-私が恋をしたのは高校2年の春-
ユメノ「あなた〜。早く新しいクラス見に行こっ!」
あなた「ユメノ、ちょっと待ってよー。それより、よくこの坂を走れるよね。」
今日から新学期に突入。
いつもより荷物は少なめだけど、学校前の坂はいつ登ってもしんどい。
やっとの思いで坂を登り終えた私たちは学校の門を通った。
すると、正門近くの掲示板にはたくさんの人が詰めかけている。
あなた「もう、クラス発表されてるみたいだね。」
ユメノ「人がいっぱいで見れないよ。」
私とユメノは覚悟を決めて、人混みの中をグングンと入って行った。
少し見えるところまでやって来た私は、私の名前とユメノの名前を探した。
一組、二組、、三組、、、四組!
四組のところに私の名前があった。
必死になって、ユメノの名前を探す。
だけど、人がたくさんいてなかなかはっきりと見えない。
ユメノ「あなた!私、五組だったよ。」
あなた「嘘!?私、四組!」
とりあえず自分のクラスとユメノのクラスが分かったので、人混みを抜けることにした。
人混みを抜けると、ちょうどユメノも人混みから抜け出したところだった。
ユメノ「2年連続同じクラスにはならなかったね。」
あなた「そうだね。でも、まだ隣のクラスでよかったよ。」
ユメノ「確かにそうだね。…でも、あなたいないと不安だよ〜。あなたの事も心配だし。」
あなた「私は大丈夫だよ!」
ユメノ「あなたは優しすぎるから、その優しさにつけ込むやつだったいるかもしれないでしょ!何かあったら、すぐ私に言ってね。」
私は大きく頷いた。
ユメノとは小学生から一緒で、いつも助けてもらっていた。
虫が服に付いたときとか、男子にからかわれたとき、いつもユメノが私の前に立っていてくれている。
でも、もう私も高校2年だから出来るだけユメノには迷惑をかけないようにしないと。
ユメノ「じゃあ、新しいクラスに行きますか。」
あなた「レッツゴー!」
1年の時とは違う校舎に入り、新しい教室の前に立った私とユメノ。
あなた「じゃあ、また後でね。」
ユメノ「うん。何かあったらLINEでもいいからすぐに言ってね。」
ユメノは教室に入る直前まで私の心配をしてくれている。
私だって、そんなに子供じゃないのに。
ユメノが教室に入るのを見てから、私も自分の教室に入った。
教室には何人かすでにいて、みんな自分の席に座っている。
友達と喋っている人などもいる。
ユメノに心配をかけないよう、新しい友達を作らなければ。
黒板には名簿順の座席表が貼られていた。
自分の席を探すと窓際の前から三列目だった。
私の苗字は山本なので、名簿はいつも後ろの方。
まだ私の周りの席の子は来ていないようだ。
ピロン
そんなに騒がしくない教室に、LINEの通知音が響く。
鳴らした本人は私だ。
バイブ音にするのを忘れていた。
LINEを送って来たのは、案の定ユメノ。
ユメノとLINEをしているうちに、だんだんと教室に人が増えてきた。
ハヤト「よお。また同じクラスだな。席も隣だし、よろしく。」
急に私に声をかけてきたのは、去年も同じクラスでそこそこ仲のよかったハヤト。
あなた「ええー。またハヤトと一緒のクラスで、席も隣とか出だしから不安だわ。」
ハヤト「本当はそんなこと思ってないくせに〜。素直になれよっ!」
ハヤトはどんなことでもポジティブに考える幸せなヤツだ。
でも、そんなところが楽しかったりもする。
キーンコーンカーンコーン
雪宮先生「はーい。みんな席につけー。」
チャイム共に教室に入ってきた担任の雪宮
ルイ先生。
私はこの先生に恋をすることになるのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。