そう言って渡された手紙
少し薄暗い部屋の中
ベットに横になって手紙に恐る恐る目を通す
あなたへ
いきなりあなたに酷い事を言って、連絡もとらないでごめん。予想だけど、ボーダーにも入っただろ!6年後に、渡してくれって部隊の奴らに言ったんだ。
本当は会いたかったけど、危ない事ばかりでついて来て欲しくなくて、無視までしてしまったんだ。
本当にごめん…。
俺、今ボーダーでネイバーと仲良くなる〜っていう支部に居るんだ。空閑有吾さんっていうネイバーと仲良くなってさ、絶対たくさんのネイバーと会って友達になりたいんだ!もっと広い世界を見てみたいんだ。
良くしてやってくれ。ネイバーだけどこっち側の味方で、俺の命の恩人なんだ!すごくカッコよくて、俺も空閑さんみたいになりたいなぁって、なんちゃって!
……って、ほんと我儘でごめん。
最後ぐらい直接会って話したかったなぁ。
翔人より
翔人さんの手紙は何度も何度も書き直したような痕と、水滴が落ちたようなシミが見られる。
一文字一文字、丁寧に濃く書くあの人の癖だ。
水滴もきっと涙だろう。
信じられるわけがない。
翔人さんを殺したのはネイバーだ。
ちょっとぐらい信じてみても良いかも、
手紙のせいでそう思ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。