せっかくの休みだし、家で精一杯ごろごろするって決めたあたしは、
ジェラピケのふわふわのフーディの袖を捲ってだらける準備をした。
毛布とスマホと甘い甘いミルクティーとブラックのチョコ。
ベッドの上で王道少女漫画を広げて、1日中だらけた。ああ、なんでミルクティーってこんなに罪深いんだ。
カロリーのことなんて忘れてしまうよ。
はた、とページを捲る手を止めて、スマホを覗いた。そういえばこんな日に、君は何してるのかな。
ストーリーって既読つくから嫌いなんだけど。
君らしくないなあ。君は、素の姿がいちばん格好良くて素敵なのに。
君のインスタの投稿を遡る。あたしよりもうんと綺麗であろう女の人とのツーショット写真。
顔こそ隠れてるけど、その人が美人だろうってことぐらいばかなあたしでもわかる。
別に君がホストってこと忘れてたわけじゃないし、あたしだけが君を見てるわけじゃないってこともわかってたはずなのに。
なんでかぽろぽろ涙が出た。なんでだろ。
昨日の夜はあんなに君と体を重ねるのが嫌で嫌で逃げ出したはずだったのに。
今日になったらこんなにも君が恋しいなんて。ねえ、ほんとばかみたいだよね。
読みかけの少女漫画は枕の脇に伏せて置かれたまんま、あたしは毛布で包まれた膝を引き寄せて泣いた。
なんでこんなに涙出るんだろう。それだけあたしが、君に本気だったってことなのかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!