佐久間 side
俺たちは今、ある生放送の音楽番組の出演が終わったところ。
本当だったら、もう帰ってもいいんだけどね。
でも俺は帰らないよ。
だって阿部ちゃんに話したいことあるもん。
.......ただ気になっちゃっただけ。
そうだって信じてた。
YouTubeでも阿部ちゃんは.......というより、めめから阿部ちゃんの方に行って近くにいる。
歌ってる時でも、“めめあべ”の需要が増えてきてる。
もう、“あべさく”は無いのかな...。
最近の思わせぶり(?)な態度とは裏腹に、もう阿部ちゃんとめめは付き合ってるんじゃないかって。
そう思うこともある。
阿部ちゃん、気付いてるかな.......?
俺、こんな気持ちになったの初めて。
俺だけを見ててくれないかな.......
なのにさ...
向井「阿部ちゃん!ここって合ってます?」
ラウール「阿部ちゃん!ここ教えてください!」
俺だって.......!
「阿部t...」
目黒「阿部ちゃん。これって.......」
阿部ちゃんは人気だ。
話しかける隙なんてない。
どうすれば.......
阿部「佐久間?」
「!?」
阿部「佐久間〜?話、後で聞くから、もうちょっとだけ待っててくれる?」
「.......。分かった!」
阿部ちゃんって周りがよく見えてるなって、つくづく思う。
今だって、俺そんなに声出していなかったはずなのに、ちょっとした動作で話しかけてくれる。
最高の“シンメ”だと思う.......。
阿部「佐久間ごめん!何だった?」
「!?あ、え、えっと.......き、今日って空いてる?」
阿部「うん。空いてるよ。.......どうしたの?」
「今日、阿部ちゃん家行ってもいい?」
阿部「いいよ。じゃあ、行こっか」
「いいのっ!!ありがと!^^*」
阿部ちゃん優しいよなぁ.......。
ねぇ、阿部ちゃん。
俺は、阿部ちゃんのこと.......。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!