あなた「どうせ今日だけですよね。笑」
雪宮先生「まあな。笑」
ドキッ
まただ。
また心臓が跳ねた。
今度はさっきより大きく。
それからというもの、ふとした時に先生が頭をよぎるようになった。
お風呂から上がった時、学校に向かう時、授業を受けている時。
ユリノ「それ、恋だよ。」
あなた「ええ!?私が!?しかもあの先生に!?」
ユリノ「うん。」
ユリノは驚く様子もなく、お弁当を食べ続けた。
あなた「ありえないよ。私、あの先生には呆れてるもん。」
すると、ユリノはニッと骨格を上げ、不敵な笑みを浮かべた。
ユリノ「ですがあなたちゃん。ふとした時に先生が頭をよぎることを止めることはできますか?」
あなた「うっ。そ、それは…。」
ユリノ「本能は止められませんよね?それが恋ですよ。」
これ以上ユリノに反論を言える自信がない。
そして、認めてしまった。
私は雪宮先生に恋をしたのだと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。