ハヤトの言葉を聞いてから何度も考えた。
この気持ちを伝えた方がいいのか、ダメなのか。
そりゃ、この気持ちを伝えると結果はどうであれ私は楽になる。
だけど、先生は…。
先生はどうだろう。
逆に私に関わるのが気まずくなってしまうかもしれない。
それなら気持ちを隠してでも、今の状態を保っていた方がいい。
だから、今は言わないことにした。
その事を決心した日の朝、ユリカちゃんから衝撃的な事を聞いてしまったのである。
ここでユリカちゃんを応援すると言ってしまうと、ユリノちゃんにも自分の気持ちにも嘘をついてしまう。
だけど、ユリカちゃんに本当の事を言う勇気もない。
最低だ、私。
全然本当ことじゃないのに。
こんなに純粋なユリカちゃんを騙すなんて。
しかも、ユリカちゃんも先生のこと好きだったんだ。
敵う相手じゃないよね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!